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まわりを気にしながらゆっくりとドアを開けていく・・・。そしてベットに寝ているであろう二人の傍まで来ると片手に持った鋏を大きく振り上げて突き刺した。
何度も何度も突き刺したが何か感触が違う事に気付いた時には隠れていた刑事達に四方から取り囲まれて押さえつけられた。
「はなせー!くっそー。はなせー!」
何度も叫びつずけるギャブの姿をドアの傍で見ていたカレンはガイに支えられホッとしながらその場を後にした。
「カレン、大丈夫かい?」
「え、ええ、大丈夫よ。これでもう安心していられるのね。」
「ああ、そうだよ。君も君のお父さんも自由だよ。」
「それに俺はホッとしている。君にまた危害を加えられるかもしれないと刑事から聞かされた時は不安でたまらなかった。だがああするしかギャブをおびき出せなかった。許してくれ。」
「大丈夫。私は全然怖くなかったわ。だってあなたがいるからーーーねえ、もう一度言ってくれる?」
「何をだい?」
「大切な・・・なんとかかんとか。」
「ああ、俺には君がとても大切なんだ。君を愛している。ずっと傍にいてくれるかい?」
「ええ、私も愛しているわ。嫌だって言っても傍にいるわよ。」
「だが君のお父さんは・・・。」
「コッホン。」
「おとうさん。」
「まあ、今回の事で君の事はよくわかった。娘もどうやら君がいいらしい。私も・・・まあ、いいんじゃないかと・・・。」
「いいの?」
「こんなじゃじゃ馬、彼でないと無理だろう。まあ、ガイなら私も。」
「ありがとう、パパ。」
それから数日後、カレンはガイの家にいた。
二人は話しあって週末はカレンの家に住み、普段はガイの家で過ごすことにした、
父とは今はそれなりに仲良く過ごしている。
来年は家族がまた増える事を話すとガイも父も大変喜び、今から色々な物をそろえ始めている。ガイのおかげで父ともよりを戻せ、新しい家族が増える事をカレンはとてもうれしく思った。
安らげる場所を見付けられた事を。
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やすらぎはあなたと
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ギャブは焦っていた。
そして失敗した。
何もかもがうまくいかない。
死のうとまで考えたがそんな勇気さえもなかった。
あきらめかけたギャブは警察に向かった。自首しに。だが、いざ警察署に向かうと足がすくんだ。
今ならまだ逃げられるかもしれない。そんな気がした。
「絶対逃げ切ってやる。」
ギャブはそう強い思いで行動し始めた。
髪型を変え、口髭をつけたのだ。すると以前の彼とは全く違う彼になっていた。そして次にしたのはカレンがどうなったかということを知る事だった。
すると暫くしてカレンは父親と一緒に入院している事を知った。
二人とも生きていたのだ。
生きているならいつか自分の犯行だとばれてしまう。
殺すしかないという事だけしか考えられなかった。
そしてある日ーーー。
ベットから起きられるようになったカレンは一日も早く退院したがったが医師の許可が下りずイライラしていた。
「もう大丈夫なのにいつまで入院しなくちゃいけないの?」
こうしている間にもギャブが何かしてこないかとカレンはヒヤヒヤしていた。
「カレン、仕方がなかろう。ここなら刑事達もいるから安心だ。それにそろそろ奴も来るだろう。
するとタイミングよくドアが開き、ガイが入ってきた。
「あら。タイミングいいのね。ちょうどあなたの話をしていたのよ。」
「俺の・・・事?」
「ええ、あなたはとっても優しくて心が広い人だって父と話していたのよ。
「本当に?」
「ええ、そうよ。」
カレンは微笑みながらそう答えた。
ギャブはニーバスの主治医を装い二人がどの病室にいるかをナースセンターで聞き出した。
そこまではなんとかバレずに聞き出せた。しかし、二人の病室の前には男性が一人立っている。
おそらくは刑事だろう。とすると、チャンスを待つしかない。しかし、早くもそのチャンスが巡ってきた。立っていた刑事がその場を離れたのだ。
ポケットには持ってきた鋏が入っている。これでやるしかない。
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担架に乗せられ救急車に運ばれるカレンに付き添ってガイも乗り込んだ。
そしてすぐに病院に着くと緊急手術が行われた。
ガイが待っている間に刑事が二人走ってやってきた。
「彼女の容体は?」
「まだわかりません。刑事さん、あなた方は何をしていたんですか?彼女の護衛は?」
「実は彼女にも護衛の話はしたんですが、断られてしまいましてね。でもこっそりとつけてはいたんですよ。彼女をひいた車のナンバーも控えてありますから照合中です。」
「ギャブの可能性は?」
「その事なんですが、今、彼は行方不明でして捜査員が探している所なんですよ。」
「じゃあもしかして・・・。」
「可能性はありますね。」
話している間に手術中のランプが消え、医師が出てきた。
「彼女は?」
「大丈夫です。命に別条はありません。手術は成功です。」
「ありがとうございます、先生。」
手術室から出てくる彼女を見て安堵した。彼女を失わないで済むと。
それからのガイは二人の面倒を見ながら仕事にも行き、ギャブの行き先をあたった。しかしなかなか見つける事が出来なかった。
それから数日後、いつものように二人の面倒を見に病室を訪れると二人は起きていた。
「カレン、もう大丈夫かい?」
「ええ、もうすっかり良くなったわ。あなたのおかげね。」
「いや、君の回復力が速かっただけさ。」
「またお前か、よくもまあつずけられるものだ。」
「お父さん、やめてよ。彼のおかげで私達同じ病室にしてもらえたんだから。感謝しなくちゃ。」
「いや、大したことじゃないよ。刑事にも同じ病室の方が護衛がしやすいって言われてね。病院に掛け合ってもらったんだ。だから俺は大したことはしていないよ。」
「その後どう?ギャブは見つかった?」
「いや、まだ行方不明のままだ。油断はできないよ。彼が捕まるまでね。」
「じゃあ父を襲ったのも。」
「ああ、彼だ。君を襲ったのもね。」
「何て奴。そこまで酷い人だったなんて。」
「お前の言うとおりだった。私が間違っていたらしい。ギャブめ、許せん!」
「ギャブも借金で追いつめられたんだろう。だが俺も許せない。」
「ええ、そうね。」
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「そうでしたか・・・とすると恨みを抱いているかもしれませんね。あなたにも危害が加わるかもしれません。」
「まさか。」
「いえ、この手の事件は少なくないんです。ですから用心してください。なんでしたら護衛をつけますか?」
「いいえ、大丈夫だと思います。」
「これからはなるべく一人では出歩かないようになさってください。一応ギャブ・クリストスをあたってみます。他に心当たりがある人物はいませんか?」
「いいえ、でも父はワンマン経営で恨みをかっているとしたら私にはわかりません。」
「そうですか。目覚めたら本人に聞いてみます。襲われた時の事も聞けるかもしれません。」
「そうしてください。」
刑事達はそう言って病室から出ていった。
父はまだ眠っている。
カレンは携帯からガイに連絡し、病室にきてもらった。
「驚いたよ。大丈夫かい?」
「ええ、でもこれがギャブの仕業かもしれないなんて・・・。もしかしたら私のせい?」
「いや、君のせいじゃないよ。これを彼がやったとしたら彼自身のせいだ。だけどこれからは用心した方がいいよ。できるだけ俺も一緒にいるよ。」
「いえ、大丈夫よ。あなたは仕事に戻って。そうそう休んではいられないでしょ?」
「だが君に何かあったら・・・。」
「大丈夫よ。刑事さんに護衛をお願いするから。」
「そうしてくれると俺も安心できる。」
ガイと病院で別れた後、カレンは一人で歩いていた。
ガイにはああ言ったが護衛は付けてもらっていなかった。
はるか後方から一台の車がゆっくりとカレンに近付いてきているのを彼女は気付いていなかった。
ある程度近付いた所から突然猛スピードで走ってきた。
カレンが気付いた時にはすでに遅く彼女を跳ね飛ばして逃げていった。
その様子を見ていた数人の通行人の一人が救急車を呼んだ。辺りは一時騒然となった。
場所が近かったのが幸いしすぐに救急車がやってきた。
その近くをまだ歩いていたガイはふと救急車の方を見た。するとそこには横たわるカレンの姿が・・・。
「カレン!!」
ガイは走って彼女の傍に行った。だが救急隊に阻まれて近付く事が出来なかった。その間彼女はピクリともしない。
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ガイの家の庭は花でいっぱいだった。でも綺麗に咲いている。
玄関から家の中に入ると整頓された部屋ではあるが生活感があり、色使いもやさしくガイらしい部屋だった。
「可愛らしい部屋ね。」
「ああ。これは母の趣味だったんだ。だからなるべくいじらないようにしているつもりなんだ。」
「今はどうして見えるの?」
「昨年車の交通事故で両親は亡くなってね。俺一人が住んでいるだけさ。」
「そうだったの・・・。ごめんなさい。嫌な事思い出させて。」
「いや、いいんだよ。もう乗り越えたからね。」
それから二人はたわいのない話をし、その後カレンは帰って行った。
二人でこの家にいる時ガイは不思議な感じを覚えた。そう、まるでここにいる二人がずっと前からそうしているような・・・。
その時になってガイはようやくこの気持ちが恋愛感情だという事に気が付いた。
「そうか。・・・俺はカリンの事が・・・そうだったのか。」
カレンは父親の事が少し気になっていた。ガイがそう言ったからではなくギャブがおとなしく引き下がるとは考えられなかったからだ。
その時自宅にいたカレンはかかってきた電話に動揺を隠せなかった。
父が病院に搬送されたという内容だったからだ。詳しい内容は頭に入ってこなかった。ただ病院名だけは聞き取ることができ、バックを取ると急いで病院に向かった。
病院のベットに静かに寝ている父はとても小さく見え、頭や腕に包帯を巻かれている姿に驚いた。
ベットの傍には見知らぬ男性が二人立っており、手帳を見て初めて彼らが刑事である事を知った。
父親が若い男性と口論している姿を通行人や店員が目撃しており、心当たりはないかとカレンに聞いてきた。そこで頭に浮かんだのはギャブだった。まさかここまでするなんて…不安が彼女を押しつぶそうとした。
「ギャブ・クリストスです。以前まで婚約していました。でもまさかこんなひどい事をするなんて・・・考えたくもないです。」
「というと?」
カレンは今までの経緯を刑事達に話した。
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