きーブログ

ブログ名が変わりました(コインチョコレートの金紙を、そっとあけてはもどしていたころ→きーブログ)

ダイアリ

[ リスト | 詳細 ]

記事検索
検索

全6ページ

[1] [2] [3] [4] [5] [6]

[ 前のページ | 次のページ ]

ブログ名を変えた。
このブログを見てくれている友だちたちが、いつからか「きーブログ見たよ」
と言ってくれるようになり、なんとなく定着してきたようだったので。
ちょっとだけ、後ろ髪をひかれないでもないけれど。

「コインチョコレートの金紙を、そっとあけてはもどしていたころ」
この以前のタイトルは私の子ども時代そのもので、私はコインチョコレートが大好きだった。
いや、今でも大好きだ。本物のコインよりもコインらしい、と思う。

小学生のころ、コインチョコレートを人からもらうと、私はそれを机のひきだしにしまった。
ふたつあるうちの、小さいほうのひきだしである。
このひきだしには鍵がついていて、めったにかけることはなかったけれども、
なんとなく、大切なものだけしまうようにしていた。

ときどきそれをひきだしから出して、金紙をそうっとあけた。
ミルクチョコレートの甘ったるい匂いがして、私は鼻をふくらませた。
コインの模様がそっくりチョコレートに刻まれていることを確認し、また金紙をかぶせて
ひきだしにしまう。それだけでうっとりと、優雅な気分になれた。
きれいすぎて、好きすぎて、とても食べられなかった。

ところが、それはいつも突然やってくる。
ある日金紙をめくると、そこに美しかったチョコレートのつやや、
しっとりとした重みはなくなっている。
ぱりぱりと乾いて、白くまだらな表面。
これにはいつだってがっかりした。
こうなってしまうと、もうぜんぜんきれいじゃない。
私は仕方なく、それを口に入れてばりばり食べた。おいしくなかった。

それでも次にひきだしをあけたとき、ふわっとチョコレートの残り香があって、
ああ、やっぱりコインチョコレートってすてきなお菓子だなと思うのだった。

私はいまでも、じぶんでコインチョコレートを買うことができない。
私にとってはなぜだか手の届かない、憧れのお菓子なのだ。

いつの日かスタバのレジで、コーヒーを買うついでみたいにぽんっと1枚レジに置いてみたい。
それができたら、やっと大人。

おじさんとの闘い

3月22日。上野、鈴本。久しぶりの寄席である。

この日は休日のためか、会場前から長蛇の列。
最後尾に並ぶと、係りのひとが「ぎりぎり座れるかどうか、分かりません」と言う。
その言葉をきいて、すっと割り込んできたちっちゃなおばさんがいた。

なぜこうも簡単に割り込まれてしまったのか。
私の前に並んでいたのは2人組。横ならびに立っていた。
なんとなくだけれど、列は2列体制になっていたのだ。対して私はひとり。
つまりちっちゃなおばさんは、まず私の横に並び、列が進むと同時にすっと前に出たのだった。
そしてその背中は、私を横に並ばせまいとする気迫に満ちていた。

すると、それを見ていたおっきいおじさんがいた。
この子は大丈夫だな、とでもおもったのだろうか。
ちっちゃなおばさんとまったく同じ雰囲気をまとって私の横にぴたりとはりついた。
割り込もうとする人というのは、みな同じ空気を醸しているのはなぜだろう。
背中にふてぶてしさと、少しの後ろめたさを感じる。

闘うか、それとも心の余裕をみせて前に行かせるか。
行かせてもいい気持ちだった。「割り込まないでください」と言ったり、
相手をけん制して肩を入れたりするのはとてもエネルギーがいるし、
そこまでして笑いたいのか、笑えるのか、疑問だった。
しかし寄席はおよそ4時間の長丁場。やっぱり座りたい。
ちっちゃなおばさんは先にいかせたままで、おっきなおじさんと闘うことにした。

私は行列の様子を注意深く観察した。
動きがあるとすかさず足をふみだした。割り込ませるものか!
しかしおっきなおじさんも譲らない。私たちは横一列に並んだ状態だった。

列が進んで、券売所が見えた。するとおっきなおじさんが仕掛けてきた。
じりじりと私を列から追い出しにかかったのだ。おっきなおじさんのひじが私の肩にぶつかる。
そんなことで負ける私ではない。ないのだが、ここで思いがけない攻撃を受けることになった。
おっきなおじさんは、何日もお風呂に入っていないような臭いがしたのだ。
まずい。いつまでこの臭いに耐えられるか分からない。
もうだめかもしれない……私は負けを覚悟した。

ところが突然、おっきなおじさんがそわそわと私から離れた。
本日の出演者を紹介したパネルボードの写真を撮るためだった。
ここで勝敗が分かれた。
私はおっきなおじさんより先にチケットを買うことができた。
本気で割り込みたいのなら、一瞬たりとも油断してはならないのだ。

結果的に私は前から3列目のすてきな席に座れたし、おっきなおじさんもどこかに座れたはず。
しかし本当にぎりぎりだったようだ。そのあとすぐに、立ち見になった。

はー、とっても疲れた。
でもその疲れも、小三治さんを見たらふきとんだ。
「長者番付」の冒頭部分を少しだけだったけれど、素敵で幸せだった。

電車で見た離れ業

電車に乗っていたら、隣のひとが降りて席がひとつだけあいた。
そこに手をつないだカップルが近づいてきて、女性が座った。
花柄の白のストッキングに、淡いグレーのスカート。
コートも白で、ポケット部分はリボンの形。
髪の毛はゆるくウェーブのかかったロング。
きわめつけに、男性にグッチのかばん(ピンク!)を持たせている。

私はわくわくした。
私の周りには、じぶんの小さなかばんを男子に持たせる女子はいない。
念のため断わっておくが、かばんを持たせる女性を非難しているわけではない。
むしろ、いいぞ、と思う。なぜだか分からないけれど、ほんとにそう思う。

こうした女性が、恋人とどんな会話をしているのか知りたい。
私は手にした文庫を読むふりをして、左隣に意識を集中させた。

女性はまるで上野樹里演じる「のだめ」そっくりの話し方をした。
おおよそ10分ほど、男性の頬骨のあたりをさわりながら、
「口角が変なんだよね、口角が」と、愛のこもったダメ出しをしていた。

そこは口角ではない。頬だ。
と何度も思ったけれど、きっとそんなことは彼女にとっては取るに足らないことなのだ。
きっと口角って言葉を言いたいだけなのだ。
だって聞いていたら、私も言いたくなったもの。コウカク。

でも、そんなことより私を驚かせたのは、彼女が男性の「頬をさわっている」ということなのだ。
もう一度言うが、女性は座席に座っていて、男性は立っている。しかもかなりの長身だ。
つまり彼女は腕を上にめいいっぱいのばして、ときには腰をすこし浮かせて、
男性にタッチしていたのである。
頬だけじゃない。背広の胸のあたりなんかをさわりにさわっている。
そう、彼女は、座席に座っていながら立っている恋人にべたべたする、
という離れ業をやってのけたのだ。

「口角」の後は、会社の人たちの話題で私にはさっぱり分からなかった。
それでも私は深く満足して、最寄駅に到着したので電車を降りた。
私はほんの15分ほどの間に、彼女のことをとても好きになった。
余計なお世話だけれど、どうか、このまま年をとっていってほしいと思った。
アイポッドの音楽をかけて顔をあげると、ひとつ前のドアからあのカップルが降りてきた。
おんなじ駅かいっ。
心の中でひとりつっこんで、でもまたいつか会えるといいなと思った。

東京の星

やけに星のくっきりと見える夜だ。
会社からの帰り道、ビルとビルの間から、ちかちかと主張してくる。
ちょうど大きなマンションがなくなったさら地があったので、
張りめぐらされた針金の前に立って、見てみることにした。
首をぐーっとそらすと、空と星だけになった。
しばらく見ていると、それまで見えなかった星もぼんやり見えてくる。
なんとなく、つぶつぶと光って塩みたい、と思った。

小さいころに一度だけ、母が爪に色をぬってくれたことがあった。
ピンクのマニキュア。
つやつやと光をはじく爪が自分のものじゃないみたいで、
とても信じられない気持ちで、胸がときめいた。
ぬりおわっても、私は爪から目をはなせずにそろそろと歩いた。
「ぬってもらった」
近くにいた大人に爪を見せたら、その人は顔をきゅっとしかめて、
「子どもはそんなの、ぬっちゃいけないのよ」
と言った。
私は手を引っ込めて、その人の前から逃げた。
びっくりしたのだ。
きれいだねって、言ってもらえると思っていたから。

きれいだねって、言ってもらいたかったなあ。

全6ページ

[1] [2] [3] [4] [5] [6]

[ 前のページ | 次のページ ]


.
きー
きー
女性 / 非公開
人気度
Yahoo!ブログヘルプ - ブログ人気度について

スマートフォンで見る

モバイル版Yahoo!ブログにアクセス!

スマートフォン版Yahoo!ブログにアクセス!

1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31

Yahoo!からのお知らせ

よしもとブログランキング

もっと見る

[PR]お得情報

数量限定!イオンおまとめ企画
「無料お試しクーポン」か
「値引きクーポン」が必ず当たる!
ふるさと納税サイト≪さとふる≫
実質2000円で好きなお礼品を選べる
毎日人気ランキング更新中!

その他のキャンペーン


プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事