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紀伊国屋書店に注文していた本が意外に早く到着した。ロバート・ハーグローヴの『エスト メイキング・ライフ・ワーク』である。
私はこの著者をロバート・ハードグローヴだと思い込んでいたが、別人らしい。後者は、エストを始める以前のワーナー・エアハードにカール・ロジャースなどへの関心を抱かせた人物なのだが、この本の著者は1947年生まれの編集者でフリーのライターなのである。1976年に出ているから、著者29歳のときの仕事ということになる。ワーナーがヒューマン・ポテンシャル・ムーヴメントに接触したのは1960年代のことだから、年齢的な計算からも両者は別人と思われる。
ざっと目を通したが、そもそもはジャーナリストとしてエストに参加したハーグローヴが、エストに魅せられて著した書物である。その意味ではアデレイド・ブライの『エスト』に似ているが、彼女がサイコセラピストであるのに対して、ハーグローヴはジャーナリストであるという点が異なる。執筆に当たり、彼はワーナーを初めとするエスト関係者の協力を得ている。
セッションのようすも詳しく紹介されているが、私が面白いと思ったのは、彼の表記の仕方である。たとえば、参加者がトレーナーの問いに応じてユニゾンで応える場面。参加者はいう、Nothingggggggggggg と。あるいはトレーナーの自問自答。あなたがたはこれこれしかじかのことをするだろうか? と問うたトレーナーは、すぐに続ける。Noooooooooooooooooooooooooooooo. と。
参加者が挙手し、トレーナーから指名されて発言し、発言を終えて着席すると、他の参加者は承認のための拍手をする。これがエストのルールなのだが、その拍手をハーグローヴは次のように表記する。(「....」の部分は実際には印刷されていない。こうしないと、ブログ画面では全て左に文字が寄せられてしまうので、苦肉の策としてこのように入力してみたのである。しかし、これでも入力のとおりには画面上に並ばないため、北園克衛のモダニズムを思わせるハーグローヴの絶妙な文字配列が上手には伝わらない憾みがある)。
...................clapclapclapclapclapclap
...............................clapclap
...................................clap
.......................................clapclap
あるいは、またこのように。
.....clapclapclapclaplclapclapclapclapclapclapcalapclapclap
.........clapclapclapclapclapclapclapclap
.............................clapclapclapclapclap
または、このように。
.............................clapclapclapclapclapclap
.............................................clapclapclap
........................................................clap
思わず噴き出してしまったが、エストの実際は、確かにこのとおりなのである。拍手は常に同じようになされるわけではないからだ。よく考えたものだと感心した。エストに関する書物の多くでは、トレーナーがラウド・ヴォイスで話す箇所だけを全て大文字で表記しているものが多い。私はこれが好きではないのだが、ハーグローヴの表記にはユーモアがあり、好感を抱いた。
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