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6 953;雑歌,作者:笠金村歌集,車持千年,作者異伝、難波,比喩,恋愛,神亀5年,望郷,女歌,掛け合い [題詞](五年戊辰幸于難波宮時作歌四首) 竿<壮>鹿之 鳴奈流山乎 越将去 日谷八君 當不相将有 さをしかの なくなるやまを こえゆかむ ひだにやきみが はたあはざらむ [左注]右笠朝臣金村之歌中出也 或云車持朝臣千年作<之>也 雄鹿のセレナードが轟いている山を
越えて行くような恋の季節でさえ あなたは私に逢わなかったくせに もうだめよ あ ソーダソーダ ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 大和を出て 牡鹿が鳴いているこの山を これから越えて行こうとされているのに せめて その日だけでも あなたは 逢っていって下さらないのですか もう来ないという訳ですね * 金村にしろ千年にしろ作者は男性。
* 「行かむ」 「む」[助動詞・む] [推量・終止形]〜(の)だろう 「む」…推量・意志を表わす。上代両者の区別があったかは疑問。(これが常識的。) 「む」 未来推量・意志の助動詞。上にくる語の活用形 未然形 未然形― 連用形― 終止形む 連体形む 已然形め 命令形― 【接続】 動詞・助動詞の未然形に付く。(である。) * 「音便」と「転呼」は別だが、「む」が「ン」と読まれる現象は、由来が音便でありながら元の発音は廃れてしまい、元の表記のままで発音が変るという、転呼と同じ性質を示すものとなっている。 「ム」と「m」と「ン」が日本人には非常に紛らはしい発音のため、音便化された。この時代に、「む」が「ん」化しつつあったら、意識的に「行かむ」は「行かン」と云われたかもしれない。 * 「だに」 (副助詞)《接続》体言、活用語の連体形、助詞などに付く。 〔最小限の限度〕せめて…だけでも。せめて…なりとも。▽命令・願望・意志などの表現を伴って。 〔ある事物・状態を取り立てて強調し、他を当然のこととして暗示、または類推させる〕…だって。…でさえ。…すら。▽下に打消の語を伴って。 「…さえ」の意味は、上代は「すら」が、中古は「だに」が、中世は「さへ」が表す。 * 「や」 係助詞。問いかけ・疑問・反語などをあらわす。結びは連体形になる。 * 質問・疑問をあらわす。相手あるいは自身に対し呼びかけ、問いかける気持を伴うことが多い。 * 「はた」上の意を翻して、 しかしながら、それでもやはり。 * 「ざら・む」(連語) 〔「む」が意志の場合〕…まい。 〔「む」が推量の場合〕……ないだろう。 <なりたち> 打消の助動詞「ず」の未然形「ざら」+推量・意志の助動詞「む」 |
万葉集索引第六巻
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6 954;雑歌,作者:膳王、羈旅,望郷 [題詞]膳王歌一首 膳王(かしはでのおほきみ)の歌一首 朝波 海邊尓安左里為 暮去者 倭部越 鴈四乏母 あしたは うみへにあさりし ゆふされば やまとへこゆる かりしともしも [左注]右作歌之年不審<也> 但以歌類便載此次 日中には海辺で餌をあさり
夕べになれば大和へ越えてゆく 雁たちが羨ましいことだ * ゆうされば【夕されば】(連語) 夕方になると。夕方がくると。 * 「かり・し・ともし・も」 「し」...体言に付き、語調を整える副助詞、強調の意もある 「も」 終助詞 詠嘆 主として活用語の終止形に付き、詠嘆をあらわす。「かも」「はも」などの「も」も詠嘆の終助詞である。 |
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6 955;雑歌,作者:石川足人、望郷,太宰府,枕詞 [題詞]<大>宰少貳石<川>朝臣足人歌一首 刺竹之 大宮人乃 家跡住 佐保能山乎者 思哉毛君 [さすたけの] おほみやひとの いへとすむ さほのやまをば おもふやもきみ 大宮人が住んでいる佐保の山のことを
想い起こしませんか あなたさま * 枕詞[さすたけの] ; 「さす」は伸びて行く意味。竹が、勢いよく成長する様子をいい、都や人などが栄えるように祈る言葉として使われてた。 以下のような言葉を導く。 大宮人(おほみやひと)、皇子(みこ)の宮人、舎人(とねり)男 * 「やも」 終止形に付き、質問・疑問をあらわす。相手に対し呼びかけ、問いかける気持を伴うことが多い。 ;已然形に付いた場合は、詠嘆を込めた疑問、反語の意を表す。…だろうか(いや、そうではない)。 「や(やも・やは)」 詠嘆・疑問・反語の終助詞。 「や」は元来は掛け声に由来する感動詞で、間投助詞としてはたらき、さらに 叙述の終りに用いられるようにもなった。疑問(質問)・反語・詠嘆などの意をあらわす。用言の終止形・命令形、また体言に付き、反語の場合は已然形に付く。 * 大宰府政庁・国分天満宮・水城周辺の万葉歌碑 http://www.kyuhaku-db.jp/dazaifu/historic/78_01.html <記事転載> 大宰府政庁跡の後方、北側には大伴旅人の歌碑があります。
「 やすみしし
わご大君の食国おすくには倭も此処も 同じとそ思ふ 」
(巻6・956・大宰帥 大伴旅人)
この歌は大宰少弐石川足人に「 さす竹の 大宮人の家と住む 佐保の山をば 思ふやも君 」 大伴氏の邸宅がある佐保(奈良の都)が恋しくありませんかと尋ねられたのに対して、旅人が詠んだ歌です。 「天皇が治めている国だから、大和も大宰府も同じですよ。そんなに都が恋しくはありません。」と答えたのでした。 しかし、旅人の本心はというと、
「 浅茅原 つばらつばらにもの思へば
故りにし郷し 思ほゆるかも 」(巻3・333)
「 わが盛 また変若おちめやもほとほとに
寧楽の京を 見ずかなりなむ 」(巻3・331)などの歌に表れているように、都恋しい、望郷の念でいっぱいでした。 それは旅人ばかりでなく大宰府にいた官人たち共通の思いでした。 (太宰府市「太宰府いしぶみ散歩」『太宰府市史文芸資料編』より)
<記事転載終了> |
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6 956;雑歌,作者:大伴旅人、太宰府,大夫,王権,枕詞 [題詞]帥大伴卿和歌一首 八隅知之 吾大王乃 御食國者 日本毛此間毛 同登曽念 [やすみしし] わがおほきみの をすくには やまともここも おなじとぞおもふ わが天皇が治めていらっしゃる国は
大和もここ大宰府も同じだと思う * 「遠の朝廷」と言われた大宰府の帥(長官)に六十歳を過ぎて任ぜられた大伴旅人の心境は複雑なものであっただろう。この歌は旅人が官人としての立場を詠んだものである。 * [枕][やすみしし]は、国のすみずみまで知らす(治める)意、または安らかに知ろしめす意から、「わが大君」「わご大君」にかかる。 * 「食す国は」;[動サ四] 「治める」の尊敬語。統治なさる。しろしめす。
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6 956;雑歌,作者:大伴旅人、太宰府,大夫,王権,枕詞 [題詞]帥大伴卿和歌一首 八隅知之 吾大王乃 御食國者 日本毛此間毛 同登曽念 [やすみしし] わがおほきみの をすくには やまともここも おなじとぞおもふ わが天皇が治めていらっしゃる国は
大和もここ大宰府も同じだと思う * 「遠の朝廷」と言われた大宰府の帥(長官)に六十歳を過ぎて任ぜられた大伴旅人の心境は複雑なものであっただろう。この歌は旅人が官人としての立場を詠んだものである。 * [枕][やすみしし]は、国のすみずみまで知らす(治める)意、または安らかに知ろしめす意から、「わが大君」「わご大君」にかかる。 * 「食す国は」;[動サ四] 「治める」の尊敬語。統治なさる。しろしめす。
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