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--------------------------------------続き----------------------------------
天王寺砦、弾正久秀謀反前日夜。
宿の番の小姓、「殿、殿、本願寺から火急のようで使者がまいっておりまする。」
弾正は寝具から起き。
久秀、「通せ。」
使者は書状を差し出し。
弾正は素早く読んだ。
久秀が一人ごこちに、「おうそうか、そうか、織田の主力が謙信に敗れたか。」
本願寺顕如からの書状だ。
「よって、今貴殿が織田に反旗を翻せば、必ずや織田を滅ぼすことが出来る。」
久秀、「フン」
その手には乗らぬ、確かに北陸の主力は負けたかもしれんが、織田の本体(美濃、尾張、伊勢衆)は健在。
そうやすやすと、その手には乗らぬわ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
この先、あの信長に一泡吹かせる機会があるだろうか。
今は大坂に本願寺、北陸に謙信、山陽山陰に毛利といる。
既に武田は滅亡の坂を転げている。
今以上な強力な織田の包囲網が出来るだろうか?
この先、残っているのが、九州、四国、関東、東北の諸地域だ、全て五畿内から遠い。
今立てば、勝てぬ、勝つことは出来ぬし、今の本願寺包囲軍を引かすことも出来まい。
だが、この後、もっと状況が悪くなるだろう。
久秀、「本殿に皆を集めい−。」
小姓、「はぁはは−」
天王寺砦本殿。
久秀、「皆の者聴けい、わしはこの天王寺砦を捨て、信貴山城にこもるぞ。」
重臣、「織田殿を裏切られるお気ですか。」
久秀、「おぉおぉ〜そうじゃ、謙信が北陸で織田の主力を破ったのじゃ、こんな機会二度とないぞ。」
「明朝夜明け前に砦を捨てるぞ。」
久通、「おぉ殿もお年か・・・・・、今織田に楯突いても勝てる見込がないものを・・・。」
京、本国時、信長寄宿舎。
小姓、「上様、上様。」
信長鋭い眼光を向け。
小姓、「霜台、松永弾正少弼久秀殿、謀反。」
「天王寺砦を空け、信貴山城にて篭城。」
信長、「・・・・であるか。」
「光秀と松井友閑を使者として弾正を説得させよ。」
「岐阜の中将には美濃尾張の兵を率いて直ちに上洛、信貴山城を囲ませろ。」
小姓、「はぁは−。」
信長、「謙信からは目を離すな、修理に伝えよ、絶対に野戦はするなとな。」
小姓二人目「はぁ。」
信長、そうか、あの老人が叛いたか、さて、どうするか。
謙信さえ西上させなければ、今の状況は変わらぬ。
何を持って赦してやるか。
おぅおう・・・、平蜘蛛があったな、あれと引き換えにあの老人の命を救ってやろう。
信長、「はぁはあはぁ〜」(甲高く笑った。)
信貴山城天守閣。
重臣、「殿、回りはびっしり織田の軍勢に囲まれました。」
久秀、「ほぅ〜そうか。」
しかし悪運の強い奴のう、まさか謙信が死ぬとは・・・・・・・。
「ワハハ−。」(独り心地に)
重臣、「殿、織田方から使者が来ました。」
弾正少弼、「通せ。」
織田使者、「霜台殿には此度の謀叛、本意にあらず、よって平蜘蛛を献上するのなら、今までと変わりなく使えよとの上意です。」
久秀一同「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
久秀は静かに、「織田の使者殿、この霜台は、信長殿に、平蜘蛛は渡さん。」
「どうしても欲しくば、弓矢によって奪い取ることを考られい。」
使者が織田陣中に去り。
「・・・・・・・・・・・・・数刻後・・・・・・・・・・・・・・・・・」
爆音と共に信貴山城の天守閣が消えた。
久秀が奈良の大仏を焼き討ちした同月同日のことであった。
---------------------------松永弾正久秀の独り事編完---------------------------------
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