ニキタマの万葉集

当て字の繭玉をほぐそう、枕詞で古代を解明しよう。

万葉集索引第八巻

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8 1442;春雑歌,作者:丹比屋主,菜摘み,大阪

[題詞]大蔵少輔丹比屋主真人歌一首

難波邊尓 人之行礼波 後居而 春菜採兒乎 見之悲也

難波辺に 人の行ければ 後れ居て 春菜摘む子を 見るが悲しさ 

なにはへに ひとのゆければ おくれゐて はるなつむこを みるがかなしさ

難波の方にみんな出かけたが
後に一人留守居して
春菜を摘む幼な子を見るのは
なんとも侘しいことだな

* 「後れ居て」は「留守居」のこと。


8 1443;春雑歌,作者:丹比乙麻呂,野遊び

[題詞]丹比真人乙麻呂歌一首 [屋主真人之第二子也]

霞立 野上乃方尓 行之可波 鴬鳴都 春尓成良思

霞立つ 野の上の方に 行きしかば 鴬鳴きつ 春になるらし 

かすみたつ ののへのかたに ゆきしかば うぐひすなきつ はるになるらし

霞が立っている野原の上のほうへ出かけてみると
鴬が鳴いていたよ
もうこのあたりも春になったようだね

* 「行きしかば」は、カ行四段活用動詞「行く」の連用形。
  過去助動「き」の已然形「しか」、
  接続助詞「ば」偶然条件。行ってみましら。
* 「つ」は完了助動詞。
* 「らし」は推定助動詞(〜らしい)。眼前の確かな根拠から推定する。


8 1444;春雑歌,作者:高田女王,大原高安,高安王

[題詞]高田女王歌一首 [高安之女也]

山振之 咲有野邊乃 都保須美礼 此春之雨尓 盛奈里鶏利

山吹の 咲きたる野辺の つほすみれ この春の雨に 盛りなりけり 

やまぶきの さきたるのへの つほすみれ このはるのあめに さかりなりけり

山吹の花が咲いた野辺に
つぼすみれも咲いている
この春の雨に濡れながら
生き生きと輝くように咲いている


8 1445;春雑歌,作者:坂上郎女,比喩

[題詞]大伴坂上郎女歌一首

風交 雪者雖零 實尓不成 吾宅之梅乎 花尓令落莫

風交り 雪は降るとも 実にならぬ 我家の梅を 花に散らすな 

かぜまじり ゆきはふるとも みにならぬ わぎへのうめを はなにちらすな

風にまじって雪が降っています
まだ実を結んでいない
我が家の梅の花を散らさないで


8 1446;春雑歌,作者:大伴家持

[題詞]大伴宿祢家持<春>雉歌一首

春野尓 安佐留雉乃 妻戀尓 己我當乎 人尓令知管

春の野に あさる雉の 妻恋ひに おのがあたりを 人に知れつつ 

はるののに,あさるきぎしの,つまごひに,おのがあたりを,ひとにしれつつ

春の野でえさを探す雉が
つがいの妻恋い鳴きするので
自分の居場所が人間に知られてしまう

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