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○七十二番奥の院、笠ヶ滝
本日ただ一つの最後に残った札所。
ここは打つのが非常に難しい。「鎖の行場」と呼ばれる危険そうな所だからか。いや、そうではなくて単に札所が開いている時間が短いのだ。土庄に昼前に上陸し自家用車かタクシーで廻る案内書のモデルコースの通りに打つとここは開いている時に来られない。
昼前に霊場会をスタートする場合にはルートを変更したほうがよい。まず54番、58番と打つのは案内書の通り。そのあと一気にここに来る。そして72番から案内書のモデルコースを逆打ちする。前島の朱印場は西光寺しかないので土庄に戻ってきた後は時計回りの順打ちでも構わないし最初の54番もこの時にまわしてもいい。この順路でなければどうやってもこの笠ヶ滝を打つためにはるばる時間調節してやって来なければいけなくなる。今回も途中で寄る機会がなくなって今日になってしまった。もちろん朱印を集める寺廻りだけならここはパスするので全然問題はない。そうでなくても奥の院なので廻らないという選択もある。
始めてきたときは山道の険しさに驚いたが数々の山岳霊場を制覇した後ではたいして気にならない。もちろん運転が上達した訳ではなく単なる馴れにすぎない。
道幅は狭く例によって大型車は登れない。マイクロバスは可らしい。徒歩参詣は車道ではなくちゃんと石段が麓からついている。しかし、なかなか急だし長いし登るのはハードそうな参道だ。
上の駐車場で看板を発見する。
「8時から2時半まで。お先達へ。夕方はおつれの方がつかれて岩場がきけんの為。」
この注意からすると元気な先達以外は大層危険らしい。本当にそんなに危険なのか。今は朝だが昨日までのお遍路ですでに疲れているのだが大丈夫なのか。多少の不安を感じる。
スリリングな警告を読んだ後上り始める。
ここには階段はない。岩場に鎖が付けてある。そう書くと大変そうだが別にすがり付いて登るほどではないし距離だって十メートル程上にはもう踊り場が見えている。駐車場の立て札で脅されるほど大層なものではない。要は階段ではないと言いたいのだろう。もちろん足が悪くて杖を使うような人には難しい。これが「鎖の行場」だ。
踊り場からもう一度岩場を登って到着する。典型的な山岳霊場。例によって断崖に開いた洞窟を本堂として岩場に張り付くようにお堂を建てている。しかし今まで参った中で一番の岩場に建てられている。
十三重の石塔の行場が岸壁の上に見えている。行けるらしいが高所恐怖症の者には絶対無理だ。行く気は起きない。絶対無理だ。
驚いたことに本堂におられる僧侶はかなりの高齢だ。毎日ここに上がってくるのだろうか。途中で落ちなければいいがと心配になる。
最後の献灯、最後の線香、最後の読経。最後のおつとめをしてこれで本当に打ち終わりだ。
終わってしまった。遍路の最後はこんなものだろうか。
鎖場で夫婦の観光遍路と、下りの山道でタクシー遍路とすれ違う。麓の滝湖寺の駐車場には本格派遍路装束の集団を乗せたマイクロバスがいる。国道沿いの東林庵前にはお遍路タクシー。さらにフェリー乗り場では到着した船からお遍路の白装束姿が数人降りてくる。廻っている間に他のお遍路にほとんど会わなかったのは平日だったためか。休日のお遍路人口は多そうだ。小豆島のお遍路が絶滅寸前かと心配していたがそうでもなさそうなので少し安心した。
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