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 かつて東欧(ルーマニア)を旅したとき、私はバンコクまでの往復チケットのみを持って日本を出た。その足でバンコクの旅行代理店に行き、安いチケットをあたってみたら、ポーランド航空のブダペスト行きが手に入った。初めてブラジルを旅したときには、マイアミ行きの航空券を手にアメリカへ飛んだ。「ラテンアメリカの首都」マイアミに行けば、安い南米行きのチケットも見つかるだろうという目論見だった。予想通り、マイアミの旅行代理店でリオ往復格安チケットが一発で手に入った。

 今思うと昔はこんなだった。日本を出た時点では、目的地へ本当に行けるのかどうかわかっていない。ここでは、旅は目的地まで行けるかどうかの勝負でもある。しかし、それは不安というよりは、旅の面白さの一部なのであった。結果的にこれで成功していたのだから文句はないが、もしこのとき旅行計画書を出せと職場から要求されたとしても、その計画書自体が当てにならないものだったということである。
 
 どうなることか、行ってみなきゃわからない。
 しかし思う。本来旅って、そういうものだったんじゃないだろうか。
 今はインターネットの時代だから、外国のバスや鉄道の時刻だって調べられるし、ホテルの部屋の中まで覗くことだってできる。つまり、かなり詳細な旅行ルートを作成することができる。だが、旅行前に知りすぎてしまったようなむなしさを覚えることだってある。インターネットがなかった時代には情報を手に入れること自体が困難だった。だから、行き当たりばったりというか、出たとこ勝負!という旅にならざるをえなかったのである。

 サハラへ行ったときもそうだった。私は、そのとき大韓航空チューリヒ往復のチケットを片手に日本を出た。(だから、私がスイスを旅行中だと誤解していた人もいた)
 実際には、私はチューリヒから鉄道でジェノヴァ、マルセイユへと乗り継ぎ、そこでアルジェリア行きの船を探したのだった。マルセイユ→アルジェの定期船があるのかどうかなんて、日本のアルジェリア大使館に電話しても「わからん」と言うだけだし、結局のところ日本では何も情報なし。そういうわけだから、まさに「出たとこ勝負」にならざるをえなかったわけである。

 やっぱり船はあった。
 港へ行ってみると、思いのほか大きい船が停泊していた。「タッシリ・ナジェール号」アルジェ行き。その昔サハラが緑と水に溢れていた時代の岩絵が残っている、あの有名な遺跡の名が付いている。そうか。この船に乗ればついにアフリカへ渡れるのか。港近くのオフィスに顔を出し、切符が欲しいんだが、と申し出ると「明日の朝港に来い」と言う。こうして私は、その日はマルセイユのアラブ人街の安ホテルに宿泊、翌朝港へ向かったのであった。
 え、もし船がなかったらどうしていたかって?

 そのときはそのときで考えたさ。たぶん、バルセロナへ向かってたと思うよ。
 

閉じる コメント(2)

そういう柔軟さや経験の積み重ねと、その人の器の大きさおか雰囲気のようなものは深く係わり合いがあるんじゃないかと感じます。

そういう意味では、今はさまざまな情報が入るだけに細かいことばかりに目が向きすぎていて、思い通りに行かなかったら、その場ですぐにお手上げ、自分を失う人が多いような気がします。私がその筆頭ですけど(苦笑)

自分は普段からそういう心持ちでいるだろうか?とKamanyanさんのブログを読むたびに、思い出すたびに考えます。

・・・まだまだだな、うん。

2009/12/23(水) 午前 6:04 [ - ]

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私の器は決して大きくないと思いますよ(笑)。

事前のリサーチや準備が必要なことも事実で、最近はそこに時間をかけるようになっています。
でも、それがかえって旅の自由さを失わせてしまう。あるいは、他人の情報に振り回されてしまう。

旅の原点に戻ってみたいものです。「この先に何があるかわからない」って、何かドキドキしませんか?

2009/12/23(水) 午前 10:54 [ kam*n*an*007 ]

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