HKの音楽夜話

在京オーケストラの定期公演を中心に、コンサート、オペラのレビューを掲載します。

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ロッシーニ:チェネレントラ
2009年6月10日(火)新国立劇場

ロッシーニは理屈抜きに楽しい。今夜はすごい歌手が揃って、歌唱については満足。とくにシラグーザの柔らかく暖かい音色と正確な音程、技術は圧倒的。2幕の大アリア“Se fosse in grembo a Giove”、完璧なアジリタと4回の輝かしいトップCをきっちり決め、満場のブラーヴォに応えて “Dolce speranza”からカバレッタの最後までをアンコールの大サービスで再度満場のブラーヴォ。こんなサービスができるのもロッシーニならでは。カサロヴァは、低域のハスキーな音色にちょっとクセがあるが、豊麗な胸声がびんびん来て、ちょっと乾いたアジリタが小気味よい。演技が上手なアンサンブルの中でも特にマニフィコのシモーネは出色。ブッフォな声じゃなく、むしろ音色自体はプレーンだが、声色(こわいろ)の変化、スピードの変化、豊かな音量と正確な発声で変幻自在な表現の幅がすごい。そうした中で、ダンディーニを演じたカンディアは、ちょっとアジリタが滑り気味で、歌唱全体にアバウトな印象を受けた。クロリンダの幸田さん、なかなかの美声で、ほかのスーブレットを見てみたい。言葉のキレが小気味よい14番の六重唱など、アンサンブルは美しかった。合唱も好演。

オーケストラは、重い。ロッシーニ独特のシャンパンの泡がパチパチはじけるような軽妙なリズム感がなく、ガスが抜けてべとっとした発泡酒。シンフォニアから冒頭の二重唱は、どうにも重ったるく、一体この先どうなることかと心配したが、劇が進行するにつれて、そこそこにまとめてきた。2幕は重いながらもそこそこ聴けた。指揮者にブーイングが出たのもしょうがないだろう。

ところでこのプロダクション、「新制作」なんて麗々しく書いてあるが、30年近く前にミュンヒェンのナツィオナルテアターで初演されたものの再演出。べつにいいじゃないですか。借りてきて制作費を安くして、その分豪華な歌手を揃えたのもひとつの見識。

とにかく、楽しかった。こんなにすばらしい歌手陣でロッシーニを聴けて、最高。

出演者等は、以下の通り。
【指 揮】デイヴィッド・サイラス
【演出・美術・衣裳】ジャン=ピエール・ポネル
【再演演出】グリシャ・アサガロフ
【演技指導】グリシャ・アサガロフ/グレゴリー・A.フォートナー
【ドン・ラミーロ】アントニーノ・シラグーザ
【ダンディーニ】ロベルト・デ・カンディア
【ドン・マニフィコ】ブルーノ・デ・シモーネ
【アンジェリーナ】ヴェッセリーナ・カサロヴァ
【アリドーロ】ギュンター・グロイスベック
【クロリンダ】幸田 浩子
【ティーズベ】清水 華澄
【合 唱】新国立劇場合唱団
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団

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お久しぶりです。拙ブログへのコメント、ありがとうございました。12日に観ました。感想はおおむね共通します。声の饗宴は理屈抜きに楽しいですね。シラグーザの第2幕のアリア、文句なしにブラーヴォです。サイラスの指揮にはもっと軽さを求めたいものの、全体として楽しめる公演でした。

2009/6/16(火) 午前 6:12 [ dsch1963 ]

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シラグーザは良かったと思いますが、熱のいれようという点では昨年のスポレート来日公演(全体としは相当ひどい公演でしたが)の方が上回っていたと思います。
正直、これだけの歌手を揃えたのに.....という贅沢な不満が先行してしまった公演と感じました。
失礼いたしました。

2009/6/17(水) 午前 0:12 [ - ]


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