|
読売日本交響楽団第165回東京芸術劇場名曲シリーズ
2009年10月19日(月) 東京芸術劇場
指揮:下野 竜也
チェロ=ピーター・ウィスペルウェイ
ソプラノ=澤畑 恵美/國光 ともこ
テノール=永田 峰雄
合唱=新国立劇場合唱団
バッハ(レーガー編曲):〈おお人よ、汝の大きな罪を嘆け〉
ヒンデミット:チェロ協奏曲 作品3
メンデルスゾーン:交響曲第2番〈賛歌〉
驚いた。ヒンデミットのチェロコン、ああ、あの曲だなと思って出かけたが、、、音が鳴ってびっくり。ヒンデミットのチェロコンといえば、「ンダッ、ダララダ、ダララダッダッダッダ...」ってやつだと思い込んでいたら、全然別の音が出てきて驚いた。あわててプログラムを見ると、「チェロ協奏曲作品3」と書いてある。ああ、若いとき(1921)に書いた方だったんだ。。。しかしねえ、下野さん、いかに「ゲテモノ担当」と自らおっしゃっているとはいえ、ヒンデミットには円熟期に書かれた立派なチェロコン(1940)があるのに、なんでこっちなんだろう?1940の方だって、そんなに頻繁に演奏される訳ではないし、内容的には1921よりはるかに立派なんだから、下野さんのヒンデミットシリーズの一環として演奏するなら、順番としてはこっちが先じゃないのかなあ?うーん、作品のせいだろうか、オーケストラもこなれていない、整理されていない印象で、ウィスペルウェイ氏もあちこちで音程が不安定で万全とはいいがたい演奏。アンコールのヒンデミットとバッハのサラバンド(ほとんどノンヴィブラート)は美しかった。
ぜひ、マティスシンフォニーの天国版ともいうべき、あの美しい1940チェロコン、いつかやってください。きっと下野さんの芸風にマッチしてすばらしい演奏になると思います。
メインのローベスゲザンクは、聴きごたえのある演奏だった。なんだか下野さん、ひとまわり大きくなったような印象。いつもながらのさっそうとしたアンサンブルと力強い推進力に加えて、音楽の勘所でちょっと見栄を切ったり、少し濃厚な表現を見せたりと、ご自分のやりたいことを十分にオーケストラに行き渡らせ、音楽を支配しきっていた。アレグロのコーダ部分は、火の出るような勢いだったし、3拍子のアレグレットは速めのテンポで気持ちよく流れつつ心地よいアンジュレーションというかリルト(こぶし)を感じさせるデリケート弦の歌わせ方が美しい。木管ソロは、飛び出たり、弦ときれいに混ざったり、色のパレットが豊富で大健闘。オーボエとファゴットのオクターブユニゾンとか、楽章間のブリッジになるクラリネットのソロとか、今夜は木管のソロがことごとく決まった。
終楽章は、まず新国合唱団が立派。ノンヴィブラートだったかな?力強いのに透明感のあるハーモニーで、歌詞もよく聞き取れた。とくに、ほとんどアカペラで歌われる8番のコラールがすばらしかった。唯一気になったのは、同ナンバー中、"und Allen wohlgetan"のところの音程。ほんのちょっとだけど。
澤畑さん、美しい声で丁寧な歌でしたが、ドイツ語の母音がちょっと浅くないかな?オルガン席まで上がって歌ったところの"Die Nacht is vergangen!"で、一番高いaの音程が決まらなかったのが残念。同じナンバーでのテノール永田さんは立派な声量の迫力ある歌だった。
オーケストラの配置に工夫がみられた。ホルンとトロンボーンを山台にのせて、トランペットとティンパニは舞台下手に平場置き。ヴァイオリンのバックデスクに隠れていたせいもあるが、ベルは終止やや下向きで、柔らかいバルブトランペットをさらに柔らかく聴かせるような吹き方。オケ全体が弦楽中心のシルキーな音色となり、金管のハーモニーがよく解け合い、奥行きをコンパクトにしたせいか、合唱とも美しくブレンドして、すばらしい効果だったと思う。
月曜日とはいえ、客席はちょっと寂しい。月曜からコンサートなんか行ってないでもっと仕事しろといわれそうだが。。。
|