同行二輪

いつまでも若葉な中年ライダーの古社寺旧跡紀行

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○第十四番、多喜山、水精寺、大聖院 (平成17年5月29日)

宮島厳島神社の宝物館を出て路地を山へ向かって歩いてゆくと大聖院への参道へたどり着く。このあたりまで来るともう本当に観光客はまばらで静かだ。神社周りの喧騒はなんだったのかと思ってしまう。

ここは厳島神社の別当寺として発展した。島の中央にそびえる山を弥山と呼びぶのだが、これは仏教でいうこの世界の中心にそびえる須弥山のことで、仏教が入ってきて神仏習合が進んだ後に呼ばれ始めたはずだ。
厳島神社の祭祀を司った別当寺の水精寺には今とは違ってもっと多くの塔頭があったと思われる。大聖院はそれら塔頭の総本坊だったということだ。

ずいぶんと以前に参拝したことがある。久しぶりで少し懐かしい。
境内に足を踏み入れると正面に波切不動を安置する本堂があり右手に札所である観音堂が建つ。

観音巡礼なのでまず観音堂へお参りをする。
本尊は十一面観音菩薩。厳島大明神の本地仏とされる。宗像三神は三柱なのにその本地仏が一体とは数が合わない。実は仏が垂迹するときに複数の神に分かれたり逆にいくつかの仏が一つになって神として現れてもいい。このあたり本地垂迹説はかなり融通が利く。本来全く別々の宗教概念である神道の神と仏教の仏を融合させなければならないために厳密な教義で固定してしまうのは無理なのだ。先人の工夫の跡だが見方によっては御都合主義ともとれる。
本尊も明治まで厳島神社に祀られていたが神仏分離でここに安置されるようなったものだ。

本地仏が十一面観音菩薩一体なのは別の理由もありそうな気がする。厳島では三神という認識が弱く厳島大明神と呼ばれるように一柱としてとらえられる傾向があったのではないだろうか。また、厳島神社の主祭神は宗像三神となっているが元々は違うのではないかと思われる。
厳島が祭祀を行う島、斎祀る(いつきまつる)島で、斎島なのは疑問の余地がない。そこに祀られる、あるいは住む神は斎島の姫神と呼ばれたのが最初ではないだろうか。斎島の姫神、すなわち「いつきしまのひめがみ」で市杵嶋姫命。厳島に祀られる神は市杵嶋姫命と呼ばれるようになる。
そしてこの市杵嶋姫命の名前を、やはり同じように沖ノ島という島を御神体として宗像神を奉ずる宗像氏が取り込んだのではないだろうか。その過程は宗像氏の瀬戸内航路への勢力拡大だったかも知れない。
市杵嶋姫命が加わった宗像三神が形成された後に、逆に厳島の固有の斎島の姫神に宗像三神が結びついたと想像するのは個人的にはかなり良いような気がする。

十一面観音像の前にチベット密教の巨大な砂曼荼羅が作られている。相互交流があるようだ。砂曼荼羅は様々な色に染められた砂を絵の具の代わりにして地面に描く極彩色の曼荼羅でチベットでは儀礼のたびごとに作り役目を終えた後は崩すのだが、ここではそのまま堂内に保存してある。
残念なのは須弥壇右に古い扁額やら斗供の組み物やらが置かれてまるで倉庫の様なこと。少し見苦しい。整理したほうがよさそうだ。

奥の本堂に本尊の波切不動が安置してある。境内は山の斜面にあるので広くはないが多くのお堂がありそれぞれに仏像も多いためなかなか全てを廻ることも出来ない。さらには裏山から続く弥山山頂にも大日堂、弥山本堂、霊火堂、三鬼大権現、奥の院など多くの伽藍を持っている。一度は弥山の各堂を廻ってみたいのだが未だに期会がないのが残念だ。

本堂の裏の境内一番上に摩尼殿がある。弥山にもある三鬼大権現が置かれる。三鬼大権現とは大日如来、虚空蔵菩薩、不動明王のことで福徳、智恵、降伏を備えた守護神だという。この名前は一般的ではなく聞いたことがない。響きからは蔵王権現などと同じく修験道系の護法神のようだ。弥山山頂は巨石があり古代磐座と考えられているので修験道と関連していても不思議はない。

三鬼は宗像三神の本地仏として創られたと想像するのは無理だろうか。
本地仏の対応はかなりルーズで同じ神でも神社で違っていたりする。宗像神も宗像大社では辺津宮を釈迦如来、中津宮を大日如来、奥津宮を薬師如来としており、宗像三神の市杵嶋姫命を祀る厳島大明神の十一面観音とは全く違う。更に、厳島は本地を胎蔵大日如来とする説もあり必ずしも決まっているわけではない。
いつの頃か弥山修行者の中に宗像三神の本地を大日如来、虚空蔵菩薩、不動明王とする考えがありそこから三鬼大権現が感得されたのではないだろうか。何の根拠も資料もないのだが。
もっとも巡礼に関連した想像はほとんど全て無責任な空想なので三鬼大権現だけが特別なわけではない。それなりに自分で納得して満足すればそれでいいのだ。

境内には西国三十三観音の石仏があるし、四国八十八ヶ所のお砂ふみもある。なんとここだけで西国も四国も終わる。お手軽だが二大巡礼地が揃っているのは完璧すぎる。
ありがたく廻らせて頂いた。数の点で33に対して88はかなり多いというのが率直な感想だった。

のんびりと御成門へ戻ってゆく。モミジの木が多い。秋は美しそうだ。ふとこの規模の伽藍をどうやって維持しているのか疑問が湧いた。宮島は神の島なので墓地はないはずだ。それならこの寺に檀家は存在しないのではないだろうか。確かに三々五々と旅の参拝者がやって来るがそれだけで寺院経営が成り立つとも思えない。どうなっているのだろう。

厳島神社参道まで戻るとシンボルの大鳥居は海の中に浮かんでいた。大変な勢いで潮が満ちているようだ。日本海は干満の差がないので瀬戸内のようにダイナミックに砂浜が出現したり海中に没したりするのがとても不思議に感じられる。

今日は日が良いのだろうか参道を新郎新婦を乗せた結婚式の人力車が進んで来る。外人旅行者が盛んにカメラに新婚を収めていた。

それにしてもここは観光客が多すぎる。そろそろ土産物屋も店開きしていて朝以上に騒がしくなっている。巡礼者が似合わない場所だ。
フェリーは来る人で一杯だが本土へ帰る人は少ない。これからさらに宮島は賑わう時間となる。


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