ふあんふぁんなカマス日記

さかなも陸で暮らせます。97%ノンフィクション日記

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高瀬 毅 著
2009年7月11日 初版第一刷発行
平凡社


話題になったノンフィクションです。


これは読んでみたかった本なので、図書館で見つけたときは思わず「やった!」と叫びました(心の中で)

タイトル「消えた」なんですけど、本当は「消された」んじゃないかなって思ってしまうような
ハードな内容です。


広島には原爆ドームがあるのに、長崎にはシンボルとなるものがありません。

「それはなぜなのか?」を問う本です。


長崎の原爆は浦上天主堂の近くに落ち、浦上天主堂も大きな被害を受けました。
写真が掲載されていますが、原爆の衝撃を受けたマリア像や使徒像はキリスト教徒ではない
カマスも心が痛みます。

宗教施設というところは、そこの信者でないカマスにも特別な場所に見えました。

キリスト教徒の多い米国という国が、何百年もの幕府や地域の人たちからの抑圧、時には
命のかかった迫害に耐えてキリスト教を守ってきた長崎の人たちの頭の上に
決して消すことも償うことも出来ない罪を犯してしまいました。


もともと、廃墟となった浦上天主堂を後世に残す運動はあったようですが、米国に
招待された当時の市長の心変わりや天主堂の司祭さんの意向などあって
廃墟を残す流れにはならなかったようです。

また、キリスト教徒への根強い反感の気持ちから、浦上天主堂を残すという大きな
市民運動にはならなかったそうです。

これも怖いです。

小高い山を隔てた市街地は被害が小さく、天主堂を始め、キリスト教徒の多く住む
地域に被害が大きかったことを「やっぱり…」という受け止め方をする市街地の
住民も多かったようですし、肝心のキリスト教信者の中からも
「原爆は戦争を早く終わらせるための神の摂理であった」と言う人がいました。

それが「長崎の鐘」で有名な永井隆さんです。


カマスもこの「神の摂理」発言は知っていましたが、まさかこれが永井さんの言葉とは
知りませんでしたので少なからずショックでした。


米国がこの永井さんの発言に乗っかったとしても仕方ないでしょう。
利用されても仕方ないと思います。


米国が「自分の国を好きになってもらう」ためにどれだけの人とお金をつぎ込んで
いるか。
米国が「自分たちの考え方を学び自国に持ち帰ってもらう」ためにどれだけの
人とお金をつぎ込んでいるか。

う〜ん、うまい!としか言いようがありません。

フルブライト奨学金てそのためにあったのか〜。
奨学金をもらって外国から来て勉強した人たちが、米国人と友達になり、米国を好きになり、
米国の考え方ややり方を自分の国に持ち帰ってくれればどんなに自分たちに有利でしょうか。
それぐらいの人たちなら、それなりのポジションに登ることもあるでしょうし。

その辺りの心理作戦についても詳しく書かれています。


いや〜、やられましたね。

カマスも金魚ちゃんもはまってますからね〜。


金魚ちゃんなんか、米国から帰国して以来「こっちの方が楽」と仕事のやり方を
米国方式に変更しちゃって…思い通りジャンか〜。


まぁ、おさかな二人ならさして問題はないのですが、ことは原爆の落ちた「教会」
ですから問題は大きいです。


浦上天主堂は、その昔、絵踏みをさせる建物があった場所を信者の皆さんの努力で
買い取って天主堂を建てた大切な場所なのだそうです。

何人もの信者さん達が心ならずも神聖な絵を踏み、踏めなかった人達は
激しい拷問を受け、命を落とした人もいたのです。


そこの土地を買い、煉瓦のひとつひとつを寄付金で買って大切に建てた教会。

それが一発の原爆で廃墟になってしまいました。

信者のみなさんのお気持ちはいかばかりだったでしょうか。
しかも爆風に耐えて残った煉瓦のひとつひとつを壊して更地にするなんて
どんな思いがしたことでしょうか。


信者のみなさんは、その土地にこだわりがあり、そこに新しい教会を建てることを
望んでいたかもしれませんし、そうでないかもしれません。

信者のみなさんのお気持ちはどちらなのだろうかと思いました。

この本には、司教さんや市長、政治家などの意見や声は書かれていますが、
先祖代々キリスト教を守って信仰とともに静かに、でも迫害と闘いながら生きてきた
人々の声が書かれていませんでした。

カマスはそこが不満でした。



戦争って高度に政治的な問題なんだなということを改めて感じました。


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