神谷光信

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ミシェル・レリスの「幻のアフリカ」(河出書房新社)をようやく入手。べらぼうに面白い本だ。訳文がまたすばらしい。高校生の頃に私が見かけたイザラ書房版は第1部のみで、第2部の訳稿がなかなか本にならず、そのまま20年以上が過ぎてしまったのだという。

この本のタイトルは、当初もっと地味なものであったのだが、出版社で原稿読みをしていたアンドレ・マルローの助言で現在のものになったのだという。平凡社ライブラリー版はどうなっているのか知らないが、図版が多数収録されていて、どれも興味深いものである。

エチオピアについては、以前に川又一英さんの「エチオピアのキリスト教」の巻末解説を書かせていただいたことがあることから、現地の信仰に関するレリスの記述には興味をそそられるものがある。

相変わらず、時間があればパソコンに向かって原稿に手を入れたりしているのだが、一度このような没頭状態に入ってしまうと、とにかく、形になるまでやり続けることになりそうである。

ここしばらくブログを更新しなかった。ずっと原稿にかかり切りだったのだ。土日は起きてから寝るまでパソコンに向かっている状態。原稿が、自ら完成しようとしている。わたしは著者というより、書物に使役されているような立場である。

年内の新刊を2冊計画している。旧著の改訂新版も予定している。細部の仕上げを可能な限りしておく必要があり、毎日原稿と向き合っている次第。

先週の金曜日、池袋の古代オリエント博物館に足を運んだ。何十年ぶりか。シリア、イラン、アフガニスタンといった地域の出土品の数々を目の当たりにして興奮した。池袋駅からこんなに歩いたかなと、改めて思ったほど、久しぶりだったわけだ。

アラブの衣装を纏って写真を撮影してくれるコーナーがあり、ロティならぬ「変装」をしてみようとかと一瞬気持ちが動いたのだが、男性用の民族衣装は少ないということでやめた。

そういえば、ミュージアムショップで、巻物のような世界文化史年表を販売していた。なかなかよくできていて、共時的に歴史を眺めるのに便利だと思ったが、この人類大文化史年表にアフリカだけは帯として存在しないことに愕然としたのだった。

岡谷公二氏の「ピエル・ロティの館―エグゾティスムという病い」(作品社、2000年)を手にした。ロティは、工藤庸子先生のご著書がきっかけで興味を抱いた作家である。

岡谷氏の本は、「ロティの館」と銘打っているように、彼の屋敷が中心的テーマとなっている。知らなかったのだが、彼の館には、トルコの間、日本の寺院の間、ルネッサンスの間、中国の間、ゴシックの間、モスクの間、といった部屋があったのだ。それぞれの間の写真がこの本には多数収録されており、圧倒される。

トルコの間で、ロティはムスリムの装束を身につけて水煙管を手にしている。コスプレである。彼には変装趣味があったらしい。トルコ人になったり、アルバニア人になったり、ベドウイン人になったり。きわめつきは、オシリス神に扮した写真である。

そもそも少年時代の病弱であった彼は、自分で小さな博物館を作り、そこに貝殻や蝶の標本やらを飾っていたという。現在でもそれは残されているとか。

いつぞやブログでも記したフランスの画家ジャン・レオン・ジェロームの図版も本書には収録されている。私が見たことのない絵画もあった。

岡谷氏は、自分のやった仕事はロティに対する世間のレッテルを剥がすことだったと記している。貴重なお仕事である。

ミシェル・レリスといえば、高校時代に鎌倉のたらば書房でイザラ書房版の選集を見た記憶から始まる。「幻のアフリカ」「癇癪」「獣道」などの背表紙を眺めていたのだ。

思潮社版「獣道」を読んだのだが、後藤辰男氏の訳文が達意の日本語であることに、まずは感銘した。「エーメ・セゼールとは何者か?」という文章が収録されている。シュールレアリズムについて、私は長い間理解が十分ではなかった。特にその政治性については。私が愚かだったのは確かだが、シュールレアリズムを紹介した昭和一桁の人々、詩人や評論家が、これっぽっちも政治的ではなかったことにも原因はあると思う。

鷲巣繁男は、セゼールよりもサンゴールを好んだ。サン・ジョン・ペルスに似ていたのは後者だったからである。セゼール自身は、ペルスについて、偉大な詩人ではあるが、自分が特別な存在であると彼は考えている、と語っている。鋭い指摘だと思う。

レリスの本をまとめて読もうと取り寄せ中である。「幻のアフリカ」の、ジブチの記述を読みたいのだ。

昨日記した西成彦氏の「鼠坂殺人事件」の論考だが、後からじっくり考えてみると、学会誌の初出時に読んでいた記憶が浮かび上がってきた。すっかり忘れていたようで、老化現象もいよいよ昂進してきたようである。

さて、中村隆之さんの「カリブ―世界論」をようやく読んだのだが、教えられることが多く、叙述も確かで、何よりも書物として完成されていることに感動した。すばらしい本である。

そうかそうかとうなずきながら、読み終わると付箋だらけになってしまったが、たとえば、セゼールの1958年のフランス共同体「国民投票」への投票について。当初「否」を投じる予定だったセゼールが賛成に回ったのは、ド・ゴールから派遣されたマルローに説得されたからであったという事実などは、現在の私には興味をそそられることがらであった。

セゼールとファノンの違いについても、これほど簡潔かつ説得的に叙述した文章は読んだことがない。以前に中村さんが書いたブックレットも私には大いに勉強になったが、その2年後に、これほどの書物をお書きになられたとは! 中村さんはまだ30代の若さである。今後のご活躍が楽しみでならない。


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