|
三角合併はじっさいにどの程度まで使われるのか
雑誌掲載論文『力の意思』07年2月号
http://snpta.at.webry.info/200612/article_5.html
企業買収をめぐる論議が近年たけなわだが、5月から始まる新しい制度の解禁がまた新たな憶測や警戒を呼んでいる。
昨年は株式の公開買付(TOB)によるM&Aが総額4兆円弱の規模に達した。これまでの最高は〇四年の8608億円だから4倍以上だ。
このさなかに「三角合併」の解禁を迎える。
これを受けて12月に、日本経団連が企業の買収防衛規制の強化を求める提言をまとめた。三角合併を株主総会で承認する条件を、議決権で過半数の株主が出席し3分の2以上の賛成が必要な「特別決議」から、株主数で半数以上かつ議決権で3分の2以上の賛成が必要になる「特殊決議」に改めるべきだとする。敵対的買収者が15%以上の株式を取得した場合、その後3年間、敵対的買収者以外の総議決権3分の2の賛成がなければ合併ができない厳格な米国のデラウェア州法を引き合いに、敵対的買収を規制するための「事業結合規制立法」を制定すべきともする。株式公開買い付け(TOB)の対価が日本に上場していない株式などの場合、株主に現金との選択権を与えることも盛り込まれた。
日本財界の動きを米政府がけん制する。米通商代表部(USTR)が日本に対する規制改革の年次要望書を公表し、三角合併の適用厳格化に反対する意向を表明した。日本の経済界には「株式時価総額の大きい外資が日本企業に買収攻勢をかける」との不安が根強いが、今回の要望書で米政府は「重大な制約や手続き上のハードルなしに、実質的にすべての外国株式が使えるようにする」ことを求めている。
三角合併の制度は多くの国ですでに取り入れられており、米国政府の主張はその流れを汲む。自民党の商法に関する小委員会(棚橋泰文委員長)も同月5日に議論をスタートさせたが、「三角合併自体が敵対的買収の要因になるわけではない」「経営者の保身のための厳格化は望ましくない」などの反対意見が相次いだ。法務省、経済産業省も反対しており、決議要件の厳格化は見送られる公算だという。
ただしこのところの世の中の風向きを考えると、少なくとも感情的には敏感にならざるを得ない。
昨年は、村上ファンドの株買占め事件の顛末として阪急ホールディングス(当時)が阪神電気鉄道(同)を経営統合した。米系投資ファンドのスティールパートナーズによる敵対的TOBが引き金となり、日清食品と明星食品との資本業務提携に発展したりもした。
不穏な空気を反映してか、株式の非公開化を目指した案件も多く、アパレルのワールドや外食のすかいらーくなどをはじめとする大型のMBO事案も出てきている。MBO(マネジメントバイアウト)は規模的にも5−6千億円に達し、急速にM&Aの世界での一つの潮流になりつつある。
こんなおりに外資によるM&Aを助長する制度が解禁になる。そこで企業買収の是非と密接に絡んだ問題として三角合併がクローズアップされているのだ。
・・・(続く)→ http://snpta.at.webry.info/200612/article_5.html
|