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7 1096;雑歌,香具山,飛鳥 [題詞](詠山) 昔者之 事波不知乎 我見而毛 久成奴 天之香具山 いにしへの ことはしらぬを われみても ひさしくなりぬ あめのかぐやま 昔のことは知りませんが
私が見るようになってからでさえ すでに久しくなります 神々しい天の香具山は * 「を」は逆接の接続助詞。
* 「も」 逆接の接続助詞 活用語の連体形をうけて、譲歩の気持から逆接の意をあらわす。「〜ても」。「〜のに」。 * 「ぬ」は完了の助動詞。 * 「香具山」は大和平野の南部に横たわる大和三山の一つ。香具山にのぼると、耳成山(みみなしやま)と畝傍山(うねびやま)が左右に見える。 |
万葉集索引第七巻
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7 1097;雑歌,序詞,恋情 [題詞](詠山) 吾勢子乎 乞許世山登 人者雖云 君毛不来益 山之名尓有之 わがせこを こふこせやまと ひとはいへど きみもきまさず やまのなにあらし わが背の君を恋ふ巨勢山と
人は言うけれど あなたさえおいでにならない あれはただ 山の名前だけなのかしら * 「君(も)来まさず」の「も」は、 [係助詞] [言外暗示] 〜さえも・〜でも 。 体言につく。 また [係助詞] [添加・言外暗示]では、 〜もまた・〜さえも
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7 1098;雑歌,二上山,枕詞,恋情 [題詞](詠山) 木道尓社 妹山在云 <玉>櫛上 二上山母 妹許曽有来 きぢにこそ いもやまありといへ [たまくしげ] ふたかみやまも いもこそありけれ 紀州には妹山という名山があるというが
大和の二上山にも男山と並んでいる 女山はあるではないか * 「木(紀)道(きち”)」。 紀伊の国の道。
* 「玉くしげ」ー二上山の「フタ」の枕詞・美称。 * 「いも(こそ)あり(けれ)」係り結び。「こそ」と已然形との係り結びで逆接の条件句を作る例。 連体形で閉じる係り結びとは違って、已然形で閉じる係り結びは、「〜なのですが…。」という逆接の余韻が漂う。 万葉集にはこうした例が多く、これが係り結びの元来の用法であったとする説もある。 奈良時代以前には、「こそ」の結びとなる形容詞および形容詞型活用の助動詞(「べし」「らし」)が連体形となる例が見られる。 |
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7 1099;雑歌,奈良、香芝市今泉 [題詞]詠岳 片岡之 此向峯 椎蒔者 今年夏之 陰尓将<化>疑 (真夏の日差しには参るから)
片岡のこの向こうの峯に椎を蒔いたならば 今年の夏は木陰になるだろうか (吾が恋の成就はなるかなあ) <[志都美神社(奈良県香芝市)]誌より記事転載。> * 「片岡」は奈良県北葛城郡王寺町から香芝市の志都美地方にかけての地域で、志都美神社(しづみじんじゃ)本殿裏の森がこの歌を鑑賞するのにふさわしい。 本殿裏は椎の木を中心とした原生林で奈良県指定の天然記念物に指定されています。 「志都美(しづみ)」 という地名も 「椎摘み(しい つみ)」 が変化したように思え、椎の原生林ともかさね合せればこの附近ではないかと思われます。 大和志に「葛下郡片岡、在二片岡荘今泉村(今、香芝市今泉)一」とあります。 「・・・椎蒔かば 今年の夏の 陰にならむか」という部分は、椎が蒔いた年にすぐ木陰を成すほどになる筈はないので、寓喩か、わらべうた風のものかといわれています。 この万葉歌の歌碑が神社参道入り口右側にあります。 ・・・・・・・・・・・・・・・ * 「かたをか」は、片方が傾斜ないしは急斜面の岡。「かた」は接頭語で、片一方の、偏ったなどの意。 * 「の」は、性質・状態の格助詞。〜のような * 「むかつを」、向こうに見える丘陵。 * 「しひ」は、「椎」ブナ科の常緑高木、実は食用となる。 * 「まか」は、他動詞カ行四段「蒔く・撒く」の未然形。 * 「ば」は、順接の仮定条件の接続助詞。 * 「かげ」は、光や風が当らない場所。 * 「なら」は、自動詞ラ行四段「成る」の未然形。 * 「む」は、推量の助動詞。 * 「か」は、疑問・反語の係助詞。成長するだろうか。 ** この「しひ」は「恋」の寓意としか考えられない。「むかつを」の乙女が、早く成長して、そのもとで憩い暮らせたらと、祈りを込めた歌だと、私は解釈する。 ◎ コメント; 林田 ヤスヒロ様より。
鬱蒼とした原生林。鬱って、うつ病の鬱ですが、溢れるような思いがあるという意味だと思います。蔭も同じような気がします。恋しさも悩みもつのる、人生の悩み、世の中への疑問、恋の思い。ひっくるめて、真剣になにかを思い悩む姿。。。そんな気がします。いい歌ですね。
〇河村 国治 なるほど!。そうですね。思いが深まりました。ありがとうございます。 |
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7 1100;雑歌,作者:柿本人麻呂歌集,巻向,奈良,恋情 [題詞]詠河 巻向之 病足之川由 徃水之 絶事無 又反将見 まきむくの あなしのかはゆ ゆくみづの たゆることなく またかへりみむ [左注](右二首柿本朝臣人麻呂之歌集出) 巻向の穴師の川から流れ行く水がとぎれないように
自分も絶えずまた見に来よう * 「ゆ」〜から。
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