HKの音楽夜話

在京オーケストラの定期公演を中心に、コンサート、オペラのレビューを掲載します。

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アルティ弦楽四重奏団
2008/6/26(木)トッパンホール
豊嶋泰嗣(ヴァイオリン) / 矢部達哉(ヴァイオリン) / 川本嘉子(ヴィオラ) / 上村 昇(チェロ)

ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第5番 イ長調 Op.18-5
武満 徹:ア・ウェイ・ア・ローン
ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第9番 ハ長調 Op.59-3「ラズモフスキー 第3番」

メンバーの名前を見ただけで期待が高まるクァルテット。にわか編成ではない。結成から10年間、それぞれ多忙な中で着実に活動を続けている。今夜は、ベートーヴェンのOp.18-5は矢部さんが1st、後の2曲は豊嶋さんが1stをとった。

矢部さんがトップを務めるOp.18-5、整ったフォルム、溌剌として柔軟自在なリズムがすばらしかった。いつも感心するが、矢部さんの音は本当に美しい。腕もすごいが、この楽器もすごい楽器なのでは?そんなに大きな音ではないので、ときどき1stが埋まってしまう瞬間があるが、とにかく音が美しかった。川本さんも上村さんもうまい。Allegro楽章は、4人のイントネーションがしっかり意思統一されていた。変奏形式のAndanteにはすでに晩年の傑作の萌芽が見えるのだが、ここはどうなんだろう。一貫したリズムのパルスをしっかり守ることで、端正な様式の中に音楽の変容を表現しようという意図なんだろうと思うが、自分の好みをいうと、第4変奏をもう少し沈潜させてからクライマックスにもっていくようなドラマチックなつくりが好きだ。終楽章は怒濤のアンサンブルに圧倒される。八分休符+3*八分音符のリズムが一糸乱れず各楽器に受け渡される爽快感。

ラズモフスキーも緊密なアンサンブルで立派な演奏だったが、Op.18-5で見せた完成度には至っていない印象。

それにしても皆さんうまい。うまいだけではなくて、アンサンブルの方向性が統一されている。彼らがクァルテットに専念したらどんなにすごい団体になるんだろうと想像するが、やはりオーケストラが忙しくて無理なんだろうな。


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