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NHK交響楽団 第1650回定期公演 Cプログラム
2009年6月13日(土)NHKホール
ベートーヴェン / ピアノ協奏曲 第1番 ハ長調 作品15
メンデルスゾーン / 劇音楽「夏の夜の夢」作品61
指揮:準・メルクル
ピアノ:ジャン・フレデリック・ヌーブルジェ
ソプラノ:半田美和子
メゾ・ソプラノ:加納悦子
合唱:東京音楽大学
語り:中井貴惠
プロフィールによると23歳。ステージマナーが少したどたどしい。凝り性で、何かを始めるととことんやるタイプらしい。出てくる音もそのとおりで、確固たる自分のスタイルを持っている。メルクル氏やソロを吹くプレイヤーとたびたび視線を交わすが、メルクル氏もオーケストラも彼のやりたいことに共感する姿勢で、密度の高い音楽表現がつくりあげられていく。遅めのラルゴはテンポをかなり自由に動かす濃厚な表現。同時期に書かれた悲愴ソナタもそうだが、ギャラントでロマンティックなこの音楽には、こういう表現も似合っていて、自分は好きだ。小さい編成のオーケストラとのバランスはいいが、後半に合唱が入るのでいつもよりステージの奥行きが広いせいか、音が散って細かい部分がよく聴こえてこないのが残念。若手ピアニストといえば、昨年来演したヘルムヒェンのどこまでも端正で美しくスキのない完成度ではないが、ヌーブルジェも新鮮な感性が魅力的なピアニストだ。
後半のメンデルスゾーンも小編成、合唱付きの割にはステージの奥行きが深く、やはり細部がよく聴こえない。ソロは舞台奥の合唱手前に配置。ソロも合唱も遠すぎて歌詞が聴き取れない。とくに合唱はa,oなどの母音の発声が浅く、子音も弱いので、少年少女合唱のように聴こえてしまう。楽譜にはセリフと音楽をシンクロさせるタイミングについてこまかい指示がたくさんあるが、そこはよく揃っていたし、中井さんの語りは、さすが舞台経験豊富な俳優らしく、声色の使い分けが見事だったが、そういうタイミングの揃え方にリハーサルの時間をかなり費やしたのだろうか、肝心の音楽は、いつものN響水準に達していないように感じた。これも音が遠いせいでそう感じるのだろうか?ノットゥルノのホルン、もうちょっと長い息で深々とした歌を聴かせてほしい。
この日は,ステージのセッティングにちょっと問題があるんじゃないだろうか。広い空間、深いステージ、小編成で、2階最前列の自分の席でも音が遠いと感じた。
メルクル氏は毎年来演していて、楽しみにしている。昨年の「ペレアストメリザンド」も立派な演奏だった。この日はちょっと残念だった。
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