HKの音楽夜話

在京オーケストラの定期公演を中心に、コンサート、オペラのレビューを掲載します。

東京都交響楽団

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東京都交響楽団第688回定期演奏会 Bシリーズ
2009年11月19日(木)サントリーホール
指揮:エリアフ・インバル
ソプラノ:半田美和子
ラヴェル:シェエラザード
マーラー:交響曲第4番ト長調

半田さん、とても美しい声で、所々にコケットを交えた素敵な歌ですが、歌詞が聴き取れません。サントリーホールは決して歌手に優しいホールではないと思いますが、例えば、マーラーの終楽章なんか、とても薄い伴奏のテクスチュアで決して歌がマスクされるわけではないんだけど、やはり聴き取れない。おそらく目の前で歌っていただいたら、うっとりするような歌なんだろうと思いますが、客席(ぼくはLCで聴いています)では、何を歌っているのか分からない。辛口ですみません。

で、シェエラザードは少々がっかりしました。「魔法の笛」でのすばらしいフルートソロ、クラリネットやコンマスのソロ、「アジア」での見事な木管アンサンブルなど、美しいと感じる瞬間はあるのだけれど、バックデスクまで含め、オケの皆さんがこの曲に心から共感して弾いているようには聴こえない。全体に淡白で、この曲が持っているセクシーな美しさが感じられなかった。ぼくの耳がおかしいのかもしれません。しかし、マーラーのシンフォニーであれほど濃厚な表現を聴かせるのだから、やはり演奏機会が少ないこの曲の場合は、音楽がオーケストラのものにまだなっていないのだろうかと感じた。

メインのマーラーは、これぞ「都響節」という、ねっとりした美しい、温度感の高い表現を堪能しました。少なくともオケについては。今夜の白眉はアダージョの弦楽だった。こういうバックデスクまで一体となった濃厚な表現が聴きたいから、ぼくは都響に通う。ただ、最初に書いたように、歌は自分のテイストでは淡白すぎると感じてしまう。

いつも拙い感想文を読んでいただいているプレイヤーの方々、失礼なことを書いてすみません。我が愛する都響への率直な思いです。お許しください。

東京都交響楽団第686回定期演奏会Aシリーズ
2009年10月23日(金) 東京文化会館
指揮:オレグ・カエターニ
ピアノ:カティア・スカナヴィ
モーツァルト:交響曲第29番 イ長調 K.201
プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第3番 ハ長調 op.26
ショスタコーヴィチ:交響曲第6番 ロ短調 op.54

スカナヴィというピアニストがすばらしいという噂なので出かけた。1971年モスクワ生まれ。衣装やステージマナーもまだ垢抜けない田舎のかわいらしいお嬢さんという風情だが、音楽は衝撃的だった。弾いたのは、プロコフィエフのいちばん人気があるコンチェルト。あくまで繊細、清楚にして上品、しかもしなやかな弾力や瞬発力のあるリズム感や情熱的な面も。とくに印象に残ったのは、アンダンティーノの第4変奏の瞑想的な部分や、フィナーレの弦のメロディに合わせて三度音程でクロマティックに動く部分など。コーダでは圧倒的な大音量というわけではないが、非の打ち所のないヴィルティオジティも披露した。実に音楽に香りがある。

カエターニ氏と都響は、破綻のないサポートだったが、今一歩、彼女の繊細な音楽の表情にぴったりと寄り添うところが足りない印象。フィナーレなんか、明らかに彼女が走りたそうなところ、オーケストラがついていかなくて、引っぱられているなと感じる箇所があった。

アンコールにショパンのノクターン。遺作の方のcis-moll。トリルの途中とか、2オクターブを超える長い上行下降スケールの途中で音色がホログラムのように連続して変化していく。センチメンタルな崩し方はしない。あくまでぴんと背筋を伸ばしたような気品のあるリズムで、しかも香り立つような繊細な表情を感じさせる。

ああ、ぜひCDがほしいと思い、休憩時間ロビーの売り場をさがしたが、あるのは都響のCDだけ。こんな商売っけのなさも、素朴なお嬢さんなんだなと感心する。帰宅してHMVを探したが、流通していないようだ。フランスのLYRINXというマイナーレーベルからCDを出しているようだが、どこで買えるんだろうか。

後半のショスタコーヴィチは、都響らしい美しい演奏だった。ラルゴ楽章、コールアングレのメロディ以降の木管はどのセクションも美しく、とくにフルートお二人の長大なカデンツァ風のデュオには場内が静まり返った。最後の消え入るような弱音の繊細な美しさは見事。後半の2つの楽章は、リズムセクションが際立って巧かったたと思う。ぼくは、ショスタコーヴィチのシンフォニーの中では、この曲がけっこう好きだ。1、6、9、10あたりは、本当に純粋な音楽として音楽以外の余計なことを考えず、様式や書法や音色を楽しめる。

今夜は行ってよかった。スカナヴィさん、またぜひ聴きたい。どっかでリサイタルあるかな?

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東京都交響楽団第683回定期演奏会Bシリーズ
2009年6月24日(水)サントリーホール
指揮:小泉和裕
ホルン:西條貴人
ストラヴィンスキー:交響的幻想曲「花火」 op.4
R.シュトラウス:ホルン協奏曲第2番 変ホ長調
チャイコフスキー:交響曲第3番「ポーランド」 ニ長調 op.29

贅沢な楽員の使い方。ストラヴィンスキーのは演奏時間約5分だが、これだけでパーカッション4人、ハープ2人、ホルン2人は「あがり」。「花火」はスピード感あるスマートな演奏だった。トランペットのトップどなただったか、かっこよかった。

シュトラウスのコンチェルトは、西條さんが好演。非常に難しい曲だから、ソロ、オケともにミスが目立つところもあったが、魅力的な音色だし、音楽全体のプロポーションというか、姿かたちが上品で美しい。アレグロの最初の独奏、ソロの分散和音進行でes-moll, f-mollと転調していくあたり(上記譜例(注))の音色の変化や間合いの取り方、アンダンテの静かな歌はとても美しかった。[注:in Esの記譜なので、実音は長六度下。]

チャイコフスキーの第3シンフォニーは都響初らしい。確かに第4以降の音楽語法が完成されたマスターピースではないが、スワンレイクを書く直前でそういうスケッチをためていたのか、バレエにそのまま使えそうな楽想が次々と溢れてきて、これはこれでチャイコフスキー節たっぷりの魅力的な音楽。中間楽章はちょうどディヴェルティスマンやキャラクターダンスといった風情だし、終楽章のロンドは、全幕ものバレエの半ば、おきまりの舞踏会の群舞にこそふさわしい華麗なポロネーズ。緻密な合奏でメリハリをつけ、決して濁らないがダイナミックな強奏、弦の豊麗な歌、立派な管楽器ソロ。大人の音楽だなあ。小泉さんと都響の美点が存分に発揮された美しい演奏だったと思う。あと、管楽器のソロがぱあっと飛び出してくるようなあの立体絵本のような感じがもう少しだけあれば、正真正銘のワールドクラス。

今夜のエンカナさんは、大熱演だった。アレグロのコーダ、piu mossoにさしかかる辺りなんか、矢部さんよりもずっと大きく体を揺すって、コンマスを煽りたてるような風情。ん、どっちがコンマスだ?メトロポリタン・オペラへの留学前のおそらく最後の定期、立派な置き土産になった。

小泉さんは、4月に続いての好演。やはり相性いい。

東京都交響楽団 第681回定期演奏会 Bシリーズ
2009年5月26日(火)サントリーホール
指揮:小林研一郎
スメタナ:「わが祖国」

(まずは七五調で口上)
忘れはしねえ1年前。遺恨のダブルブッキング。
思い返すもにっくきは、NBSにあのイタ公。
上野のブンカンのっとられ、涙に流したあの定期。
シュターツオパーに恨みはねえが、
男コバケンころんでも、ただじゃあ起きねえ、イワキッ子。
あの因縁の「わが祖国」。今年はABブチ抜きで、いわくの定期は倍返し。
サントリーのお客さん、1年越しのこの思い、
耳かっぽじって、聞いてくれ。
はるかボヘミア高い城、ヴィシェフラドにお住まいの、
リブシェの女神も腰抜かす、聞けコバケンのこの唸り。
やべっち、エンカナ、ぬかりはねえか。テラモト、タカハシついてこい。
切符は売り切れフルハウス、親衛隊も準備万端。
あせってフラブラするんじゃねえぞ。(ヨッ!日本一!)

ということで、戦前の予想通り、こってり脂ののった大トロを10カンくらい食べた気分。もうスタイルがどったらこったらという次元ではなく、これはこれで至芸、魂の歌、巨匠の域です。オーケストラのみなさんも楽しんで弾いていた様子。

ブラボー屋さんの声も今夜はいつにもまして濃かったですね。いつもは歌舞伎座の3階から大向こうをかける寿会、弥生会あたりがうちそろってサントリーホールにつめかけた風情でした。

東京都交響楽団第677回定期演奏会Bシリーズ
2009年3月23日 サントリーホール
指揮:エリアフ・インバル
ピアノ:横山幸雄
合唱:晋友会合唱団
ラヴェル:ピアノ協奏曲 ト長調
ラヴェル:バレエ音楽『ダフニスとクロエ』 全曲

都響は本当に巧いですね。ただ、これがインバル氏の個性なのか、田園劇を雰囲気豊かに聴かせるというよりも、全体に速いテンポで、かなり厳しく締め上げられた印象。海賊のコール・ド・バレエの場面(fig.92)は猛烈に速いテンポ。譜面の♩=138よりかなり速く感じたが、あんなもんかな?美しい瞬間は随所にありました。冒頭、フルートソロからメロディラインのgをもらったホルンが遠くから鳴ってくるような遠近感はとても雰囲気がありました。最初の群舞の中から主役2人が舞台前景に進み出るところの矢部さんのソロ、いつもながら音色に惚れ惚れする。弦のアンサンブルが美しい。例えば、海賊の頭目に哀願するクロエの踊りへの伴奏での微妙にダイナミクスとテンポが変化する3拍子の揺れるような味わい。木管では、寺本さんのソロ。第2部の長大なソロ(fig.176)はもちろん、リュケイオンの艶かしい踊りへの6/8拍子のメロディー(fig.57)も鮮やか。Esクラ嬢の表情豊かで輝かしいソロもすばらしかった。晋友会も立派。無伴奏の合唱、アルトから半音下降メロディを受け取るところのソプラノ、cの音程がばらけてしまったところだけが惜しかったが、あとはほぼ完璧。あっという間に全曲終わりました。

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