同行二輪

いつまでも若葉な中年ライダーの古社寺旧跡紀行

出雲國神仏霊場(第2回)

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「瀧」 第二番 鰐淵寺

日御碕(ひのみさき)への県道29号線は突き当たりだ。そこから先へは道はない。3km程戻り県道23号線に入る。島根半島の西側半分の日本海側を通る道だ。

山を抜け小さな漁港を経てもう一つ峠を越えると島根半島の北の日本海に出る。快晴のもと、空と海が青い。浜は海水浴客で一杯だ。数年前の中国三十三観音霊場で山口から国道9号線で日本海を見ながらをひたすら帰った記憶が蘇る。何だか、霊場巡りで海岸線を走るのは、いつも暑い季節のような気がして来た。

出雲国風土記で黄泉の入り口とされた稲目(いのめ)の脳の礒(なづきのいそ)の前を通る。ここもやはり何年か前に訪れたことを思い出す。今回は素通りだ。

県道23号線の入り口に「夢の森うさぎ」の看板があるが、うさぎ森林公園のことだ。実際に訪問したことはないので、はっきりとしたことはいえないが、動物の兎とは関係がないはずだ。
途中にある漁村が鷺浦(さぎうら)、稲目の手前が鵜峠(うど)。鵜と鷺で「うさぎ」、鵜鷺地区と呼ばれる。そこの小学校も鵜鷺小学校という可愛らしい名前だ。
単なる駄洒落のようだが、兎を鵜鷺と書くことは古くからある。昔、鳥は食用としても良かったが動物を食べることが禁じられていたので、兎を鵜と鷺で鳥だとこじつけた。味も鳥に似ている。そこで兎を数えるのに何匹ではなく何羽を使うと説明されることがある。面白いが残念ながら俗説に過ぎない。味は動物肉としては淡白だが、鶏肉には似てない。そもそも、肉食は一般的な風習ではなく、時に禁じられたこともあるが、歴史を通じてずっと禁じられていた訳ではない。

十六島と書いて「うっぷるい」と読む、難読中の難読地名の十六島湾の奥で県道250号線に曲がり山間に入る。
昨年の秋に中国三十三観音で来たときは久しぶりだったが、もちろん今回は去年の今年なので懐かしい感じは少ない。

霊場の鰐淵寺(がくえんじ)は細い谷川を溯った山懐にある。紅葉で有名な寺で、季節には大変な賑わいを見せるのだが、それ以外の時は何時来ても閑静な古刹だ。そして、今日もひっそりとしている。
朝から気温はどんどん上昇しているが、避暑できるほど涼しい地ではないし、お盆の最中で忙しくもあり、普通の人にとって見るべきものが紅葉しかない古寺にわざわざ来る人はいないようで、途中、参道で子供連れの家族と出会った以外に人の姿はない。

暦では残暑の時期になっているが、激しい猛暑は完全に中高年の域に入った体から急速に体力を奪って行く。石段を登る足取りが多少重いのはそのせいだ。

参道を上りきると堂々とした本堂。その大きさが山陰で屈指の寺院であったことを伝える。天台宗なので正しくは根本堂と呼ぶ。
扉から中を窺うと、薄暗がりに厨子が安置されている。当然のように扉は閉まっている。四手先の宝形造のようで意匠を凝らした造りになっている、仏壇というより御神輿を思い浮かべる。修験の地であり、かつては神仏混肴だったことが窺われる。

神仏混肴と言えば、根本堂の左手に少しはなれて常行堂が建ち、その後ろに摩多羅神(またら)を祀る摩陀羅神社がある。通常は摩多羅を使うのだが、ここは摩陀羅となっている。
摩多羅神は念仏常行三昧の修行を行なう時の護法神とされるが、秘儀を伴う謎の多い神で、純粋な仏教の出自ではない。そもそも仏教には明王や天があるが神はいない。
そもそも、この摩陀羅神社は出雲大社の本殿後ろにあったものだが、明治維新後の神仏分離の際に大社から移されたものだ。神仏混肴時代には神道からは摩多羅神は素戔嗚尊(すさのお)や大国主命(おおくにぬし)と同体と考えられた。出雲大社の宝物館の絵図でも見たように本殿後ろには古くから素戔嗚尊を祀る小社があったので、摩陀羅神社はそれと無関係ではない気がする。そんな考えもあって、今日は改めて大社で素戔嗚尊社と古図を眺めていたのだ。

根本堂の右手にまわると鐘楼がありそこの釣鐘は、弁慶が米子(よなご)の大山寺(だいせんじ)から一晩でここまで持ち帰った伝説がある。出雲地方には弁慶伝説が残っていて、この寺もその一つだ。
弁慶ウォークという行事が毎年ある。大山寺から徹夜でここまで101キロを20時間程かけて歩くのだ。
歩き通すだけでも大変なのに、さすが弁慶、誰も持てない重さの釣鐘を担いで来るとは。

朱印を頂くために庫裏まで戻る。玄関の鍵は開いている。縁側も開け放たれているのだが、誰も出てこない。よく考えるとお盆だ。御住職は法事で出かけられているのかも知れない。

遊歩道で奥に入ると、出雲国神仏霊場で鰐淵寺を表わす文字「瀧」の元となった浮浪滝がある。奥の院でもある滝に参拝して住職の帰るのを待つという方法もあるが、少し考えて先の一畑薬師へ向かい、出直すことにした。
滝の入り口には「歩いて8分」と書かれているが、それ以上時間が掛かった気がするからだ。もし、滝へ往復しても住職が戻られなければ、次の霊場でゆっくりできない可能性があるからだ。


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