カジマブログ

フリーボーカリスト・鹿嶋敏行の気まぐれコラム

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立ち返る

古い、古いうたです。





「私は うたかたを さすらう 旅人

 煩いのない国を 求めて 彷徨う

 思うは 父の待つ 心のふるさと

 胸に抱き 越え行こう

 ヨルダンの川を.....」


拙訳ですが...。


アルバム"The Art of the Song"の最後を飾る曲です。

ずい分前、私は図書館で借りました。

ゲスト参加のシャーリー・ホーンをお目当てに。


そういう意味では、非常に、不真面目な聴き方だったわけです。

聴く前から、もうすでに(^^;


なので、この録音を耳にすることができたのは、ほとんど偶然だった気がします。

もしかしたらお目当てだけ聴いたらあとはほったらかしで、

この録音があることすら、ずっと知らずにいたかもしれません。


それでも、

ながら聴きでふと耳に入ったのか、

曲そのものは知っていたので、ついでで聴いたのか...

その辺どうだったかはもう思いだせませんけれど、

とにかく聴いたのです。


そして、

刻み込まれてしまったのです。

耳に、記憶に、こころの奥に。


荒っぽい言い方をすれば、

シロウトのうたです(失礼!)。

でも、響いたのです。私には。


名歌手たちを差し置いて、

名ベーシストがこの歌を自身の声で残そうと思ったのには、

なにか深い理由、

特別な思い入れがあったのでしょうか。

まるで自らの死期を、

そう遠くはない未来に見据え、その覚悟を決めたかのような...

と、思うのは私の想像が過ぎるでしょうか。


初めて聴いたその時よりも、

年を追って、確信に近く思えること。


これは、本当の「うた」。


小手先の歌い回し、テクニックでは決してなり得ない、

本物のうた。


ビリー・ホリデイやジョニ・ミッチェルとはまた違う意味で、

私にはとても大切なうたなのです。


らしくもなくむなしさを感じたとき、

いい気になりかけた自分に気づいて恥ずかしく思うとき、

もしくは自分がうつろになってしまいそうな気がしたとき。


自分への戒めと反省を込めて、

本来の自分に立ち返るために。


もしかしたら歌い手の端くれなんぞやっているせいで、

こんな風には私にはもう歌えないかもしれないこのうたを、

聴かなければ、どうしても。


そう思うことが、

いまだ折々にあるのです。






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