ニキタマの万葉集

当て字の繭玉をほぐそう、枕詞で古代を解明しよう。

万葉集索引第八巻

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8 1420;春雑歌,作者:駿河釆女,雪

[題詞]駿河釆女歌一首

沫雪香 薄太礼尓零登 見左右二 流倍散波 何物之花其毛

沫雪か はだれに降ると 見るまでに 流らへ散るは 何の花ぞも 

あわゆきか はだれにふると みるまでに ながらへちるは なにのはなぞも

春の泡雪が斑に降るように
そう見誤るように散ってゆく花
あれは何の花なのでしょう

* 「駿河采女」は駿河出身。
8 1421;春雑歌,作者:尾張連,野遊び,菜摘み,妻問い

[題詞]尾張連歌二首 [名闕]

春山之 開乃乎為<里>尓 春菜採 妹之白紐 見九四与四門

春山の 咲きのををりに 春菜摘む 妹が白紐 見らくしよしも 

はるやまの さきのををりに はるなつむ いもがしらひも みらくしよしも

春山の桜が咲き満ちている下
若菜を摘んでいる乙女の
風になびく白紐を
見ていられるのはうれしいことだよ
8 1422:春雑歌,作者:尾張連,山・野遊び,叙景

[題詞](尾張連歌二首 [名闕])

打<靡> 春来良之 山際 遠木末乃 開徃見者

うち靡く 春来るらし 山の際の 遠き木末の 咲きゆく見れば 

[うちなびく] はるきたるらし やまのまの とほきこぬれの さきゆくみれば

春が来ているらしい
山際の遠くまで続く木立に
日ごとに花が咲いていくのを見ると
8 1423;春雑歌,作者:阿倍広庭

[題詞]中納言阿倍廣庭卿歌一首

去年春 伊許自而殖之 吾屋外之 若樹梅者 花咲尓家里

去年の春 いこじて植ゑし 我がやどの 若木の梅は 花咲きにけり 

こぞのはる いこじてうゑし わがやどの わかきのうめは はなさきにけり

去年の春によそから移し植えた我が家の
若い梅の木が今年の春花を咲かせたよ
8 1424;春雑歌,作者:山部赤人,野遊び,風流

[題詞]山部宿祢赤人歌四首

春野尓 須美礼採尓等 来師吾曽 野乎奈都可之美 一夜宿二来

春の野に すみれ摘みにと 来し我れぞ 野をなつかしみ 一夜寝にける 

はるののに すみれつみにと こしわれぞ のをなつかしみ ひとよねにける

春の野にすみれを摘もうとやって来たが
野の美しさに心惹かれ
一晩過ごしてしまったよ

* 「懐かしみ」はマ行四段活用動詞だが、ここは形容詞「懐かし」の意味が適切。
* 「菫のごとき君」のそばを離れがたいさまが美しい。
「芸術とは何ですか。」
「すみれの花です。」
「つまらない。」
「つまらないものです。」

「芸術家とは何ですか。」
「豚の鼻です。」
「それは、ひどい。」
「鼻は、すみれの匂いを知っています。」
            (太宰治『かすかな声』)

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