カカシのこんにちは、こんばんは。

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空の不死鳥に捧ぐ

プロレスラー『ハヤブサ』は、その名の通り鳥類・隼をモチーフにした覆面レスラーである。
そして二十年にも渡ってプロレスを心の支えに生きてきた誰かの、スーパーヒーローである。
 
この世のプロレスラーの中で最も幻想的で、斬新かつダイナミックに空中を舞った。リング内外を駆け回り、倒したいライバルあるならば全身もろともをぶつけて戦った。
相手を選ばず、ルールを選ばず、場所を選ばず。傷だらけになろうと不死鳥のように起き上がる不屈の勇姿がまぶたに浮かぶ。
だがハヤブサは、単純に勝って勝って勝まくるだけのヒーローではない。
 
体の軽いハヤブサは自分より大きい選手との戦いの度、打ちのめされて天を見上げていた。
実際に、大事な試合でも半分くらいは負けていたように思う。

ハヤブサが大きい相手に負けない為に選んだ戦いの手段が、ルチャと呼ばれる捨て身の
『飛び技』の数々だった。
相手がリング外に逃げ込めば、力いっぱい加速をつけた上で、リングの中から外の相手めがけて追撃の体当たり。時には体操選手よろしく回転を加えて飛びかかり、またある時はどこかへとよじ登り、そこから飛んだ。
 
言わずもがな、人間に翼は       ない。
たとえばどんな乗り物に乗っても、それが飛行機であり宇宙船であっても、バンジーで落ちようが、スカイダイビングしようとも、高いビルに住もうが、果ては世界を征服しようが、飛べた気分になれさえしても所詮、人間は飛べない生き物である。
 
翼がないと気付いたどこかのくせものは、猛然と地を這う覚悟を決め込んだらしい。
 
しかしプロレスラーのハヤブサは地を蹴り、飛んだ。


飛んだ・・・
 
 
・・・・ちがうな。


きっと、『飛ぶということの意味』を見せてくれたんだろうな。
 


ずいぶんむかし。子供の頃に愛読していたプロレス雑誌の中で、ハヤブサはよく泣いていた。悔しさや情けなさで涙を流し、喜びで涙を流し、感謝をして涙を流す。全てを格好良いと表現するのは憚られる痛々しいヒーロー。
だが涙を拭って起き上がれば、再び力いっぱい飛んだ。
 

「背中に何もなくても、人間はここまでつよく飛べる。」
 

その姿に、僕らは空を見た。
 
 
見えない翼で体を持ち上げ、いかなる時も泣きじゃくって立ち向かい、最後には震えた声でありがとうを口にする。

「お楽しみはこれからだ。」
 
左胸に刻まれたタトゥーの翼。ハヤブサはいつも、未来を伝えた。
 
打ちのめされて大の字で天を見上げていたハヤブサは、あの時いったい何を考えていたのか。

 
・・・もっと高く飛べばつよくなれるだろうか。
・・・もっと速く飛べばつよくなれるだろうか。
 

・・・

2001年の試合で負った大怪我。

復帰の時を待ちわびていたが、とうとう叶わなかった。
 
ハヤブサ、今回の体当たりは飛びすぎだっつの。


空を飛べない僕らに空を少しだけ教えてくれたリアルなヒーロー。


 

僕は、ハヤブサを心から讃える。
 



ご冥福をお祈り申し上げます。 

イメージ 1

管理人・カカシ(くせもの)

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閉じる コメント(6)

対戦者に対して真摯なひとでした。対戦者と比べると、身体の照り張りが違いました。万物に対しても、紳士的で、好きでした。事故が起きた時のことは、あまり思い出したくないのです。大フアンだった我が家のジイ様が、一年前に逝きました。なくなる前の晩もプロレス見てました。

2016/3/5(土) 午前 0:23 [ えっちら ] 返信する

えええ、ハヤブサ、亡くなったの!?

今から20年前、まだおいらが深夜のプロレスを毎週録画しては翌日に見ていた時代(プロレスが一番良かった時代だと信じている)、
一番『かっこえーーー!』と思ったのがハヤブサでした。

まず名前がカッコよすぎる。
マスクもカッコいい。

そしてフェニックススプラッシュ。

美し過ぎる。
名前もまた『○○プレス』ではなく、スプラッシュとするところがイカすし。

FMWだったので、なかなか見る機会がなかったですが、
強烈に印象に残ってますね。。。

飛び系レスラーの代表格でした。
高く高く飛んで行かれましたね。

ご冥福をお祈り、です。

2016/3/5(土) 午前 8:02 ねずみ 返信する

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大変に良い追悼文です。

描く人のやさしさ、誠実さがあふれています。

2016/3/7(月) 午後 5:50 [ zen*o*hara6* ] 返信する

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えっちら婆ちゃん さんへ
お会いできたのは事故の後で、車いすで会場にいらしていたハヤブサ選手でした。
僕にとってハヤブサ選手は憧れのヒーローで、子供の頃から溜めに溜めたその気持ちを、
握手した手を捕まえたまま彼に喋りました。
「プロレスファンは辛抱強いんですよ。待ちますからね、いくらでも。」
ハヤブサ選手は呆れたように笑いました。

毎年の初詣。神様にぶつけた、神様も辟易するような欲張りで傍若無人な願い事の中で、
唯一変わらずまっとうに近かったくせものの願いは、これで納めなければなりません。

プロレスが与えてくれるものが大きいだけに、喪失感も同様なのかもしれませんね。
大好きな選手の訃報に、思いのほか堪えています。

2016/3/7(月) 午後 10:56 [ カカシ ] 返信する

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ねずみ さんへ
ハヤブサの入場テーマ曲『Fight With Dream』。
ヒーローの登場には一見似つかわしくない、重く、物悲しい曲。

でも、『飛ぶ』ことで『飛ぶ意味』を、『戦い』によって『戦うこと』を教えてくれたハヤブサのヒーロー像にぴったりで、耳から離れません。

かっこよかったぜ・・・

訃報を聞きつけた時はしばらく信じられませんでしたが、
いえ、今も信じられないですけど、認めなければハヤブサが休めないのならばってやつです。

2016/3/7(月) 午後 11:10 [ カカシ ] 返信する

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zen*o*hara6*さんへ
書き込みありがとうございます。カカシと申します。
何やらこみ上げてきてしまう寂しさのやり場に困り、書きなぐったしだいです。

ある程度すべてを出し切った感があり蛇足になりますが、
ハヤブサ選手が飛んだ時代にプロレスファンでいられたことを誇りに思います。

2016/3/7(月) 午後 11:17 [ カカシ ] 返信する

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