ニキタマの万葉集

当て字の繭玉をほぐそう、枕詞で古代を解明しよう。

万葉集索引第十七巻

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17 3920 天平16年4月5日,作者:大伴家持,枕詞,奈良,懐古

[題詞](十六年四月五日獨居平城故宅作歌六首)

鶉鳴 布流之登比等波 於毛敝礼騰 花橘乃 尓保敷許乃屋度

鶉鳴く 古しと人は 思へれど 花橘の にほふこの宿 

[うづらなく] ふるしとひとは おもへれど はなたちばなの にほふこのやど

・・・・・・・・・・・・・
鶉の鳴く古寂びしいところと人は思っているが
昔と変らず花橘が咲き映えるわが家よ
・・・・・・・・・・・・・

[左注](右六首歌者天平十六年四月五日獨居於平城故郷舊宅大伴宿祢家持作)
杜若かきつばた 服ふく摺すりつけて 大夫ますらおが 薬狩かりする季節 やって来たんや


17 4031 作者:大伴家持,祝詞,神祭り,言祝ぎ,寿歌

[題詞]造酒歌一首

[原文]
奈加等美乃 敷刀能里<等其>等 伊比波良倍 安<賀>布伊能知毛 多我多米尓奈礼

[仮名]
なかとみの,ふとのりとごと,いひはらへ,あかふいのちも,たがためになれ

[左注]右大伴宿祢家持作之

中臣の 太祝詞言 言ひ祓へ 贖ふ命も 誰がために汝れ 

なかとみのふとのりとごといひはらへあかふいのちもたがためになれ

中臣氏の神主を呼んで
祝詞を申し上げてお祓いをし
供物を奉ることで長命を祈ったのは誰のためか
ほかならぬお前の命のためなのだ

* 「あがふ」は「あがなふ」の古形。古代では「あかふ」。供物をささげ身のけがれを祓うという一連の祭儀が想定される表現であり、「贖ふ」祭儀の型をうかがうことができる。
* 「はらふ」払う・掃う意の「はらふ」は四段活用であるが、災厄などを除き去る(祓う)意の「はらふ」は下二段活用。
17 4030 作者:大伴家持,動物,怨恨,季節,風物

[題詞]怨鴬晩哢歌一首

[原文]
宇具比須波 伊麻波奈可牟等 可多麻C<婆> 可須美多奈妣吉 都奇波倍尓都追

[仮名]
うぐひすは,いまはなかむと,かたまてば,かすみたなびき,つきはへにつつ

[訓読]
鴬は 今は鳴かむと 片待てば 霞たなびき 月は経につつ 

鴬はもう鳴くだろうとひたすら待っていると
春の霞がたなびき
月は過ぎて行こうとしている

* 「かたまつ」片待つ[動タ四]ひたすら待つ。

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