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加藤徹 著
2006年2月20日 初版第一刷発行
光文社新書
漢文に興味を持っているカマスですが、もちろん読むこともまして書くことなんてできません。
が、江戸時代まではちょっと教養のある人なら誰でも自由に読み書きが出来たし、
明治期に入っても読める人書ける人が大勢いました。
それが大正時代に急速にすたれて、昭和に入ったら自由に読み書きが出来る人は
少数派になってしまい、実用的なものではなく、余暇を楽しむ教養となりました。
それが残念!と思っているカマスです。
本書では、日本に漢字が輸入される以前の歴史から始まって、漢字が日本に伝わり
どのように日本で受け入れられ、広まっていったのかを、中国の歴史、
日本と中国との関係の変遷などを交えながら書かれています。
明治期までは、日本人と中国人は筆談で会話ができたというところがすごいですね。
また、明治時代に日本に入ってきた西洋の思想に日本人が漢字をあてたところもすごいです。
なんという創造力なのでしょうか。
そして、その言葉は中国へ逆輸入され現在でも中国語として普通に使われているそうです。
本書で挙げられている漢詩も興味深かったです。
漢詩ってまとめて読むと、あの独特のリズムが眠気を誘うのですが、こうして
説明をしてもらいながら一篇一篇読むと分かりやすいし楽しめます。
長屋王が中国の僧侶に贈った袈裟に刺繍させた友好メッセージが好きです。
山川異域 風月同天 寄諸仏子 共結来縁
訓読すると「山川域を異にすれど、風月は天を同じうす。諸仏子に寄す、共に
来縁を結ばん」となります。
難しい漢字もなく、字面もきれいです。
どんな刺繍だったのか気になります。
当時の力関係上、中国と日本が対等に付き合うというのは難しかったようですが
日本は必ずしも中国側から劣った属国扱いを受けていたわけではなく、
仏教布教に熱心な新興国と思われていたこともあったようです。
中国の、日本への気持ちは中国で国が変わるたびに変わっていくようでした。
その辺りの歴史の移り変わりが面白かったです。
作者の加藤さんが何度も、漢字は東アジアの共通の財産だと書かれていたのが
心に残りました。
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