神谷光信

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世界美化の思想(7)

芸術が、世界の本質の強化的表現である(ミーメーシス美学)。あるいは、世界の真実が開示される場所である(存在論美学)と考えると、学術は真理を明らかにすることを目的としていますから、芸術と学問は同じ目的を持っているということになります。そして、これはすでに青山昌文先生が著書で指摘していることです。

ただし、芸術も学術も、ともに人間の営みですから、真理を明らかにするという意味においては、完全ということはあり得ず、つねに不完全、不充分なものに止まらざるを得ないわけです。

世界美化という主題に戻ります。世界を美化するという行為は、単に感性的な美しさを追求することではなく、真や善を追求することでした。真善美は切り離すことができない価値だったからです。

そして美を追究する芸術と、真を追求する学術とは、方法は異なるけれども、同じ目的をもつものということがわかりました。芸術作品を創作することと、研究者が学術論文を書くことは、両方とも、世界美化に挺身する行為だったと考えることができるのです。

こうした考え方それ自体が、果たして大文字の真理、普遍性を持つ真理にどこまで迫るものなのかはわかりませんが、世界美化、実践美学は行為の学であり、認識で完結するものではないことを考えると、意味のある議論であると私は思います。

私は若い頃に、小説の創作を試みたことがあります。それから、文芸評論を書いた時期があり、現在では、学術論文を書いています。論文を書くのは、隠されている真実を明らかにすることですが、それがそのまま世界を美化することであると考えることは、研究という行為への、大きな力付けでもあります。

真実を明らかにするという意味では、ジャーナリストの仕事もそうでしょう。不正義や不公正、社会の腐敗を明らかにする彼らの仕事もまた、世界を美化する行為にほかならないからです。世界美化とは、醜悪な現実に美しい衣をまとわせることではないのです。


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