同行二輪

いつまでも若葉な中年ライダーの古社寺旧跡紀行

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○第十三番、龍泉山、三瀧寺 (平成17年5月29日)

広島の中心を突き抜けて市街地の北西にあるJR可部線の三滝駅方面を目指す。三滝橋で大田川を渡りそのまま山へ向かって登ってゆく。

事前調べで山寺のようだと少々警戒していたが割りに広い駐車場があった。
実は先行きが不明なので広い道の脇に路上駐車して、そこから歩こうとあたりを見渡していた時、散歩のおじさんがバイクを見て声をかけてきた。
鳥取から来たの?。どこへ行くの?。三滝寺。それならそこを登ったところ。上に大きな駐車場があるわ。
結局、お寺までの道にも駐車場にも全く問題がなかった。

市街に近く平和記念公園から直線で3kmほどしか離れていないのだが100万都市の郊外とも思えない静けさ。山深く分け入ったような錯覚をおこしてしまうほどだ。小川のせせらぎが涼やかな音をたてて流れている。

木々に囲まれた参道をゆっくり進むと瀬音が強まる。右から流れが加わるが、その奥が駒ヶ滝のようだ。何故か小道のど真ん中に鐘楼がある。参道から鐘楼をねらってスケッチをする人がいる。確かに絵になる。
背後の三滝山へ登山遊歩道がある。都会の片隅に森林浴の出来る清々しそうな散歩道で心ひかれるが行程は1km以上もある。また機会があれば歩こう。

参道は谷を流れる川沿いを奥に向かって伸びる。途中に梵音の滝と補陀洛の庭というものが見えてくる。柱状切離の石柱が立てられた庭で他ではあまり見かけない。奇抜な風景で現代作家の庭といっても通じそうだ。

右手の多宝塔は原爆犠牲者の菩提を弔うため他から譲られたものという。ここは爆心地からは少し山陰になっているが爆風で堂宇は倒壊したらしい。広島はいたるところ原爆と無関係ではない。

本堂は懸け造りになっていて舞台下の崖を滝が流れ落ちる。崖には石仏がいくつも安置してある。
小ぶりの1m足らずの十一面観音菩薩を本尊に、左脇侍不動明王、右脇侍阿弥陀如来、前には弘法大師坐像を中心に左に地蔵菩薩、右に役行者。さらに須弥壇左には愛染明王、右には観音像が二体。大きくもない本堂に少し詰めすぎている。以前は堂宇がもっと沢山あった証拠だろう。

本堂の裏、境内の一番上に岩に囲まれて鎮守堂があり天神と山神が祀られる。ここの巨石は磐座のようだ。
細い小さな滝が流れ落ちていて幽明の滝という。参道途中の二つと合わせて三つの滝があるところから三滝寺と呼ばれるようになったという。滝といっても皆小さなものなので数の多さが珍しいのではなく、流れ落ちる水源が全て違うのがこの小さな規模の谷にしてはあまりないらしい。
ここの狛犬は妙だ。何にかを手に掴んでいる。判然としないのだが魚か子犬のようにも見える。北海道の熊ではないので鮭を持っているとは思わないが今まで見たことがない。結局何なのかはわからなかった。

本堂横の納経所脇には異国情緒豊かな仏像が並んでいる。東南アジアの仏ということだ。どのような縁で置いてあるのだろう。

本堂周辺は岩と崖が多く石仏や摩崖仏がいたるところ彫られている。滝に巨石という修験道になくてはならない舞台装置がこれほど見事に揃っていれば修行僧が集まり伽藍が整ってゆくのは必然だろう。小豆島の山岳霊場を思い出した。

本堂向かいに三鬼権現が祀られる。宮島の大聖院にあったあれだ。思いがけないところで思いがけないものに出会った。距離的にも遠くはないので大聖院と何らかの関係があったとしても不思議ではない。

むしろ不思議なのは人が結構来ることだ。何をしに来るのだろうか。確かに深山幽谷の風情を気楽に味わえるが有名な観光寺院でもないのに途切れることなく一人二人と参拝者がやって来る。どうやら遠くではなく市内からの人のようだ。避暑、紅葉狩り、遊歩道散歩、森林浴、ほっと癒されになど割と気楽に来られる寺ではある。


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