同行二輪

いつまでも若葉な中年ライダーの古社寺旧跡紀行

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般若寺

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○特別霊場、神峰山、般若寺 (平成18年8月5日)

柳井(やない)の町から国道188号線を徳山方面(とくやま)に向かってしばらく走ると左手に看板が出る。田圃に囲まれた道を山に向かって進む。分岐にもきちんと案内板があるので迷う心配はない。
道は室津半島(むろつ)スカイラインに続く。スカイラインというものの展望の全く開けない一車線の田舎の山道にすぎない。普通自動車同士でもすれ違いは苦労する道幅だが確かに道自体には危険な個所はなく問題なく着く。

駐車場から池が見えている。龍神池と書かれてあり小さな祠もある。その脇の小高い場所が般若姫(はんにゃひめ)と用命天皇(ようめい)の墓所とされる。
瑞垣に囲まれて二基の多少崩れかけた宝篋印塔が慎ましやかに建っている。
用命天皇の御陵とされているが宮内庁は指定してない。そんなことと関係なく大切にされているのだろう。誰が供えたのか花が飾られている。
宮内庁管轄御陵はあまりに整備されすぎて畏れ多い感じを与える。いわば高圧的だ。そして天皇陵には全く近づけない。遠くから遥拝するだけだ。天皇は文字通り近寄りがたい存在としてそこに祀られている。
しかし、ここでは気楽に近くまで寄れる。用命天皇も般若姫と同じく庶民にとって身近な存在として愛されているような気がする。まさしく開かれた皇室か。

御陵を過ぎて登ると仁王門が左手に現れる。いつの間にか仁王門をくぐって境内にいる形になっている。門の外へ出てみるとそちらが昔ながらの参道で石段の向こうへ草生した細道が山を下るように続いている。道路の整備で昔ながらの本来の参道が廃路となったのだ。
仁王門を左に見ながらさらに石段を登るとかなり傷んで建物自体が多少ゆがんだ妙見菩薩のお堂があり中を覗くと本尊の安置場所に神鏡が置かれていた。観音堂はさらにその上だ。

観音堂の堂内には1m足らずの聖観音立像が安置されている。扉が開かないため中には入れない。格子越しで薄明かりの中拝観するだけだがなかなか端正な像のようだ。先の湘江庵といい柳井の仏像は優れている。

観音堂の左の壁には三光之窓と呼ばれる、30cmほどだろうか、少し大きな丸と小さな丸と三日月が並んだ明り取りがつけられている。毎年大晦日に姫の没した大畠の瀬戸から姫の魂が火の玉となって飛んできてこの窓から入り堂内の灯明を点けるのだとされる。
この話では姫は海で亡くなったことになっていて、井戸のそばから柳の大樹が生える柳井の地名説話がなくなってしまうが細かいことは気にしないことにしよう。普通、逸話には細かい相違が沢山あるものだ。

説明によると三つの窓は太陽、星、月を表していて、北極星である妙見菩薩を中尊に、左右に日天、月天を配した形という。さらに、向かって右に日で、左に月を配するのが普通なのでお堂の内側から拝するのが正しいだろうとのことだ。
この三光之窓は途中の妙見菩薩のお堂と関連がありそうだ。後でお寺の境内図を見て気がついた。妙見菩薩の堂の旧地は三光之窓の先にある。お堂の中から窓を通して妙見菩薩を拝するようになっていた可能性がある。実際には窓からは見えないので拝するというより観想するといったところか。
しかし、もっと考えられるのは直接北極星を仰ぐという方法だ。もちろん妙見菩薩は北斗七星という説もあるが北極星を神格化した菩薩なので、妙見菩薩堂から北極星を眺めるのは意味がある。三光之窓は窓の位置がかなり高い場所にあるので中央の星を表す窓から実際に北極星を拝することが出来そうだ。拝する位置はひょっとするとお堂の本尊の置かれた場所かもしれない。誰か実際に確認して欲しいものだ。

観音堂横には満野長者(まのの)夫婦の墓とされるものがある。痛みが激しく相輪から上を失っているが、これも御陵と同じで二基の宝篋印塔だ。実際は多分一連のものとして作られたもののだろう。

本堂へは仁王門の横の細い道を進む。少し分かりにくい。門と境内の配置が妙な寺だ。
納経所の前にも広い駐車場がある。車で本堂近くまで来られることがわかった。しかし、ここまで車で来てしまうと観音堂へは戻らなければならない。どちらがいいかはその人次第というところか。
人の気配がなく静かで聞こえるのはセミの声だけだ。納経所の御婦人にお茶を頂いた。冷えてはいなかったが心遣いがうれしかった。こういうお接待は巡礼をやっていて本当に素直にありがたいと思える。大切にしたい瞬間だ。

本堂の裏山には八十八ヶ所のミニ霊場が作られている。どのくらいの距離なのかわからないし、それ以上に暑くてとても廻る元気はない。まむしに注意の看板も気になる。
下の観音堂の周囲には三十三観音ミニ霊場が作られていた。

本堂は北向きに建っていて本尊は北向き地蔵と呼ばれているとのことだ。1m足らずの地蔵菩薩坐像に右脇侍は弘法大師、左に智拳印の大日如来という妙な組み合わせだ。湘江庵といい柳井の三尊形式は変わっている。
さらに2m以上の大きな仁王が安置されている。
実は下の仁王門は空っぽでここに置かれていたのだ。
涼しい風の吹いてくる本堂の前に腰掛けてしばしの休憩。こうした人も少なく騒音もないところでのんびりするのは堪らなく気持ちのいい時間だ。

駐車場へ戻ると観音堂のあたりから横笛の音が聞こえてくる。納経所の御婦人と話す笛の練習に来たという二人がいたがその調べだ。神職のようだった。祭囃子の練習でないのは流れてくる笛の音が優雅なのでわかる。
なにかしらこの寺は落ち着くなあ。


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