HKの音楽夜話

在京オーケストラの定期公演を中心に、コンサート、オペラのレビューを掲載します。

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NHK交響楽団第1638回定期公演Cプログラム 
1月17日 ( 土 )NHKホール

ウェーベルン / パッサカリア 作品1
マーラー / 交響曲 第10番から「アダージョ」
R. シュトラウス / 交響詩「ツァラトゥストラはこう語った」作品30
指揮:デーヴィッド・ジンマン


透明、明晰なテクスチュア、決して力尽くにならない響きの美しさを堪能しました。

パッサカリアは、お客さんのざわつきがまだ収まらない中、注意深く耳を峙てないと聴き取れないような、弱音器をつけたピツィカートから240小節あたりの音響的クライマックスまで、透明な響きと自然なリズムの呼吸を楽しみました。第1変奏の沁み入るように美しい弦楽四声とハープの爪音、その上に、幽かに聴こえる津堅さんのトランペット、神田さんのフルートソロが美しい。忍び込むように入るクラリネット。からみつくようなホルンソロ。暗闇から光が立ちのぼるような雰囲気。第3変奏で入ってくる弦は、薄めで透明。八分音符と三連符の衣擦れのようなテクスチュアがきれいに聴き取れます。第7変奏まで次第にテンポを上げて、第8変奏で最初の山を迎えるところ、力ずくにはならず、金管と低弦の複雑なリズムの交錯が美しい。いったん静まって、ニ長調に転じ、音楽の表情ががらっと変わる第12変奏以降、木管とヴィオラソロの室内楽のような親密な絡み合いが印象的。ああ美しい。クライマックスを迎える第23変奏(187小節のF-E)に向かっての金管のパースペクティヴの運びが立派。テクスチュアがいちばん複雑になる230〜240小節のあたりも響きが濁ることはなく、あくまで透明音楽が進みます。山を下って、最後のトロンボーン三声のニ短調主和音まで、まったく濁りのない音楽でした。これ、相当綿密なリハーサルをしたんじゃないでしょうか。

マーラー、シュトラウスも、力強さとか壮大さよりもテクスチュアの透明感とソノリティの美しさをより重視した同じ方向性。ジンマン氏の打点を押し付けない、アンサンブルの呼吸を自然にオーケストラから引き出すバトンがすばらしい。オーケストラのメンバーからも拍手やフロアタップなど、共感の意思表示がありました。ぜひまた聴きたいマエストロです。

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