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小説 有名病院の噂

某県にあるという有名病院。
患者も絶えず入れ替わり人気の病院だ。だけど誰も知らない…。この病院には噂があった。
消灯時間を過ぎるとなぜか足音が聞こえたり、足首だけがカーテン越しに見えたりと、入院患者からは怖がられていた。
そこに僕は入院してきた。
大した病気ではなかったが、念のための検査入院だった。
噂なんか聞いたこともなく、知ったのは入院して1日目。
同室の患者の1人が教えてくれた。
実際僕はそんなの気にもしていなかった。単なる噂と思っていたから…。でも実際は違ったんだ。本当だったんだよ。分かる?夜、消灯後になると枕元の明かりをつけて仕切られたカーテンをジッと見ていた。

どれくらい経ったんだろう…。
時計の針は丁度深夜12時を過ぎていた。
見回りの看護師さんがやってきたのだ。そこで僕がまだ起きているのを見つけると、「寝なきゃダメじゃ無いですか。ほら、明かりを消して寝てくださいね〜。」「は〜い。お休みなさい。」

看護師がいなくなると僕はまた起きた。
どれくらいだったことだろう…。
ヒタヒタと誰かが歩く音が聞こえた気がした。
片足を引きづっているように聞こえる。看護師じゃ無いな。じゃあ誰?
まさかこれが噂の…霊?
まさか…まさか…ね。

僕は頭から布団をかぶったよ。いわゆる寝たふり?
そんなの霊には関係ないとは思ったけど、自分的に気休めでそうしたんだ。
緊張で胸がドキドキする。
足音が近づいてくるのが怖い。そして…僕のベットの横に止まった。な、なんで?
カーテンが徐々に動く音がする。
怖くてたまらなかった。

しかしどうやら僕の側のカーテンが動いたわけではなかったようだ。

「?…う、うわ?!わー!」

隣の人がベットから転がり落ちた。
そしてブザーを押す。
するとスーッとその場から消えていなくなったようだ。看護師がやってきてどうしてベットから落ちているのかを聞くと、当たり前のようにテキパキと動きさっさと戻っていってしまった。
僕はもう目がぱっちりで寝てる気分ではなくなってしまったので、隣の人の様子を伺うことにした。
しかしシーンとして時折いびきが聞こえてきた。どうやら寝てしまったようだ。
よくもこんな状態の時に寝られるなぁと感心してしまったが、僕は枕元に置いてある一冊の本に目を向けた。
その本は見舞いに来たダチが置いていったもの。暇つぶしに…だって。こんなの暇つぶしになるか!だってこれ…恐怖の本だぜ?なんでも出るという曰く付きの場所を回って作った本らしい。
そんなの見たい気分じゃなかったけど、それしか本がなかった為仕方なく手にした。
よくある事故現場や廃墟と化した寺院など今は誰も住んで無い場所もあったが、実際に住んでいる場所もあるらしい。それが気になって読み出した。

するとさ…なんか、こう、似てるなって思う場所が書かれているページがある。もちろんたまたまかもしれない。
でもとにかく似てるんだ。
建物は病院。
現在も利用中。
夜中になると出るという。
なんか当てはまり過ぎてる。


某県N市。N、N、Nって…もしかしてここか?
そう考えただけでビビり出してしまった。はい、小者の僕です。
でもさ、退院までまだ二、三日目かかるんだよね〜。
なんとかならないものかなぁ〜。
検査早く済まないかなぁ〜?
そうこう考えている間に朝になっていた。
眠い目をこすりながらなんとか起きることに。


今日はダチがやってくるって言ってたから、ダチにこの本のことを聞いてみようと思い立った。
午前中は待ってたけど誰も来なかった。
仕方がないから午後に来ないかなぁ〜と見もしない本を片手にペラペラとめくり続ける。
そしたらさ、来たんだよ。ダチが数人。
なんかホッとした。
聞けるじゃんと思ったから…。

「な、なぁ、これさ、このページ。これってまさかとは思うけどここじゃ無いよな?」
あって早々言われた側は固まってしまった。
「ま、まさか、な?そしたら俺らここには来ないよ。怖すぎるからさ。」「あ、ああそうだよな?お前霊感持ってたしな。」
そう、唯一の霊感持ちがこいつだ。

そいつはさっきから黙ったままだった。
なんで黙ってる?

そしたらさ、ボソッと話し出した。
ここは確かにこの本に書かれた病院だと。
なぜ分かったかって?だってそこいらにうじゃうじゃと霊が浮かんでいるからだって。見えるのは怖いが、見えないから言われちゃうと怖くなる。

「頑張れよ…。」

それだけ行って帰って行ってしまった。
何をどう頑張れってんだ?またあの恐怖とか?
こえ〜よ。



夕食の時間も過ぎ、あとは時間を潰して寝るだけとなった。
今は午後7時。
寝るには早い時間だ。せめてあと2時間は起きてないと…。
でもさ、昨日の徹夜で今日は眠くてたまらない。
寝ちゃおうか?
そしたら怖いの見なくて済むかもしれないしさ。
ってな事で、消灯時間より1時間早く寝ることにした。




突然目がパッチリと開いた。
何で?

分からない…。
でもそれが怖い。

首から下が動かなかった。
これって…金縛りってやつか?
まさかとは思ったよ。
でもさ、ホントみたいだ…。
首だけは動くので横を向こうとしたが、目を向けた先に何か黒い塊のようなものがチラリと見えたので、怖くなってしまった。
そしたらさ、見たくもないのに首がそちらに向かって動きだした。マジか!
見たくないよ!
でもさ、動く力は強く戻すことは出来なかった。だから見ることになった。視界に見えたのは…ドクロだった。
「ヒー!?」
叫んだが、同室の人には聞こえなかったようだ。
僕のすぐそばにドクロが。
怖すぎてたまらない。
両目をきつく閉じてドクロが見えなくなるのをただじっと待っていた。で、どれくらい経っただろう…。全身汗びっしょりかいていたがドクロは消えていた。

心臓がドクドクいっている。
両手が使える事にホッとしている自分がいた。
ベットから体を起こし、息を大きく吸った。
「何だったんだ?さっきの…。」

「どうかしましたか?」
と同室の男性が声をかけてきた。
「いえ、昨夜怖い目にあったものですから…。あっ、これは内緒でお願いしますね。実はドクロが…。」「あ、あなたも見たんですか?やっぱり出るんですね〜。早く退院したいよ。」
「あなたはいつから入院されてるんですか?」
「2ヶ月程ですかねえ〜。」
「アレは何なんでしょうね?不気味で仕方がないです。」
「あれが出ると死人が出るという患者同士で噂がありますよ。実際、亡くなった方もいたようで。」
「え?そうなんですか?じゃあまた誰か亡くなるって事ですかね?」
「噂ではそうです。」

そんなことを聞いたら余計に怖くなってしまった。
【今日で退院できるか聞かなきゃ】と内心思いながら同室の男性と話をした。
男性はどこからかわからないがこの階の患者の事を知っているようで危篤に近い状態の患者の事を教えてくれた。あと退院予定の患者もだ。どちらかから犠牲者が出るという。まさか…ね?
でもそれが本当なら僕の退院も近い為、ますます怖くなる。

その日は何事もなく過ぎていき、翌日僕は退院出来ると看護師から言われても素直に喜べなかった。怖かったから。犠牲者にはなりたくない。
でもさ、何事もなく退院できたんだよ?
マジで。
嬉しかったよ。
でもさ、噂だと誰かが亡くなるって…話は一体?!
それを知るすべもなく、時間になって退院していった。


その後のことはわからない。
ただ、同室の男性の姿が見えなくなっていた事が気になったくらいかな?
退院時、挨拶に向かったが、たまたまなのかベットにはいなかった。どうかしたのかなとはちらりと考えたが、怖いから聞けずにその場を後にした。


病院はやっぱり怖いや。

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神名代   洸
神名代 洸
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