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NHK交響楽団第1631回定期公演Bプログラム
2008年11月5日(水)サントリーホール
イルジー・パウエル / ファゴット協奏曲(1949)
ブルックナー / 交響曲 第4番 変ホ長調「ロマンチック」(ノヴァーク版 1878/80年)
指揮:イルジー・コウト
ファゴット:岡崎 耕治
今夜のN響は、実に渋くてまとまりのある音色だったと思います。指揮者の力でしょうか、それともゲストコンマスのミリング教授のリードでしょうか。
シュターツカペッレ・ドレースデンの前コンマス、ミリング教授は定期的にゲストコンマスとして客演し、そのたびにいつものN響とは違うサウンドを聴かせてくれるので楽しみにしていましたが、今夜も期待通りでした。自分の印象ですが、彼の運弓は弓幅が大きく、運弓の速度、弓圧などの多彩な変化でイントネーションの幅がとても広いと思います。また節回しやリズムに独特のリルトというかコブシのような味わいがあって、それが弦楽全体に行き渡って、表情豊かな音になっていたんじゃないでしょうか。バックデスクの方で、いつもと同じ弓幅で醒めて弾いている人が若干いたのは、ちょっと残念です。
もう一つ、今夜は金管が近頃まれに見る出色の出来でした。ライブだから、小さなミスはそこここにありましたが、弦とのバランス、アコードの響き、遠近感、音色の変化、微妙な音程操作(例えば、3度をちょい低めにとって、少し暗めのカデンツをつくってみたりとか)など、非常に美しかったと思います。ホルンのトップ、今井さんだったでしょうか、ブラヴォーです。関山さん、こんなことを申し上げては失礼ですが、今夜のようにロータリーバルブの楽器の時の方がアンサンブル全体とよく溶け合って美しいと感じます。(そりゃロータリーの方が音色がやわらかいんだから当たり前か。。)
コウト氏は、ゆっくり目のテンポで丁寧な音楽づくりでした。奇抜であっと驚くような表現はなく、常套的ですが安心して美しい響きに身を任せられるような演奏だったと思います。満足しました。
ところで、実際にこの曲を演奏されたことがある方に伺いたいことがあります。今夜演奏されたのは、第二稿(1878/1889)ノヴァーク校訂版で、手元の国際ブルックナー協会全集版では、フィナーレ247小節のストバイはダウンボウ5連発の指示がありますが、ミリング教授はここをアップから初めてアップ/ダウン交互に弓幅一杯にテヌートで弾いておられました。こういう弾き方を経験された方いらっしゃいますか?
最後に悲しいお知らせをひとつ。来週のAプロ、楽しみにしていたトリスタン2幕ですが、例のカットがあるそうです。682-1002小節、イゾルデの“bot ich dem Tage Trutz!”の直後から“Doch es raechte sich der verscheuchte Tag;”の直前までがカットされ、682-683小節のC-dur V-Iのカデンツが1003小節のAs-dur Iにブリッジされます。この間って、2人が昼と夜についてとても味わいのある一種メタフィジカルな会話を聴かせる場面、音楽的にもドミナントモーションとエンハルモニックが延々と連続する聴かせ処で、カットは本当に惜しいですね。昔はいざしらず、最近では劇場でカットされることはほとんどありません。直近では、昨年のベルリン州立オペラ+バレンボイムの来日公演でカットされていました。演奏会形式でしかも2幕だけ。歌手への負担が理由とは思えません。本当に残念です。
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はじめまして、あんずと申します。私は2日目にいきました。
ゲストコンマスというのも、モチベーションがあがるのでしょうね。
楽しい演奏会でした☆
2008/11/8(土) 午前 0:15
あんずさん
コメントありがとうございます。
やはりプロの音楽家同士だからプライドがあって、下手なところは見せられないから、お互いに緊張感が高まるのでしょうね。ミリングさんがこられる時は本当に音が違うと思います。
Aプロ、Cプロもいらっしゃるのでしょうか?
私は、ACとも土曜日の会員です。
2008/11/10(月) 午前 10:14 [ kamata60 ]