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いよいよ、明日からカルナヴァル(カーニバル)。
有名なリオのカルナヴァルもさることながら、アフロ・ブラジル文化の中心地、サルヴァドールの「黒いカルナヴァル」も是非一度体験してみたいものである。
そのサルヴァドールに滞在中、水曜定例のオロドゥン(注:サルヴァドールを根城にする地元の有名なパーカッション集団)のコンサートがあった。オロドゥンのアクロバティックなダンスとリズムで大いに盛り上がっていた頃、突然一人のおばさんがステージに招き入れられ、歌い始めた。
えっ、この声は…?
隣にいたリタ(ブラジル人)に確認すると、そう、あのベッチ・カルヴァーリョ(Beth Carvalho)なんだと言う。
かつて日本では、代表的なサンビスタ(サンバを歌う女性)として、クララ・ヌネス(Clara Nunes)、アルシオーネ(Alcione)、そしてベッチの3人のレコードがよくレコードショップに並んでいた時期があった。私が、ちょうどサンバを聴き始めた頃の話である(写真は当時のアナログレコード)。
大好きだったクララは仙台に来たのだけれど見ておらず、手術の麻酔ミスで若くして他界してしまった。とびきり歌の上手いアルシオーネは、ブラジルのテレビを見ていたら音楽番組の司会をやっていた。
しかし、まさかベッチを生で見ることになろうとは…。
ちなみにベッチは、白人でありながら、裏山の貧しい黒人たちのサンバを積極的に紹介したことから、いまも高い評価を受けているサンビスタである。
リタの話では、彼女はたまたま休暇でサルヴァドールに滞在中で、翌日は市内バーハ地区のレストランでライブがあるらしい。
これを聴き逃す手はない。さっそくチケットを手配してもらい、翌日リタとそのレストランへ向かった。
高齢のせいだろうか、当日の彼女の出番は30分超というとても短いものだった。それでもリタが盛んに背中を押すので、私は最前列まで出て行き、かぶりつきの位置で聴き、踊った。ベッチとの距離はほんの数メートル。
変な日本人が来ていると思ったのだろうか?ベッチは歌いながら、確かに目の前の私を見て笑っていた。(ような気がする…)
さて、今年のリオのカルナヴァルだが、2月にとても残念なニュースが入ってきた。火事が発生し、エスコーラ・ジ・サンバ(サンバチーム)の大切な衣装や山車が焼失してしまったのである。燃えた衣装なんと8千着、被害総額約5億円。直接の影響を受けるサンバチームは4つくらいらしいが、これまで積み上げた準備とカルナヴァルへの意気込みを考えれば、どれほどの落胆だろうか。
「衣装なしでも出る!」と涙声で語った、とも聞いているが…。
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