ニキタマの万葉集

当て字の繭玉をほぐそう、枕詞で古代を解明しよう。

万葉集索引第七巻

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7 1085;雑歌,恋情

[題詞](詠月)

妹之當 吾袖将振 木間従 出来月尓 雲莫棚引

妹があたり 我が袖振らむ 木の間より 出で来る月に 雲なたなびき 

いもがあたり わはそでふらむ このまより いでくるつきに くもなたなびき

妻の家に向かって袖を振ろう 
木の間から出てくる月を
雲よ隠さないでおくれ

* 「雲なたなびき」禁止形。
7 1087;雑歌,作者:柿本人麻呂歌集,龍王山,奈良

[題詞]詠雲

痛足河 々浪立奴 巻目之 由槻我高仁 雲居立有良志

穴師川 川波立ちぬ 巻向の 弓月が岳に 雲居立てるらし 

あなしがは かはなみたちぬ まきむくの ゆつきがたけに くもゐたてるらし

[左注](右二首柿本朝臣人麻呂之歌集出)

穴師川に川波が立っている
巻向の弓月が岳に
雲がわき立っているらしい

* 「穴師川」は巻向川の別名。


7 1088;雑歌,作者:柿本人麻呂歌集,龍王山,奈良,枕詞

[題詞](詠雲)

足引之 山河之瀬之 響苗尓 弓月高 雲立渡

あしひきの 山川の瀬の 鳴るなへに 弓月が岳に 雲立ちわたる 

[あしひきの] やまがはのせの なるなへに ゆつきがたけに くもたちわたる

[左注]右二首柿本朝臣人麻呂之歌集出

山中を流れる川の瀬音が高まるにつれて
弓月が岳一面に雲が立ちのぼっていく

* 「山川」は山の中を流れる川。
* 「なへ・に」[連語]《連語「なえ」+格助詞「に」》「なえ」に同じ。
[連語]《「な」は「の」の意の格助詞で、「へ」は「うへ(上)」の音変化とも。上代語》接続助詞的に用いられ、上の事態と同時に他の事態も存在することを表す。…と同時に。…とともに。


7 1089;雑歌,伊勢,三重県,羈旅

[題詞](詠雲)

大海尓 嶋毛不在尓 海原 絶塔浪尓 立有白雲

大海に 島もあらなくに 海原の たゆたふ波に 立てる白雲 

おほうみに しまもあらなくに うなはらの たゆたふなみに たてるしらくも

[左注]右一首伊勢従駕作

大海には島一つ見えないが
漂う波の上に
白雲が立上がっている
7 1090;雑歌

[題詞]詠雨

吾妹子之 赤裳裙之 将染埿 今日之霡霂尓 吾共所沾名

我妹子が 赤裳の裾の ひづちなむ 今日の小雨に 我れもや濡れな 

わぎもこが あかものすその ひづちなむ けふのこさめに われもやぬれな

今日の小雨が
赤裳の色を鮮明に
愛しい我妹子の裾を濡らしているだろう
私も共に濡れに行こうか

* 「我妹子が」私の彼女が。
* 「も」裳。裙とも書く。女子用和服の一つ。女子の上衣下衣の2部式被服構成の時代に,下衣として用いられたもの。その形態は5〜6世紀に盛行した埴輪土偶の女子像にみられ,奈良時代の礼服 (らいふく) の際には重ね裳の風習があったが,承和7 (840) 年に勅令で禁じられた。
* 「赤裳」
http://h.hatena.ne.jp/matsuiism/299867078297092723
《そこで、「しな照る 片足羽川の さ丹塗りの 大橋の上」を通って、「紅の 赤裳裾引き」、紅色の真っ赤なロングスカートだ。万葉時代は短いのじゃないのです。高松塚古墳を見てもわかるでしょう。女の人の服装はツーピースです。すなわち下の方を下袴、裳と言います。赤裳は、紅の裳、袴です。それに対して上は、ぐーっと長くて、高松塚を見たら、ひざぐらいまできているんでしょう、それが古代の女の服装。ツーピースで、下は引きずるようなロングスカートだ。そして、下は袴です、下袴をはいて、そして上の着物。》
* 「ひづち」濡れる。
* 「なむ」推量・意志・適当・当然・可能推量・仮定
* 「吾共所沾名」我れも(や)れ(な)
* 「な」活用語の未然形に接続し、決意や希望をあらわす。この用法は助動詞「む」とほぼ同じ意味になる。話し手自身の行為について言う場合、「〜しよう」「〜したい」との自分の決意・希望をあらわす。
* この歌は、男女が遠くにいるのか、近くにいるのかで、歌の趣が一変するような気がする。

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