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7 1117;雑歌 [題詞]詠花 嶋廻為等 礒尓見之花 風吹而 波者雖縁 不取不止 しまみすと いそにみしはな かぜふきて なみはよすとも とらずはやまじ 島巡りの漁の時に
磯辺で見つけたあの花は 風が吹き波が打ち寄せようとも きっと手に入れねばおさまらない * 「島廻(しまみ)す」は漁の獲物を求めて島の周辺をめぐること。 * 「磯に見し花」は「磯」は岩の多い海岸、土地の美女を花にたとえる。 * 「風吹きて・・」は比喩、周囲に反対や困難な事情があろうともの意。 |
万葉集索引第七巻
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7 1118;雑歌,作者:柿本人麻呂歌集,三輪山,奈良,悲嘆 [題詞]詠葉 古尓 有險人母 如吾等架 弥和乃桧原尓 挿頭折兼 いにしへに ありけむひとも わがごとか みわのひはらに かざしをりけむ [左注](右二首柿本朝臣人麻呂之歌集出) 昔の人も私と同じように
三輪の桧原の檜を手折って 山葛として頭にかざしていたのでしょう * 桧葉をかざすというのは三輪の神への信仰の行為だった。 「桧原」は桧(ひのき)の生えている原。 * 「ありけむ人」; * 「あり」ラ行変格活用動詞「あり」の連用形で、「生活する。住む」意。 * 「けむ」は、過去推量の助動詞・「けむ」の連体形。名詞「ひと」に付いて・・・生活していたのだろう人。 * 桧原山で、神事に参加するしるしに桧葉のかざして、山里から選ばれた女性達。 * 「か」は疑問の係助詞。 * 過去推量助動詞連体形「けむ」は、係助詞「か」の結び。 * 「簪折り」は、木の枝を簪にするために折ること。 |
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7 1119;雑歌,作者:柿本人麻呂歌集,三輪山,奈良,悲嘆 [題詞](詠葉) 徃川之 過去人之 手不折者 裏觸立 三和之桧原者 [ゆくかはの] すぎにしひとの たをらねば うらぶれたてり みわのひはらは [左注]右二首柿本朝臣人麻呂之歌集出 行く川も 人もただ過ぎ去るばかりで
桧の枝を折って簪にする人もいなくなりました 力なく立っているような三輪の桧原です * 「過ぎ」は、ガ行上二段活用動詞「過ぐ」の連用形。 * 「に」は、完了の助動詞「ぬ」の連用形。 * 「し」は、過去の助動詞「き」の連体形。 過ぎ去ってしまった。 * 「過ぎにし」が「行く川」と「人」とを比喩的につないでいる。 * 「ね」は、打消の助動詞「ず」の已然形。 * 「ば」は、接続助詞、原因理由の確定条件。 * 「うらぶれ」は「悲しみ沈む、しおれる」意。 |
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7 1120;雑歌,吉野,土地讃美 [題詞]詠蘿 三芳野之 青根我峯之 蘿席 誰将織 經緯無二 みよしのの あをねがたけの こけむしろ たれかおりけむ たてぬきなしに 吉野の青根が峰一面の苔蓆(むしろ)は
一体誰が織ったのだろうか 縦糸横糸の織目もないほどに美しく |
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7 1121;雑歌,恋情 [題詞]詠草 妹<等所> 我通路 細竹為酢寸 我通 靡細竹原 いもらがり わがかよひぢの しのすすき われしかよはば なびけしのはら 私が妻のもとへ通う道に
篠やすすきが茂っている 私のため穏やかに いざなびき伏せよ篠の原 * 「妹がり」は、妹がいるもとに。「がり」は接尾語。 * 「篠(しの)」は、群生する細い竹。 * 「薄」は、群がる草 * 「我し通はば」は、名詞「我」。強調の副助詞「し」。ハ行四段活用動詞「通ふ」の未然形「通は」。仮定条件の接続助詞「ば」。 私が通うならば。* 「靡け」は、カ行四段活用動詞「靡く」の命令形。 * 「篠原」は、篠の茂った野原。 |


