HKの音楽夜話

在京オーケストラの定期公演を中心に、コンサート、オペラのレビューを掲載します。

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2008年11月12日(水)NHKホール
ロイヤル・コンセルトヘボー管弦楽団
マリス・ヤンソンス(指揮)
ジュリアン・ラクリン(バイオリン)

ブラームス:バイオリン協奏曲 二長調
(バッハ:無伴奏ヴァイオリンパルティータBWV1004からサラバンド)
ブラームス:交響曲 第3番 ヘ長調
R.シュトラウス:交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」
(ブラームス:ハンガリー舞曲第1番)
(J.シュトラウス:エリエン ア マジャール)

ラクリン氏の演奏は初めて聴きました。うっとりするような美音というわけではありませんが、
腰がしっかりしてよく飛んでくる音で、中低音域に独特のねばりのある味わいがあります。
音程が不安定なところが所々にありました。彼よりメカニックに巧い人はいるでしょう。
しかし、彼の揺るぎない構成感、誠実でケレン味のない音楽づくりは、ブラームスにはぴったり
じゃないでしょうか。特にオーケストラとのアンサンブルには繊細な配慮が見られました。
ソロが入ってくるところの16分音符六連符アルペジオとオーボエとの絡み(bar.102以降)、
シンコペーションを刻むヴィオラ(例えばAdagio bar.64以降)など、呼吸を揃えたいパートを
振り向いて、視線を交わして、指揮者とともに音楽の一体感を醸成しようという姿勢。オケと
ソロがソリッドなワンピースになったシンフォニックな演奏でした。ソリストの気配りによく反応し、
オーケストラの方も丁寧で美しいサポートをつけていました。おみごと。アンコールのサラバンドは、
中間部から主部再現にかけての密やかで内省的な響きがすばらしかったと思います。

ブラームスのシンフォニーは、16型の大編成の弦楽に楽譜通りの2管。音色がよく溶け合う
オーケストラだという印象。毛羽立ったところが全くない美しい弦楽と管楽器の溶け合い。
管楽器同士の溶け合い。例えば、アレグレット楽章の中間部、ファゴット+クラリネット、
ホルン+オーボエというように楽器の組み合わせを変えてメロディラインが発展していく
箇所(bar.41アウフタクト以降)がありますが、2つの楽器が溶け合うというよりも、むしろ、
一つの楽器の倍音構成が微妙に変わることによって音色が切れ目なく変化していくような印象
を受けました。そして、どこを切り取っても威圧的で乱暴な強奏がなくて、飽くまでも豊かに
響き渡るソノリティが美しい。ヴィオラ、チェロ、バスは、太いという感じじゃなくて、
フェザーのように軽く、ふわっとした心地よさ。しかも、ヴィオラはヴィオラの音がするし、
チェロはチェロの音がする。トロンボーンの三声体も軽くてよく響く。オーケストラの値打ちは、
音の大きさじゃないですね。こういう精巧で、緊密で、隅々まで気を配ったアンサンブルは、
地味かもしれませんが、ぐっと心に響きます。もうひとつ特筆すべきは、音楽の流れ。
第2楽章なんかは、主部ー中間部ー再現部と3つのフレーズだけで音楽ができているように、
次から次へとフレーズが大きなアークを描きながら切れ目なくつながっていって、聴いている
方としては息つく暇なく、酔いそうな気分になりました。ああ美しい。

最後のティル・オイゲンシュピーゲルは、ちょっとリハーサル不足でしょうか。非常に完成度が
高いブラームスの後では、フレーズの受け渡しやリズム、テンポの変わり目などにやや
こなれていないところがありました。もちろん技術的にはすばらしいと思いますが。ホルンの
1番、3番、すごいヴィルトゥオーゾです。コンマス氏、美しい音です。Erstes Zeitmassの
1小節前からのソロの下降音型、粒が揃って見事。音色だけで評価すれば、ラクリン氏よりも
断然美音です。なるほど、達者なプレイヤーが揃っていますね。

サービス精神旺盛に2曲のアンコール。リラックスしたほどほどの演奏でしたが、お客さんは
やはり派手な曲には反応しますね。

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