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いつまでも若葉な中年ライダーの古社寺旧跡紀行

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厳島神社

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○厳島神社 (平成17年5月29日)

宮島口フェリー乗り場横の駐車場へ入った。この近くは車を停めておける場所が少ないのだがそれにしても500円も取られた。車と同じ駐車代金というのは少し高すぎる。いっそのこと停めずにフェリーで渡すという方法もあるが片道380円のフェリー代の方が高くつく。島の道は狭く交通規制も多いしバイクを使う予定もない。どうにもしかたがない。ちなみに乗船は片道170円。

今回の巡礼で3回目の船。どのフェリーも乗っている時間が短すぎて旅情をかきたてられないのが残念だ。

海の向こうに近づいてくる大鳥居と朱塗りの社殿、その背後にそびえる弥山はいかにも神の住む島という威厳を感じさせる。山が原生林として手付かずのまま残されていることが見る人へ神聖な印象をさらに強く与えるようだ。
わかりきったことだが、「厳島」とはそのものずばり「斎(いつき)島」のことなので島全体が聖地になっている。神そのものである島へ参拝するのは船であり大鳥居に向かって海が参道になっていたのだ。

世界遺産に登録された海に浮かぶ華麗な寝殿造りの社殿。平清盛は満潮になれば海上楼閣となる砂浜に宮を建てた。この発想はなかなか思いつかない。海の女神を祀るので竜宮を模したからとも、海を当時流行した浄土庭園の池に見立てたとも、海のかなたの極楽浄土を映したともいわれる。
島そのものを神であり御神体であるとみなしたため上陸することなく浜から拝むようにしたからという説もある。海の参道を通り船でしか参拝できないことを考んがえると最も理にかなった説明に思われる。しかし、実際は一つの理由ではなく多くの信仰を元に今の地に今の形に作り上げられたに違いない。

10分の船旅で島に上陸する。引き潮の大鳥居周辺には学生服の大集団がいる。まだ参道脇の土産物屋が開いてない時間ということもあり観光客以上に修学旅行の生徒が目に付く。宮島に泊まっていた学校だろう。そういえば中学校の修学旅行でこの島の旅館に泊まったがどこだったか全く覚えてない。
参道も修学旅行生徒であふれて大混雑。あちらこちらで出発前の点呼や班長を呼んだりする声が聞こえる。
愛想をふりまく相手の旅行者が少ないので鹿はのんびりしている。

いつ来ても厳島神社は美しい。華麗、壮麗、優美、優雅など陳腐な語彙でしか形容できない文章力が情けない。
松島、天橋立と並び日本三景の一つだが、そのうちで唯一人工物なのが厳島神社だ。昔の人も自然美に匹敵すると感じたのだろう。日本を代表する建築であることは間違いない。そして、その美しさを背後の弥山の緑がさらにひきたてて神々しさを加える。

満潮になれば社の周囲は海面となる。一度海上に浮く姿を見たいのだが何度来ても満潮時に出会わない。今回もまた潮干狩りができそうな引き潮だ。

受け付けから入り東回廊を回ると平家物語の「平康頼卒塔婆流し」の卒塔婆が流れ着いたとされる伝説の場所がある。
平清盛全盛の頃、平家打倒の陰謀を鹿ヶ谷で企てたが発覚し鹿児島の鬼界ヶ島、現在の硫黄島に流された平康頼、藤原成経、僧俊寛。康頼は年老いた母を思って都をしのぶ歌を刻んだ卒塔婆を島から千本流した。そのうちの一つがここ厳島に流れ着き、その卒塔婆が母親の手に届いた。この話が宮中で話題となり清盛も哀れと思って娘の中宮建礼門院徳子が懐妊したとき男子誕生を願って大赦を行い平康頼と藤原成経は赦された。
歌舞伎や能などにも題材として取り上げられた有名な逸話だ。他の資料にも載っているので全くの作り話ではないらしい。潮の流れは意外なところへ思いもよらないものを運ぶものだ。流れ着く可能性はあるが康頼縁の者が卒塔婆を自分で作って話を創作した可能性のほうが高そうな気がする。
ちなみに、この時俊寛は赦免されなかった。

社殿は昨年の台風の傷跡がまだ癒えてない。屋根の一部は剥がれたままになっている。流された左楽坊と舞台も修復工事中なのが痛々しい。丘の上にそびえる千畳閣の三重塔も改修中で足場で囲まれている。これも台風被害の修理だろうか。

案内係やバスガイドが団体客にそこかしこで説明を行っている。聞こえてくる声がやたらと解説ばかりで博物館の見学のような気になってしまう。拝殿の前で参拝するより外の静かな場所から眺めていたほうがありがたく感じられるのは気のせいか。

厳島神社の主祭神は宗像三神。海の女神で海上交通、船、海の神だ。市杵島姫命(いちきしまひめ)、田心姫命(たごりひめ)、湍津姫命(たぎつひめ)。これは筑紫の宗像大社の三女神と同じ組み合わせで日本書紀の本文と古事記に準じている。
宗像三女神のそれぞれの名前には異説が多く名前の組み合わせが異なる。たぎつ姫、たぎり(たごり)姫、いちきしま姫、おきつしま姫の四神の中からいろんな三神の組み合わせがある。どうも三神にするために統一が取れてないようだ。

「たぎつ」とは潮や水の流れの速い様、「たぎり」は水面に泡がわきたつ様子。この二つは荒々しい海の様子を表していて宗像氏の勢力圏である荒海の玄界灘を神格化したものと思われる。
それに対して「いちきしま」とは厳島と同じで斎く島、斎祀る島だし、「おきつしま」は沖の島、沖にある島だ。こちらは島自体が御神体か神の住む島なのか確定できないがともかく島を神格化している。
波荒い海と神の島と少し違うものを三神の組み合わせにしようとしたところに統一性が取れなくなった原因がありそうだ。三神にしたのは住吉三神、綿津見三神と海神は全て三柱という考えが広まったためと推測される。

宗像三神の本宮とされる宗像大社は本土の辺津宮、400m程沖の大島にある中津宮、さらに4km程離れた沖ノ島の沖津宮からなる。どの宮にどの神が祀られるかは時代によっても違っていたりして相変わらず統一性がない。ここでも無理に三神にしたため整合性がうまくいってないことがうかがえる。
このうち沖ノ島は古代より連綿と祭祀が行われ聖なる島として一般人の上陸が禁止されてきた。そのため何世紀にも渡る祭祀器や供物が残されていて海の正倉院とも呼ばれる。その特別な扱われ方から沖ノ島が宗像神の中核をなすものであることは疑いがない。

九州北部に勢力を張る宗像氏は海の民。漁や航海の場は荒海の玄界灘。遭難は日常茶飯事だっただろう。そこに浮かぶ沖ノ島に安全を祈ったのが宗像の氏神の最初と思われる。日々の漁労や朝鮮半島への交易では航海上の目印にもなるはずだ。海を荒れさせる「たぎつ」とも「たぎり」とも呼ばれた神に波を鎮める祀りを行ったのではないだろうか。荒ぶる海神「たぎり」あるいは「たぎつ」が宗像氏の奉じる根本の神でその最も神聖な斎場が沖ノ島だったと想像している。

時代が下るにつれて本来まつりごとの場であった島そのものが徐々に神格化されてゆく。そうなれば当然「おきつしま」という神が形作られることになる。
島が神そのものとみなされるようになると遥拝所が出現する。島が容易に近づきがたい場所にあれば集落に近い所に島を拝する場所が出来る。それが大島ではないだろうか。中津宮は沖ノ島の遥拝所として発生したものと考えられる。
斎祀る島「いちきしま」は沖ノ島か大島を指す言葉として使われだし神格化したのだろうが元はここ宮島の厳島から出たのではないかという気がしている。

山中に磐座としてスタートした神社が徐々に里へ里へと降りて行くのはよくある。神を祀るのに便利な場所へ移動してゆくのだ。本来不便で人が簡単には近づけないことが自然の結界として作用し神聖視されるが、アクセスが良くないことが逆に参るのが不便だと思われるようになり山深い場所の磐座から宮が集落へ移ってゆく。少し矛盾しているが人は楽を求めるのでしかたがない。
宗像も中津宮からとうとう本土へ上陸して宗像神社辺津宮が作られるに至ったと想像できる。
御神体である沖ノ島、遥拝所の大島、里宮としての辺津宮。この三つが海神は三柱であるとの認識が広がるのと関連して三女神が形成された。初めから三柱としてスタートしたのではないので名前に異説が多くなったと想像してみた。

他の海神の代表である住吉神と綿津見神にも大きな謎がある。記と紀では多少名前の違いはあるが底筒之男命、中筒之男命、上筒之男命が住吉三神で、底津綿津見神、中津綿津見神、上津綿津見神が綿津見三神だが、どちらも底(そこ)、中(なか)、上(うわ)とまるで作ったように整然とした名前になっている。また、宗像神は宗像氏が奉じ、綿津見神は安曇氏が祭るが住吉神には祭祀した有力氏族が認められていない。さらに綿津見神の総本社とされる志賀島海神社は宗像大社、住吉大社に比べてかなり規模が劣る。これらはどうしてなのか。このあたりはまた想像を膨らませるときもあるだろう。

拝殿で旅の安全と家内安全、無病息災を祈願して回廊を渡りきる。

出口の前には宝物館がある。初めてではないので少し迷ったが痛んだ社殿修復にも費用が必要だろうし寄付のつもりで入った。見学者が少ない。
失礼ながら展示物はあまりぱっとしない。奉納品がほとんどで割と新しいものが多くあまり興味をそそられない。解説書きなども色あせて薄汚れている。建物内部も古ぼけていて冴えないこと甚だしい。
そんな中での唯一のお目当ては平家納経だ。入館料300円は平家納経拝観料以外の何ものでもない。しかし国宝一つで300円は少し高い。やはりもう少し他の展示が充実していて欲しい。

国宝平家納経。平清盛を筆頭に一族の主だった郎等が自らの極楽往生と平氏一門の繁栄を願って厳島神社に奉納した法華経と願文。金銀をふんだんに使った料紙に宝石で装飾した軸など華麗なものだ。平家の栄華が偲ばれる。
神社に納経とは典型的な神仏混肴を表している。

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こんばんは。
関連記事から来ました。
素晴らしい風景ですね。ポチ

2013/11/26(火) 午後 5:23 あるく


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