HKの音楽夜話

在京オーケストラの定期公演を中心に、コンサート、オペラのレビューを掲載します。

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N響5月Cプロ

NHK交響楽団第1647回定期公演Cプログラム 
2009年5月16日(土)NHKホール

エルガー / チェロ協奏曲 ホ短調 作品85
エルガー / 交響曲 第2番 変ホ長調 作品63
指揮:尾高忠明
チェロ:ロバート・コーエン

よく言えば緻密で隙がない。正直なところを言えば、エルガーの盆栽...というのが自分の主観的な印象。とにかく地味。

立派なアンサンブル。いわゆる「お国もの」的な"performing convention"(演奏慣習)を全部捨てて、ゼロから楽譜をきちんと読み直し、尾高さんなりに再解釈した演奏。Novelloの出版譜にカッコつきで書いてある細かいテンポ指示を一旦白紙にしたのかな。英国ではエルガーの最も偉大な作品とされているこのシンフォニー。作曲者自身が1927年に録音した演奏がレファレンスとしてあって、それがどんどんデフォルメされて、ハンドレイ、トムソン、ヒコックス、ダウンズと次第に表現が大げさになって、一言で言えば“pomp and circumstances”な演奏スタイルでお客さんを興奮させるのが伝統になっている状況。それに背を向けて、これが自分のエルガーの演奏スタイルだと主張するこの潔さ。そこまでやるんだったら、いっそのこととことん楽譜通りにやってもいいんじゃないかな。アーネスト・ホール以来の演奏慣習になっているフィナーレfig.149のH音は、習慣通り2小節吹き伸ばしだった。

自分の耳がおかしいのかもしれない。エルガーの第2シンフォニーに期待するものが先入観としてあって、尾高さんの精密、リリック、清澄で内省的な演奏スタイルに違和感を感じている。ベートーヴェンにたくさんのスタイルがあるように、エルガーにもいろいろなスタイルがあっていいはずだ。しかし、尾高さんがBBCウェールズとやった第1シンフォニーはこうじゃなかった。もしかしたら、N響がきれいすぎるのかもしれない。ラルゲットのfig.74、32分音符が連続する複雑なテクスチュアなど、これだけ精密な演奏はなかなかないのだが。

美しいアンサンブルだったが、バランスはどうかな。金管楽器は立派だったが、弦楽パートでやりとりされる細かいテクスチュアがマスキングされてしまって、エルガー独特のアラベスクが十分に楽しめない瞬間がところどころあった。しかし、息を呑む美しい瞬間はたくさんあった。ラルゲットでの楽器群の音のブレンドやフィナーレ大詰め(fig.170以降)の弦楽の浮遊間。

前半のチェロコンチェルトも同様の印象。コーエン氏はとても粒立ちの細かい美音でデリケートな演奏。その小さな音をかき消さないように、オーケストラもかなり抑え気味。ソリストの一番いいところを引き立たせようという尾高さんのお人柄そのままの控えめなサポート。もう少しパッションが欲しいが、これは自分の好みに過ぎない。スケルツォはコーエン氏がちょっともたついた感じで、何回か出てくるフラジオレットの発音は抜けきらず、高い音域のメカニックにちょっと難があった。これも小さくてきれいで地味な演奏。

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