かまちゃんの釣れグレ草2

南九州の離島をこよなく愛する磯釣り師が繰り広げる人間模様

2013年釣行記

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 Uenoさんはその後、釣りに満足したのか、風雲児さんをとなりの釣り座に呼び寄せ、ようやくおもてなしの釣りを実行してくれた。
 
 Uenoさんは、終わってみれば44㎝を筆頭に13枚のクロをゲット。風雲児さんもフカセ釣り場から本領を発揮し、10枚をゲット。
 
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一番釣りやすいふかせ場を独占中
 
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今日は尾長より底物系が元気でしたTT
 
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これ食えるの? ムロアジの活性が高いですね
 
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危険な回収でした ほっと一息
 
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ありがとう みゆき
 
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このロケーションは圧巻でした 絵はがきにできそう
 
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硫黄島の絶景を楽しむのもここでの釣りの醍醐味です
 
 ただ、溝ねらいのM中さんは1匹の口太を釣るのが精いっぱい。ふかせ釣り場とミャク釣り場で明暗が分かれた結果になってしまった。
 
 この日は、昼から更に落ち着く予報だったが、西風が吹き始め最後の回収ではかなり危険だった。うねりは結局収まらず、黒潮丸の帰還はゆっくりとした航行となった。午後4時前に港に到着し、今日の釣りについて振り返った。
 
「水温が高くて尾長が釣れなかったね。鵜瀬でシブダイが釣れたくらいだから。」
 
「こちらもシブダイとタバメが釣れましたよ」
 
という言葉を飲み込んで、みゆきに渡礁させてくれた船長に感謝の意を示した。
 
 風雲児さんも満足のいく釣りができたようで笑顔だった。後半追い上げて、uenoさんを上回る勢いでクロの釣果を重ねていったそうだ。これでまた硫黄島が好きになってくれたらいいね。
 
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uenoさん絶好調 44cm〜13枚
 
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M中さんの釣果 タバメがでかい
 
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惨敗のおいら 次は倍返しだ いや十倍返し?
 
 おいらは、尾長1匹、シブダイ1匹、イシガキダイ1匹という惨敗に終わった。尾長を狙ったのに、シブダイが釣れてじぇじぇじぇ〜〜〜と感じたが、明るくなってからミャク釣りで成果を上げることができなかった。この寒の時期に、尾長をいつ釣りますか?今でしょと言いたいところだ。
 
 尾長を釣りきらず、シブダイを釣るなんて、おいらはまだまだ「あまちゃん」だ。次回の釣りでは「倍返しだ」といいたいところだが、1×2=2なので2匹に終わるのも連続惨敗となってしまう。そこで「十倍返しだ」とむなしく言い放つのが精いっぱいだった。
 
 来年の、釣りでもおもてなしの釣りができればいい。また、かけがえのない釣り仲間とゆかいな釣りを1年後に約束して、早くも夕暮れが近づく静かな枕崎港を後にするのだった。
 
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また 来年も枕崎で会いましょう
「じぇじぇじぇ〜〜〜」
 
 あがってきた魚は、5キロクラスのタバメ(ハマフエフキ)だったのだ。この年末の寒の時期にはありえない魚だ。どう考えてもこいつは夏の魚のはず。
 
「どうりで口がとんがっていると思った。」
 
「やったあ、ありがとうございます。」
 
と意味わからず感謝の意を表すM中さん。
 
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5キロクラスのタバメでした
 
 尾長でなかったのは残念だったが、磯釣り4回目のM中さんに記録魚を釣られては10年以上のキャリアを持つ他の3人にとっては心中穏やかではなかった。
 
 この魚は、確実に釣り師のモティベーションを高めた。時計を見ると6時半になろうとしている。早くしないと夜が明けてしまうぞ。
 
 さあ尾長よ来い。そう念じて釣っていると突然自分の仕掛けに何かが食らいついた。ぐっと竿を絞ったが、そこは5号竿。魚を浮かせて慎重に抜き上げた。
 
小さいけど尾長かなと期待を込めて水たまりではねている魚を見て、再び驚いた。
 
「じぇじぇじぇじぇじぇ〜〜〜〜〜〜」
 
 水たまりではねていた魚は、本来夏の夜釣りでのメインターゲットであるシブダイだったのだ。
 
 忙しくて一度も夏の夜釣りに行けなかったおいらにポセイドンが思いがけないプレゼントをしてくれたみたい。
 
 大切に〆てクーラーにイン。
 
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今年の初シブでした タナ1ヒロ半(汗)
 
 シブダイ釣れてうれしかったのだが、これで今日の水温は尾長が釣れそうもないほど高いということが明らかになった。
 
 夜が白々明け始めた。この時間帯になるとあれほど反応がなかったエサ取りたちが活発になった。
 
 尾長を期待して釣っていた4人だったが、その後釣れたのは風雲児さんのムロアジと良型テンジクイサキだった。
 
「おらもう尾長はあきらめたバイ」
 
 そう言って、早々と昼釣りの仕掛けを作り始めた人がいた。Uenoさんである。何か策略がありそうだ。
 
 尾長釣りは朝方もチャンスはあると思うのだが。この策略とは、みゆきの絶好のポイントを確保することだったようだ。
 
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ぎりぎりまで粘ったんだけど 
 
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風雲児さん 最高の当たりだったのに 50㎝近いテンジクイサキ
 
ぶるん、ぶるるん。黒潮丸が見回りにやってきた。
 
kamataさんどうですか。」
 
ダメのサインを送る。
 
「この前、そこの溝でたくさん釣ってたよ。そこの高いところの先の溝もねらってみて。」
 
そうアドバイスを送って黒潮丸は去って行った。
 
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尾長釣れなかった? そこで粘ってくれね
 
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風雲児さん初のみゆき挑戦
 
 さあ、釣り座を決めなくちゃ。遠方から参加の風雲児さんと磯釣り初心者のM中さんにいいポイントで釣ってもらおう。おいらはこの時点で苦手な溝ねらいのミャク釣りをすることにした。
 
 そう思っていると、早くも一番釣りやすいポイントをゲットした釣り人がいた。そうuenoさんである。
 
「お〜〜、もう第1投で釣れたバイ。」
 
早くも釣り始め、魚が釣れたと大喜びで報告してくれた。おいおい。
 
「風雲児さん、どうします」
 
「どこでもいいですよ。」
 
 そういいながらも、せっかくここまで来たんだもの。いい釣りをしてほしい。しかし、uenoさんに遠慮して風雲児さんは、赤岩のミャク釣りのポイントを選択したようだった。
 
 M中さんは高場の方の溝。そしておいらが船着けの溝で釣ることにした。 
 
 みゆきには、上物のポイントで2種類のポイントがある。一つ目は、一番奥に位置するポイントだ。ここは、クロが年中居付いており、寒グロ期になると渡グロも群れをなしてやってきてにぎやかな場所になる。
 
 釣り方は普通のふかせ釣りをすればいい。特に、ポイントいうところはなく、どこででもクロが当たってくる最も釣りやすいポイントだ。
 
 もう一つは、溝をねらってのミャク釣りをするポイントだ。赤岩の両方の溝や船着けの溝もポイントである。警戒心が強く、狭い溝に入り込んでくるクロの習性を利用した釣りだ。
 
 強めの竿と錘は10号クラス。ハリスは6号くらいで、掛けたら一直線にオーバーハングに突進していく魚を何とか引きずり出すというベテラン向きの釣り場だ。
 
 今日は、遠くから来てもらっている風雲児さんとM中さんに、釣りやすいポイントで釣ってもらおうと考えていたが、uenoさんに先に場所を取られてしまった。3人の準備が出来上がったころには、
 
「もう4枚釣れたバイ。調子よかなあ」
 
と満面の笑みをたたえていた。Uenoさんが気づいて、風雲児さんに釣らせてあげるといいんだが。
 
 さあ、いよいよ戦闘開始だ。竿はがま磯アテンダー2.5号―53。道糸3号、ハリス3号で勝負することに。溝ねらいで3号は心もとないが仕方がない。しかもいつも信頼していた勝負リールが壊れるアクシデント発生。7か月ぶりの釣りならこの結果も受け入れなくては。
 
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船着けミャク釣りポイント
 
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M中さんの釣り座 ここも難易度高いっす
 
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中々うねりが収まりませんでした カメクレ方面
 
 溝に撒き餌をかぶせて仕掛けを入れる。そして、上から撒き餌をかぶせてあたりを待つ。
 
 さて、反応はいかに。油断していたら、一気に竿先が溝に引き込まれそうになった。反射的に合わせを入れて、魚の突進を止め、何とか溝から引きずり出した。
 
 そして、船つけまで誘導して慎重に抜き上げる。35mクラスの尾長グレだった。第1投で釣れたことはうれしかったが、これより大きな魚が食った場合、本当に取れるのだろうかと不安になった。
 
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第1投で釣れました
 
 これから入れ食いになるかと思いきや、あたりはあるもののどうしても溝に潜られてしまいバラシてしまう。
 
 その1匹以降は、イスズミの波状攻撃と南海のゲテモノAKB48(ちなみにゲテモノAKBとは、チョウチョウウオ、カゴカキダイなどの華やかなお魚さんたちを言う)にもてあそばれっぱなし。
 
 11時半ごろ、かろうじてイシガキダイを釣ってようやくお土産になる魚を得たがこれ以降は魚を引きずり出すことはできず、見事な撃沈。釣り癒し隊の活動となってしまったのだった。
 
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ちびイシガキちゃん 即リリース
 
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メガネハギ?
 
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モンガラカワハギちゃん3匹釣りましたけど何か?
 
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ドラキュラ伯爵も2匹釣りましたけど何か?
 
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オヤビッチャもいました(涙)
 
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硫黄島の歩兵集団の方 お疲れさんです
 
 (その3へ続く)
「このところ、年に1,2回のペースになったな。」
 
黒潮丸の船長と久しぶりに話をしたとき思わず電話口の向こうから聞こえてきた声だ。
 
無理もない。ホームグランドの硫黄島への出撃は、今年の2月以来実に10か月振り。更に釣り自体も520日に鷹島へ出撃して以来の7か月ぶりという具合。
 
高校野球の後援会活動と釣りとの両立はやはり難しく、ようやく釣りの予定が立った1228日からの12日釣りが、今年2回目の硫黄島で、しかもそれが釣り納めとなってしまったのだ。
 
この釣り納めをどうしても実現したいのには理由があった。硫黄島は、年末寒波の後、高確率で回遊性の尾長(ワカナ)が産卵のために接岸するポイントだ。そのワカナをどうしても手にしたかったからだ。
 
今年の2月、風雲児氏とM中さんの3人で挑んだ硫黄島。乗った瀬は西磯の1番瀬。3人とも尾長をねらって力を込めるが、釣れたのは磯釣り3回目のM中さんだった。
 
隣で釣られたものだからたまらない。その後、おいらも尾長らしき魚をかけたが、バラシてしまった。
 
結局、尾長を手にしたのは、一番の初心者のM中さんだったのだ。あともう一息のところまで尾長との距離を詰めたのに。
 
 もう一つの理由は、兵庫県からはるばるやってくる風雲児氏のこと。彼は完全に釣りをライフワークとした生活を送っている。
 
 彼のあくなき釣りへの探求心は、彼を地元の波戸へ、四国へ、そして、南九州に及んだ。微々たるものかもしれないが、彼がどれだけ渡船業界を元気づけているか。
 
 リーマンショック後に日本に訪れた平成不況のため、サラリーマンたちはまず初めに釣りなどのレジャー費が削られた。アベノミクスで好景気の機運の中にいるのは、都市部の方々だけ。
 
 地方は相変わらずの厳しい雇用情勢が続いている。そして、年末あれだけ釣り人でごった返した離島便基地の港が今は閑散としている。
 
 渡船に横付けしてきた中型バスからがやがやと降りてきた釣り人と大量の釣り道具。はやる気持ちをおさえきれず岸壁で赤貝を割っていた底物師。
 
 寝不足と様々なしがらみから解き放たれた安堵感からハイテンションになった釣り人たちの笑い声。
 
 たばこをくゆらせながら談笑する姿が離島便の渡船基地から次々と消えていった。おごれるものも久しからず。ただ春の夜の夢の如し。
 
 そんな厳しい中で、何とか離島への夢とロマンを求めて生きている風雲児氏。今年も年末の釣り納めに遠路はるばるやってくるという。
 
 何とかここでいい釣りをして帰ってもらいたい。2013年の流行語大賞の一つである「お・も・て・な・し」の心で彼を迎えよう。
 
 迎え撃つのは、おいらと、uenoさん、そして、最近釣り依存症に感染してしまった医師M中さんである。
 
 この3人も自他ともに認める釣りバカである。デフレ不況の中でも決して生活防衛に走ることなくたかがレジャーである釣りに没頭している。
 
「みゆきじゃ良型クロが釣れてるよ。」
 
 黒潮丸の船長はおいらがHETAであることを見抜いて、よく釣れているポイントを紹介してくれる。おもてなしのアイテムはそろった。そこで問題はいつものように天気。
 
「今年一番の寒波で日本列島の日本海側や山間部では雪。海上は大時化となりますので、船舶の航行、海のレジャーには注意が必要です。」
 
 まじか。27日からはやくもフェリーで九州に上陸しようとしている風雲児氏にとって落胆させるに十分な情報だった。
 
 天気予報で一番注目するのは気温である。種子島屋久島地方では、最低気温3度、最高気温7度。種子島屋久島地方なのに一時期雪の予報まででた。
 
「今回は厳しいみたいですねえ。」
 
 電話口からの風雲児さんの声も歯切れが今一つだ。7か月ぶりの釣りとなるおいらも気持ちは同じ。
 
 傘マークでも気温が高ければ可能性は残るのだが、気温が低いという予報では絶望的だ。
 
28日はだめだねえ。29日からの1泊釣りに変えますかあ」
 
船長の声もやはり精彩を欠いていた。
 
 上陸を果たした風雲児氏は、とりあえず飫肥で観光を済ませ、渡船基地である枕崎へ進軍した。枕崎では、カツオ三昧の生活も1日が限界。枕崎のある船長と話して時間をつぶしたという。
 
「とりえず枕崎の磯に行ってみますわ。」
 
29日に船を出す海星丸でクロを6枚ほど仕留め、何とか釣りができたみたい。よかった。
 
30日の日帰りで行きましょう。3時出航だから2時半集合です。」
 
離島便は、ちょっとした時化の予報でも出航に関して慎重にならざるを得ない。枕崎では出航できる波高でも硫黄島では足止めだ。
 
 しかし、ようやく釣りができる状況になったことは素直にうれしかった。28日のからの12日釣りの計画が30日の1日釣りになるとは。
 
それでも釣りができるということは、うれしいもの。Uenoさんの自宅で待ち合わせた3人は一路風雲児氏が待っている枕崎を目指した。
 
 午前1時過ぎに枕崎港へ到着。夜中の港は本当に静かな空間だ。リーマンショック以前は、あふれかえる釣り人でいっぱいだった港も、出航するのは、黒潮丸ととなりの第八美和丸だけのよう。第八美和丸もこの時間での出船準備なら草垣ではなく竹島だろう。
 
 準備をしながら談笑していると、風雲児氏登場。泊まった宿の下がラーメン屋で夜中まで騒がしくほとんど寝られなかったという。そんな中でも硫黄島へ出撃できる喜びに笑顔で我々を迎えてくれた。

 
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硫黄島へはいつもの黒潮丸で揺れの少ない快適な船です
 
ほどなく船長がいつもの軽トラックで登場。
 
「ぶるん、ぶるるん。」
 
 黒潮丸のエンジンに命が吹き込まれ、釣り人のテンションが一気に高揚した。本日の釣り人は13名。年末の離島便としては本当に少ない人数だ。悲しいかなポイントは選び放題のようだ。
 
kamataさん、4人でみゆきはどう。釣れてるよ。」
 
 船長のこの申し出に正直戸惑った。たしかに、みゆきは4人を収容できるポイントではあるが、尾長ねらいの船つけポイントで4人並んでの釣りは正直狭くつらい。おもてなしができるだろうか。
 
 船内の明かりが消され、いよいよ出航だ。毛布をかぶって今日の海況を体全体で感じてみる。多少ゆれは感じるものの心配する程度のものではない。
 
 安心して横になっていると、エンジン音を子守唄にいつの間には深い眠りについていた。
 
 どれだけ時間が経っただろう。エンジンがスローとなると同時に目が覚めた。「ここはどこね。」uenoさんが尋ねてくる。サーチライトを当てた場所の巌の形状はどこかで見たことのある懐かしい形をしていた。
 
「鵜瀬ですよ。」
 
 硫黄島の「竹島ノ鵜瀬」は硫黄島本島の北東に位置する独立礁である。全体的に水深は浅いが沈み瀬が点在し、様々な魚種をねらった釣りをすることができる人気実力ともにトップクラスのポイントだ。
 
 鵜瀬はワカナの産卵場所としても知られており、産卵するためにやってくるワカナが高確率で釣れるところとしても有名。この時期だれもがこの磯で釣りをしたいと考えている。西風にも強いので今日の状況なら大丈夫だ。
 
 残念ながら渡礁をゆるされたのは我々ではなかった。次の渡礁は、しばらく船が走った後だった。予想通り、口白が釣れることで有名な浅瀬。ここに2人の釣り人が渡礁する。
 
 高まる興奮を抑えきれずデッキに出てみる。硫黄の臭いが鼻をつく。西向きの風が運んでくるようだ。午前6時頃満潮を迎える中潮。うねりがまだ残っており、乗りたかった浅瀬のハナレは難しいことが視認できた。
 
 船は方向を変え、硫黄島の港方面に走った。永良部崎を抜けるとエンジンはスローとなった。
 
 サーチライトは、下げ潮で実績が高い底物のポイントヒレ瀬を照らしていた。ヒレ瀬の裏に位置するのが今回我々がお世話になる「みゆき」だ。我々も急いで渡礁準備に取り掛かった。
 
 ヒレ瀬の渡礁後、我々の番になった。みゆきは西向きに位置しているためうねりを伴い、ざわついた印象だ。予報に反して雨もぱらついている。
 
 4人は素早く渡礁。ところが、ばらんす風雲児氏は滑ってしまった。しかし、何とか立ち直りことなきを得た。
 
 うねりが予想以上に大きい。波の振幅がとどめもなく迫ってくる。荷物をとてつもない速さで受け取るとそこいら中に荷物をブリ投げた。一瞬の渡礁を済ませ、キャップライトで周囲の状況を確認する。
 
 みゆきは手前にヒレ瀬があるので時化に強い釣り場だが、船着けを見るとサラシで正に洗濯機状態。こんな中に仕掛けを入れて4人肩を並べるようにして尾長をねらわなくてはならない。
 
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予報に反して雨が
 
 Uenoさんがぼそっとつぶやく。これが、唯一渡礁時の会話であった。ただいまの時刻午前5時。これから夜明けまでの約7時間が勝負。ぼやぼやしている時間はない。
 
 水たまりに横倒しになっている磯バッグを開けて、準備を始める。
 
バッグの中に大量の海水が入っていた。いつもなら、まず水を抜いてからということだろうが、ここでは尾長ねらい仕掛けを作ることが最優先だ。いつ釣るか。今でしょ!
 
竿はダイワブレイゾン遠投5号。道糸10号にハリス10号。このがちゃがちゃした状況では普通のウキふかせ釣りは無理だろう。
 
今回は錘5号を使ったミャク釣りをすることにした。釣り座は狭いが何とか高い位置にM中さん、uenoさん、風雲児氏、そしておいらの順番に。
 
イメージ 3
この狭い船つけでの尾長ねらいは結構つらい
 
 洗濯機の中のような海の中で、4つの色違いの海ほたるが目まぐるしく動いている。何とか風雲児氏に釣ってほしいと思いながら自分も何とか尾長を手にしたいと必死の形相で釣り始めた。
 
 しかし、海からの反応は芳しくないものだった。生命反応が感じられない。
 
「エサとられますか」
 
 業を煮やして、uenoさんに尋ねてみた。
 
「ぜんぜん、魚の反応がなかなあ。エサ取りもおらん。」
 
 夜釣りのエサ取りの定番としては、マツカサなどのイットウダイ科の魚が必ずかかってくるはずなのだが、エサ取りの気配すらない。一体どうなっているんだ。首をかしげるばかりだ。
 
 1時間が経過したところで、変化が現れはじめた。エサがようやく取られるようになったのだ。何らかの反応があるというのはいいことだ。少しずつ何かが変わる機運が生まれつつある時だった。
 
 突然、M中さんが突然日常ではありえないような動きを始めた。腰が引けて必死で何かと綱引きをしているような感じだった。
 
 どうやら何者かがM中さんの仕掛けに食いついたらしく、無言でとにかく魚との格闘を演じていた。その魚はとにかく重々しい引きらしく中々浮いてこない。
 
「何ね、尾長ね。」
 
「やりましたね。尾長みたいですよ。」
 
おいらとuenoさんは悠長に構えていたが、風雲児さんは冷静だった。
 
「タモ、タモ!」
 
 風雲児さんがわざわざ玉網を準備してくれた。M中さんはとにかく魚の引きに耐えるだけで玉網をかけることはできそうもない。
 
 魚が見えてきた。でかい。しかし、ここからではそれが尾長かどうか判断ができない。細長い魚ではないので青物系ではないことはわかったのだが。
 
「コロダイですかねえ。」
 
とは風雲児さん。
 
 何度も玉網かけにトライするのだが、ものすごいうねりが押し寄せる中でこれが中々すくえない。何とかすくってあがってきた魚を見て皆一様に驚いた。
(その2へ続く)
7か月ぶりの釣りに行ってきました。行先は・・・・
 
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黒潮丸さんお世話になります
 
硫黄島に向けて出撃です^^
 
 
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予報に反して雨が・・・尾長への夢に向けて心躍る人々
 
 
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えっつ!
 
 
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1ヒロ半で食うかふつう><
 
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硫黄島はやっぱりすばらしいところでした
 
 
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来年もゆかいな仲間で釣り納めを
 ところが、あと2,3枚で終了となるころ、ある牌をにぎったN牟田さんの顔から笑顔が消えた。何か神妙な面持ちになった。そして、もっていた牌と今自積った牌を入れ替える。
 
 えっ、どうやら西を引いたもようだ。一瞬、だまったN牟田さんだったが、それを覆い隠すようにさっきと同じようなはしゃぎ方になった。この態度を見て、N牟田さんが小四喜をついにテンパッてしまったことは確信に変わった。
 
 麻雀はある意味相手との心理戦だ。相手の表情のわずかな変化を見逃さないようにしなければならない。
 
 怯えるI見さんにおいら。それに最も怯えている男がY崎である。さあ、降りだ降りだ。I見さんとおいらは安牌しか出さない。N牟田さんが小四喜を上がるとすれば、自分で自積るか、Y崎が振りこむかのどちらかになった。
 
 そして、あともう少しで終了というところで、サッカーで言えばアディショナリ―タイムに、Y崎が自積ったところで、彼は突然天を仰いだ後、卓に打ち伏せてしまった。
 
「おい、大丈夫かY崎。」
 
 声をかけるが反応がない。どんな逆況の中でも笑顔の彼が人生最大のピンチを迎えたような動きだった。
 
「おいっ、Y崎切ってみいや」
 
 笑いながらI見先輩が好奇の目でY先にプレッシャーをかけている。Y崎の顔から血の気が引いていた。もうこれで彼が絶対引いてはいけない牌である「西」を引いてしまったことが確実視された。
 
 N牟田先輩もこの状況を呑みこんだようで、「Y崎、さあおいで。」と薄笑いを浮かべている。
 
 Y崎は意を決したように、静かに目を閉じて上目遣いになり、煙草の副流煙の絹雲を切り裂きながら阿弥陀如来の姿で自らの悲しい運命を受け止めている。
 
 そして、白い卓上を見つめながら、自積った「西」を切るためにゆっくりと振りかぶった。長い沈黙の後、目がうつろになったY崎は、まるで自分の命を終焉させるように、西という字を刻まれた牌を静かに川に置いた。
 
 一瞬、雀荘にありえない沈黙が訪れた。まるでストップモーションのように微動だにしない雀士たち。
 
 3秒ほどしてから、N牟田先輩の最も聞きたくないセリフを聞いてしまった。
 
 
 
 
 
 
 
「ロンじゃあやあ」
 
 
 
 
 
 
 
 
出てしまった。多分人生でもう二度と見ることのないであろう小四喜の裸単騎に振り込む場面を見てしまったのだ。堰を切ったように、歓声とは言えず、それは怒涛も似つかわしくない、何と表現してよいのかわからない空気の中、卓の周りに集まった雀士が体の奥底から声を捻り出していた。
 
すでにハコ天になっていたY崎は、これで新記録のダブルハコ天を喰らってしまった。ひとしきり歓声が収まったころ、Y崎が寂しくつぶやいた。
 
「なんてこったい」
 
 Y崎、これが人生ぞ。ポツリとI見先輩が一言。麻雀は人生。人生は麻雀である。このことをY崎は痛いほど理解できたであろう。
 
 荒れ狂う大海に向かって不用意な冒険に出ると、恐ろしい仕打ちが待っている。小四喜の裸単騎振り込みという何億何千万分の一という確率論以上にあり得ない体験をしたY崎だったが、相変わらず懲りない面々と麻雀を打ち続け、カモにされ続けた。
 
 しかし、彼はその後、荒れ狂う大海に出る人生を選ばなかった。お堅い役所勤めを選択した。見事、難関のS市役所に合格し、今は行政マンとして頑張っている。
 
 彼の進路選択の際に、おそらく小四喜の裸単騎が影響したことは彼を知っているそのだれもが認めるところであった。下宿のゴミの山の中に埋もれていたY崎くんはきっとゴミ減量の啓発活動に邁進しているに違いない。
 
「なんてこったい」
 
 こうつぶやいた後、我に還った。こうしてはおれない。折角、この夢の島鷹島に来たんだもの。何とか楽しい釣りをしなくては。尾長を期待して挑んだ朝マズメ。
 
イメージ 1
1番との水道
 
 原因不明のバラシが、尾長かサメかは特定できないが、とにかく、サメをかわさないと魚は釣れない。磯の上で頭を抱えている釣り人をよそに、サメは朝のお食事タイム。全くの無防備で泳ぎの苦手なハリセンボンの赤ちゃんを口の中に吸い込んでいた。
 
 撒き餌をできるだけ沖へ打ち、おそらくサメに怯えて瀬際に張り付いているであろうクロちゃんをねらうことにした。
 
 潮が引いてきたので、下の段に降りた。鷹島の内側なのでうねりはたいして大きくなく、ここでも大丈夫そうだ。4番向きは、根がせり出していて、大きな個体をかけた時取れないかもしれない。そこで、1番向きの水道をねらうことにした。ここは下がオーバーハングになっているようで、取り込みやすそうだ。
 
 撒き餌を沖に放ち、その間に瀬際に仕掛けを入れる。案の定、最初の1匹が御用となった。時計を見るとまだ5時台だ。再び、瀬際を探ると、今度は中々の引き。慎重にやり取りをして浮かせると、
 
「おやっ、赤い。」
 
 食べておいしい赤ブダイちゃんだ。しかし、君は外道とリリース。クロだけをねらう。幸いなことにサメはいつの間にかどこかへ行ってしまったようで、魚の動きが活発になった。
 
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1匹目 ほっとしました
 
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久しぶりに釣りました
 
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2枚目
 
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3枚目
 
 だが、それは餌盗りが多くなってきたことを意味していた。かけてもかけてもイスズミが釣れた。数少ない鷹島での経験では、潮がとまるとイスズミの猛攻を受けることを知っていた。折角の朝マズメなのに釣れてくるのはイスズミばかりだ。
 
 イスズミがクロに変わったのは、8時過ぎ。1番との水道にたくさんのクロが浮いているのが見える。見えてはいるがあまり喰いついてこなかった。そんなこんなでぼちぼちクロを拾い、回収1時間前の12時には竿をたたんだ。
 
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4枚目
 
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5枚目
 
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6枚目
 
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2番との水道でクロがわいてました
 
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2番はよく釣れたみたいです
 
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3番のこの場所には乗りたくないっすね(笑)
 
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前回乗った 4番
 
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30cm〜36cm 10枚
 
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釣りのあとのマグロラーメンは最高でした♪
 
 今回も目立ったドラマもなく、回収の船に乗り込む。梅雨グロシーズン開幕であり、最後の釣行となるであろう鷹島の全景を名残惜しく眺めていた。さあ、もう夜釣りの季節だな。かといって、あてがあるわけでもなかったが、いつになるか分からない夜釣りシーズンの開幕を期待しながら港へ帰っていった。
 
Y崎はいったいどうしているだろうか。よく考えてみれば、あいつの顔って魚ににていたな。
 
釣りの帰りに立ち寄った串木野の某ラーメン店で食べたマグロラーメンが本当にやさしく五臓六腑にしみわたるのであった。初めて食べたのに、その味はなぜかなつかしい味がするのだった。

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