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8 1450;春相聞,作者:坂上郎女,恋情 [題詞]大伴宿祢坂上郎女歌一首 情具伎 物尓曽有鶏類 春霞 多奈引時尓 戀乃繁者 こころぐき ものにぞありける はるかすみ たなびくときに こひのしげきは 心が晴れ晴れしないものね
春の霞がたなびく頃 激しく恋するのは * 「心ぐき」こころぐき 心ぐし・こころぐし = 心が晴れ晴れしない、せつない、なやましい
* 「しげき」。「恋の繁き」は、次第に恋しさが募り、しきりと恋心に襲われる・・・。 |
万葉集索引第八巻
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8 1451;春相聞,作者:笠郎女,大伴家持,贈答,恋情 [題詞]笠女郎贈大伴家持歌一首 水鳥之 鴨乃羽色乃 春山乃 於保束無毛 所念可聞 [みづどりの] かものはいろの はるやまの おほつかなくも おもほゆるかも 水鳥の鴨の羽の色のような春の山
霞みがかって覚つかなく この恋のゆくえの予感がする * 「おほつかなく」は、はっきりしない、芽吹き始めた春の山が、ぼうっと霞んだように見える様。
恋人を思って胸のふさがる心情の喩え。 |
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8 1452;春相聞,作者:紀女郎,小鹿,恋情,怨恨 [題詞]紀女郎歌一首 [名曰小鹿也] 闇夜有者 宇倍毛不来座 梅花 開月夜尓 伊而麻左自常屋 やみならば うべもきまさじ うめのはな さけるつくよに いでまさじとや 闇ならば来ないのも仕方ない
梅の花の咲くこの素晴らしい月夜に おいでにならないのでしょうか |
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8 1453;春相聞,作者:笠金村,入唐使,贈答,送別,遣唐使,枕詞,大阪,餞別,天平5年閏3月 [題詞]天平五年癸酉春閏三月笠朝臣金村贈入唐使歌一首[并
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↓[原文]ー[訓読]ー[仮名]ー 玉手次ー玉たすきー[たまたすき]ー 不懸時無ー懸けぬ時なくー「懸け」かけぬときなくー心に懸けない時とてなく 氣緒尓ー息の緒にーいきのをにー 吾念公者ー我が思ふ君はーあがおもふきみはー命にかけて私が思うあなたは 虚蝉之ー[うつせみの]ー 世人有者ー「世の人」なればーよのひとなればー現世に生きる人なので 大王之ー大君のーおほきみのー天皇の 命恐ー命畏みーみことかしこみー勅命を謹んで承り 夕去者ー夕さればーゆふさればー夕方になれば 鶴之妻喚ー鶴が妻呼ぶーたづがつまよぶー鶴が妻を呼んで鳴く 難波方ー難波潟ーなにはがたー難波潟の (難波潟 かつて大阪平野に広がっていた浅海。「難波八十島(やそしま)」と言われるほど多くの小島があった) 三津埼従ー御津の崎よりーみつのさきよりー御津の崎から 大舶尓ー大船にーおほぶねにー大きな船に 二梶繁貫ー真楫しじ貫きーまかぢしじぬきー真楫をいっぱい通し(「真楫」 左右一対揃った楫。) 白浪乃ー白波のーしらなみのー白波が 高荒海乎 ー高き荒海をーたかきあるみをー高く立つ荒海を 嶋傳ー島伝ひーしまづたひー島伝いに 伊別徃者ーい別れ行かばーいわかれゆかばー別れて行ったなら 留有ー留まれるーとどまれるー都に留まっている私は幣を引き 吾者幣引ー我れは幣引きーわれはぬさひきーわたしは幣を引いて (幣は麻・木綿などを細かく切ったもので、神への捧げ物とした。) 齊乍ー斎ひつつーいはひつつー潔斎しながら 公乎者将<待>ー君をば待たむーきみをばまたむーあなたを待ちましょう 早還万世ー早帰りませーはやかへりませー早くお帰り下さい ・・・・・・・・・・・・・・ |
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8 1454;春相聞,作者:笠金村,入唐使,贈答,送別,遣唐使,餞別,天平5年閏3月 [題詞](天平五年癸酉春閏三月笠朝臣金村贈入唐使歌一首[并短歌])反歌 波上従 所見兒嶋之 雲隠 穴氣衝之 相別去者 なみのうへゆ みゆるこしまの くもがくり あないきづかし あひわかれなば 波越しに見える小島が雲に隠れるように
あなたの船が見えなくなって ああ 溜息が吐かれる これでお別れなので * 「波の上ゆ」 波越しに
* 「あな息づかし」 あ〜、ため息の出ることよ |


