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○素盞嗚尊の足跡 その2 須佐神社 (平成17年6月26日)
平成17年6月26日、暑い季節になってきたので涼を求めて走り出した。国道54号線を南下し木次から三次方面へ。掛屋から県道39号湖陵掛合線へ入り佐田へ向かう。途中夕立にあうものの車の流れはスムーズで快調に走る。
山の中を縫うような道が少し開けてきたと思ったら道端に突然案内板が出てあわてて左折する。橋を渡るとすぐそこが須佐神社だ。傍らを須佐川が流れている。底は割りに深い。川底は岩肌になっていて少し変わった景色を作り出している。奥津温泉のように足踏み洗濯が出来そうだ。
川を挟んで両岸は少しの田圃があるだけで平地は少なく土地は狭い。中国山地から里へ下りて来ているがまだまだ山間の地で開けているとはいい難い。もう少し広い平野部を想像していた。
予想より狭い境内。否、けして狭くはないのだが著明な社というと出雲大社クラスを予想してしまうので期待が大きすぎたのだ。大社造りの堂々とした本殿で立派なことに異論はない。
平地の少ないところなので境内が広く取れていないが周囲は老木が生い茂り荘厳な感じを受ける。観光客は少ない。
案内板によるとこの神社には七不思議というものがあるらしい。その一つが境内に入って右手の小さな石組みの池で塩井(しおのい)と呼ばれる井戸だ。これは海に続いていて水の湧き出しは海の満ち引きに関係して間歇があり日本海満潮時には周囲に潮の花を吹くとされる。ちょっと信じられない。
本当に塩が析出するのなら岩塩層を地下水が通って来ているのだろうか。しかし日本にそれ程の巨大な岩塩の地層があるとは聞いたことがない。
念のため井戸の周囲をじっと眺めたが白いものは発見できなかった。井戸は汲めるようになっているのだが水面があまりきれいではないために実際に口に含んで確認しようという気持ちにはなれない。
出雲国風土記によれば、素盞嗚尊がここを訪れた時この地は小さいが良い所なので自分の名を木や石にはつけないようにしようと言って御魂を鎮め置いたとされる。御陵ということになるのだろうか。また、ここへ来られたのは八岐大蛇退治の後のことでここが古事記に言う須我の宮だという説もあるが地名が違うのでこれは少し無理があるようだ。
日本書紀、古事記で出雲神話はかなりの量を占める。素盞嗚尊の出雲下りや八岐大蛇退治、大国主命の因幡白兎の話や八十神の迫害、そして国譲りなどなど。主として素盞嗚尊と大国主命の出雲での活躍を出雲神話と称している。天上の高天原での話以外にこの地上の中津国葦原瑞穂国を舞台とするまとまった神話はこの出雲神話と邇邇芸命の天孫降臨から始まる日向三代の物語だけだ。
ところが出雲国風土記には記紀に記される出雲神話は一切載っていない。代わってそこには国引き神話を代表として記紀には全く触れられない神話が存在する。記紀と出雲国風土記には共通の神話は何一つないのだ。この事実は大和勢力が国家統一を行う過程で何らかの神話を作り出す必要に迫られて出雲国を舞台とした物語を創作したとする説がある。それは地方氏族が祀るそれぞれの地主神を一つの体系に組み込む目的で祭祀権の確立を目指すもの、いわば神々の中央集権化とも言える作業だったとされる。舞台はどこでもよかったのだが出雲にしたのは大和政権にとって出雲が無視できない勢力だったため反発を弱めるため、いわば機嫌取りだったと唱える人もいる。
出雲国風土記では素盞嗚尊は英雄譚が全くなくほとんど活躍しない。素盞嗚尊は「荒れすさぶ」神を示すという説と「須佐の王」のことで地主神を記紀が取り込んだのだという説が対立するが出雲国風土記での扱いの軽さを考えるとどうやら須佐の王説に説得力を感じる。
素盞嗚尊の本貫地はここで元来はこの一地方神だったのではないだろうか。そして記紀で出雲神話を創作する時に主役の一人に抜擢されたのではと思った。
一方、出雲国風土記で中心的な役割を示す大国主神は記紀でも説話は豊富だ。この神は別名が多く大穴牟遅神、大己貴命、大穴持命、八千矛神、葦原醜男、葦原色許男神など数々ある。これは各氏族の別の神を統合して一つにした結果だろう。記紀の大国主命の話は様々な神の伝説を実は大国主命の別名だったことにしてまとめたいわば寄せ集めと考えられる。
出雲国風土記で語られる大国主命は所造天下大神と呼ばれる神の神話でありけっして記紀での大国主命の物語ではない。
このあたりの想像はまた改めてきちっとまとめてみたいと思った。
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はじめまして。数年前、突然思い立って、名古屋から車で中国・山陰地方を旅したことがあります。宍道湖に到着したのは夜で、残念ながら宍道湖の夕日を見ることができませんでした。その夜は宍道湖横の道の駅で車中泊、翌日から出雲大社、出石などを見て山陰をドライブ、天橋立で生牡蠣を食べて名古屋に戻りました。懐かしい思い出です。
2006/11/24(金) 午前 0:50 [ 琥珀酔ものがたり ]
山陰観光は関西以東の人には遠いし馴染みが薄いでしょうね。 松江、出雲周辺は日本神話や古代史に興味があれば何日でも楽しめますよ。また、そうでなくても機会があればまたどうぞ。
2006/11/25(土) 午後 5:43