HKの音楽夜話

在京オーケストラの定期公演を中心に、コンサート、オペラのレビューを掲載します。

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2009年03月

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浅田真央さん残念

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朝、世界フィギュア選手権女子シングルのライブ中継を見ました。

浅田真央さん、残念でしたね。Group4の6分間練習のときから、かなり緊張した表情をしていました。様々な経験を積んだ今となっては、2005年のGPFでのくるみ割り人形や2006年Skate Americaでのノクターンの頃のような、怖さを知らない攻撃的な演技はもうできないのかな。

最初のトリプルアクセル+ダブルループはきれいに決めました。Judges Score(以下JS)を見ると、9人の演技審判のうち過半数の5人がGOE+をつけ、エレメントスコアは、10.10でした。ここまでは順調。しかし、2つ目の3Aは、壁に近いのが気になったのか、映像からもはっきりと回転不足。とっさの判断でアンギュラーモメントを何とか確保しようとローテーションポジションをランディングぎりぎりまでタイトにがんばってしまったためか、フリーフットを抜ききれずに転倒してしまいました。ここでダウングレード(8.5-3.5=5)、GOEマイナス(-2)、転倒減点(-1)、PCSを合わせると約9〜10点損してしまいました。LAのStaple Centerは、アイスホッケーの寸法に作られてるため縦方向がフィギュアスケートの国際規格よりもやや狭く、リンクの縦横に広くアイスカヴァレッジをとる真央さんにはやや苦しかったかもしれません。

3つ目のジャンプ要素、トリプルフリップ+ダブルループ+ダブルループ(タノ)はうまくまとめましたが、いつもに比べて、ランディング後のスピードはやや足りなかった印象です。スパイラルシークエンスの第3ポジション、レフトフォワードアウトで滑走し右脚をアラベスクに上げるところは美しかった。ここは表情も明るく、JSでは7人からGOE+評価を受けましたが、ややスピードが足りないのか、レベル4はとれず。

当初トリプルサルコウを予定していたジャンプパスは、2つ目のコンビネーションをトリプルフリップ+トリプルループから安全策をとってトリプルフリップ+ダブルループに変更したことに伴い、サルコウ(4.5)よりもベースバリューが高いループ(5.0)に変更されていました。しかし、今日の結果を見ていちばん問題があったのは、ここの選択かもしれません。SPでは、今シーズン苦しんでいたセカンドのトリプルループがはじめてラティファイされたのだから、トップとの点差を考えれば、ここは今年の真央さんのテーマである「攻めの姿勢」を貫いて、予定通り3F+3Loで押し通した方がよかったかもしれません。本人もおそらく後悔していると思います。

案の定、安全策のはずの3F+2Loのセカンドが回転不足になってしまいました。ループジャンプは、コンビのセカンドとして飛ぶ場合、最初のジャンプのランディングフットのニーアクションでそのまま飛び上がるのでタイミングがとりにくく、どうしてもアンダーローテーションになりがちですが、安全策がさらに裏目に出る悪循環になってしまいました。

ルッツはSPでの失敗を引きずっているのか、トリプルトウループに変更。ここはやむを得ないでしょう。SPでもエッジにアテンションがついていましたから、結果としてはわずかながら点数を稼ぎました。

6分間練習直後の滑走順のせいか、ストレートラインステップシークエンスはいつもより元気がなかったように思います。レベル3はとれていますが、GOEが伸びなかった。わずかながら、真央さんの特長であるスケーティングフットのニーベンドが好調なときよりも浅いように見えました。ひざに故障を持っているような気がします。最後のキャメルコンビネーションスピンのサイドウェイズ・ヴァリエーションは美しいポジションでした。ここはかなり進化したようです。

昨年11月のトロフィ・エリック・ボンパール@パリからこのFSプログラムを6回演じたわけですが、最後までパーフェクトにこなすことはできませんでした。やはり3Aを2回というのは負担が大きいのでしょうか。昨シーズンの幻想即興曲のプログラムでは、3F+3T, 3F+3Loという大きな得点源がありましたが、今シーズンはアンダーローテの判定が厳しくなり、また3Aで体力を消耗し、さらにルール変更でスピンが1回減らされた分の演技時間を45秒という規格外のストレートラインステップシークエンスに費やした結果、得点源のトリプルコンビが最後まで完成できなかったことと、エレメントをこなすのに精一杯で、持ち味の深いニーアクションとアッパーボディの美しいムーヴメントが活かせていないのが残念です。

さて、来シーズンはオリンピック。振付けは、どうなるのかな?本来の彼女のリリックなスタイルを考えると、昨シーズン同様、SPをタラソワ、FSをニコルというパターンで、もう少しFSに体力的な余裕を持たせるようなコレオの組み方をすると良い結果が出るのではと思います。浅田真央さんの来シーズンの健闘を祈ります。負けるな。がんばれ。

上野でハーガー+N響の「天地創造」を聴いてきました。
どうも投稿がうまくいかないので、こちらをご覧ください。
ご迷惑をおかけします。

http://www.rr.iij4u.or.jp/~hkamata/schopfung.htm

東京都交響楽団第677回定期演奏会Bシリーズ
2009年3月23日 サントリーホール
指揮:エリアフ・インバル
ピアノ:横山幸雄
合唱:晋友会合唱団
ラヴェル:ピアノ協奏曲 ト長調
ラヴェル:バレエ音楽『ダフニスとクロエ』 全曲

都響は本当に巧いですね。ただ、これがインバル氏の個性なのか、田園劇を雰囲気豊かに聴かせるというよりも、全体に速いテンポで、かなり厳しく締め上げられた印象。海賊のコール・ド・バレエの場面(fig.92)は猛烈に速いテンポ。譜面の♩=138よりかなり速く感じたが、あんなもんかな?美しい瞬間は随所にありました。冒頭、フルートソロからメロディラインのgをもらったホルンが遠くから鳴ってくるような遠近感はとても雰囲気がありました。最初の群舞の中から主役2人が舞台前景に進み出るところの矢部さんのソロ、いつもながら音色に惚れ惚れする。弦のアンサンブルが美しい。例えば、海賊の頭目に哀願するクロエの踊りへの伴奏での微妙にダイナミクスとテンポが変化する3拍子の揺れるような味わい。木管では、寺本さんのソロ。第2部の長大なソロ(fig.176)はもちろん、リュケイオンの艶かしい踊りへの6/8拍子のメロディー(fig.57)も鮮やか。Esクラ嬢の表情豊かで輝かしいソロもすばらしかった。晋友会も立派。無伴奏の合唱、アルトから半音下降メロディを受け取るところのソプラノ、cの音程がばらけてしまったところだけが惜しかったが、あとはほぼ完璧。あっという間に全曲終わりました。

2009-3-21読響

読売日本交響楽団 第159回東京芸術劇場 名曲シリーズ
2009年3月21日(土) 東京芸術劇場
指揮:スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ
チャイコフスキー/弦楽セレナーデ
ストラヴィンスキー/管楽器のための交響曲
ブラームス/交響曲第4番

今夜一番よかったのはチャイコフスキーかな。速いテンポで颯爽と進め、感傷的なところはないのにロマンティックな演奏。ワルツはよく流れ、エレジーの序奏が帰ってくるところが特にしみじみ感じた。夢から現れて、また夢に溶けていくような感じだ。ちょっと薄めだが弦は巧い。ストラヴィンスキーの美しい曲もドライな演奏。しっかりしたフォルムだが、所々ハーモニーが濁るところがあった。

ブラームスの前半2楽章は、ねぼけたような印象。くっきりはっきり骨があって響きも美しい後半と対照的。全体の構成としてわざと前半は抑制しているのか?それにしても弦はがさがさしていて、木管やホルンは弱々しい。アレグロ楽章は、コンマスだけががんばって、ヴァイオリンのバックデスクの方が霞んでいる感じ。唯一、しっかり鳴って満足できたのはパッサカリアのみ。確かに難しい曲だが、どうしたんだろう。昨年9月のシューマンで聴かせてもらったような圧倒的な存在感がない。ミサソレで疲れきって、3日間のリハーサルでどかんと本番だとこんな感じなのか。スクロヴァチェフスキ氏が意図するところはよく分かるが、それを実現できるだけの日程的余裕があればきっともっと立派な演奏になると思うが。

読売日本交響楽団 第480回定期演奏会
2009年3月16日(月) サントリーホール
指揮:スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ
ソプラノ : インドラ・トーマス
アルト : シャルロット・ヘルカント
テノール : ロイ・コーネリアス・スミス
バス : ジェームズ・ラザフォード
合唱:新国立劇場合唱団

ベートーヴェン/荘厳ミサ曲「ミサ・ソレムニス」

マエストロとオーケストラと聴衆、三者の信頼関係がじっくりと築き上げられてきた年月。自分にとっては、トリスタンとともに音楽芸術の最高峰と認識して三十数年間聴き続けてきたこの曲。しかも新国立劇場合唱団。どんな演奏が聴けるのか、今夜が最終日の今年度読響定期の中で、最も楽しみにしていた演奏会です。

スクロヴァチェフスキ氏が登場し、ポディウムに立って客席を振り返るや、拍手が一層盛り上がり、既にこの時点でお客さんはかなりテンションが高い。キリエは、落ち着いたテンポで重厚に始まりました。冒頭のコーラス、ソプラノのAがちょっと不安定でしたが、曲が進むうちにいつもの美しい新国コーラスの響きになって一安心。トーマスさんの美しい高域の弱音が印象的です。ああこんな風に淡々と丁寧に進めるんだなと思っていたら、そういう予想はグロリア冒頭の疾風怒濤であっさり覆されました。16型オーケストラに合唱120人の大編成アンサンブルが極端なテンポで駆り立てられます。ただでさえ演奏者のメカニックへの配慮がほとんどない強引な譜面なのに、ここまで強力にドライヴすると、それはそれで圧倒的なエモーションの力を感じさせるのも確かです。絶対的なものの栄光を讃える叫びなのだから。meno allegroから一転してかなり遅いテンポ。起伏が大きな演奏です。

グロリア中間部の“suscipe deprecationem nostram”でソロテノールがちょっと飛び出してしまい、一瞬アンサンブル全体に緊張が走りました。自分も、あっ危ないと思いましたが、マエストロは涼しい顔で次のキューを出して修復。ほっ。クレドは堂々としたテンポの大柄な音楽で始まり、次第に緊張を高めていきます。”et vitam venturi saeculi“のフーガ(f-f-f-f-d-b)が急速になるAllegro con moto以降は、さすがの新国コーラスでもメリスマのamenはよく聴き取れませんでしたが、聴いていて非常に気持ちが高揚したのは確かです。

ベネディクトゥスとアニュス・デイは、次第に音楽が内省的になっていくのを感じました。”pleni sunt coeli et terra gloria tua“は、ソロではなく、昔ながらのコーラスで歌われました。マエストロが勉強した頃はこれが普通だったのでしょう。藤原さんのソロは清楚な気品。全曲を通じて、オーケストラは起伏の激しいマエストロのリードに必至に食らいつき、演奏は真剣そのもので、美しい響きに満ちていたと思います。やはりこの曲が成功するには、指揮者への絶対の信頼感が必要ですね。合唱は昨年秋のヒンデミットほどの完成度ではありませんでしたが、歌詞もイントネーションも明瞭でした。ちょっと気になったのは、ラテン語の発音がソロと合唱で違うところが散見されたこと。例えば、「うにげにとぅむ」だったり「うにじぇにとぅむ」だったりと。所々に破綻もあり、もう1日リハーサルしてもう一度聴ければと思わなくもありませんが、スクロヴァチェフ氏のこの曲に寄せる思い、一回限りの熱い音楽は十分に伝わってきました。聴けてよかった。

ところで、この曲、ベートーヴェンの宗教観とカトリック教会への複雑な思いが顕著に現れているんじゃないでしょうか。とくに興味深いのは、”credo in unam sanctam catholicam et apostolicam ecclesiam”の部分(クレドの再現部)。典礼文の信仰告白の中で、カトリック教会への信仰を歌うこの部分は、歌詞の他の部分と違って繰り返しなく、声部重複もなく、合唱テノールでただ1度だけ歌われ、しかもおそらく故意にでしょう、ソプラノとアルトが“Credo, credo”と繰り返す下に隠され、しかも細かい符割りのために非常に聴き取りにくくされています。今夜の演奏でも、やはりこの部分の歌詞はまったく聴き取ることができませんでした。“homo factus est”、“crucifixus”、“passus”、“ressurexit”など、彼にとっての、またおそらくほとんどのキリスト教徒にとって信仰の核心部分となる言葉が声部を重複して重層的に何度も執拗に繰り返され、印象づけられるのとは全く対照的です。ナポレオン追放後、反動時代のヴィーンという土地柄の中で、これがベートーヴェンにとっての精一杯の抵抗なのでしょうか。

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