同行二輪

いつまでも若葉な中年ライダーの古社寺旧跡紀行

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大国主命の舞台 その6

法吉神社(松江法吉神社)(平成20年7月6日)

宍道湖の北岸、国道431号、通称湖北線を東に走り松江市内に入る。いつもながら松江の街は迷子になってしまう。中心が宍道湖から中海に流れ出る大橋川で南北に区切られているからかも知れない。何故か何時までも道が全く覚えられないのだ。

松江城の隣にある武家屋敷や小泉八雲旧居などを横目に県道37号線を通り抜けて行くと黒田町の交叉点に出る。そこから佐太神社などのある鹿島方面に向かい北上すると1km足らずで、松江市街の北を東西に走る道路と交差する。それを東に向かうと道沿いに大きな須賀神社があるので、そこの交叉点を北に進むとうぐいす台と言う住宅団地に行く。その途中に法吉神社がある。
こうして文章で書いても分り難いが、実際も迷子になりながらようやく到着した。

鳥居前の道端に小さいが駐車場がある。神社は道沿いの山の斜面に建てられている。周囲は新興住宅地で、その中にポツンと残っている感じだ。実際は、奥にあるうぐいす台と言う住宅団地を造成する時にここに移設されているので新しい。そのため境内は明るい。社叢がないからだ。知らない場所の神社を遠くから見当を付けて探す場合にこんもりとした森を目指すのが常道なのだが、社の森のないこういう神社は見つけにくい。

由来は古い。出雲国風土記、島根郡法吉郷の法吉社(ほき)に比定されている。出雲国風土記によると宇武加比売命(うむがひめ)が法吉鳥になって飛んできて鎮座したため、この地を法吉と呼ぶ様になったと言う。
法吉鳥と言うのはウグイスと考えられている。「ほほき」と読んでいたらしいが現在の神社名は「ほっき」で、地名も同じだ。神社の由来では、宇武加比売命が法吉鳥、つまりウグイスに化して渡ってこられたので、古来より宮の地を鶯谷と呼ぶとある。
法起と言うと、奈良斑鳩の法隆寺に近い場所にある法起寺がすぐに思い浮かんでくるが、もちろん関係がない。

宇武加比売命(うむがひめ)は古事記で八十神(やそがみ)の大国主命(おおくにぬし)への迫害に登場する蛤貝比売命(うむぎひめ)と同一神と考えられている。
八上比売(やかみひめ)の求婚の相手に選ばれた大国主命は、それを根に持った八十神の姦計に堕ちて真っ赤に焼けた岩で焼け死んでしまう。それを哀れに思った母神の刺国若比売は神皇産霊尊(かんむすび)に頼み、枳佐加比売命(きさかひめ)と蛤貝比売命(うむぎひめ)が大国主命を生き返らせる(2008年、大国主命の舞台3、赤猪岩神社)。大国主命の命の恩人と言う訳だ。

枳佐加比売命は蚶貝比売とも記され「きさがい」とも読まれる。赤貝を神格化したものとされる。蛤貝比売命は文字通りハマグリの神様だ。古事記の文章から、赤貝の殻を蛤の汁で溶いて練ったものが火傷の治療として用いられたのだと言う説もある。今でも漢方では牡蛎などの殻が使われるし、シジミは肝臓に良いらしい。貝が薬として使われていたことは十分にありそうだ。
赤貝や蛤は海で採れるが宍道湖は汽水湖だ。多分関係はないだろうが宍道湖はシジミで有名で出荷量日本一だ。しかし、貝と言う点で少し気になる。

それにしても、出雲国風土記の説話は奇妙だ。法吉鳥がやって来たので法吉と呼ばれる様になったのは分るが、何故、赤貝の神がウグイスに化身するのだろう。風土記の記述は極端に簡略化されているため、前後関係や意味が通じにくい話が多い。この説話も何か物語がごっそり抜けている気がする。

大社系の本殿で千木が内削になっている。女神を祀る神社に内削が多い事から、そうなっているのだろう(2006年、美保神社境外末社参り2、美保神社)。境内の左右には小さな稲荷社と摂社があるが、伝説を伝えるものは何もない。説明板や由来書の類も一切ない。
ひょっとすると、近隣や氏子にも伝説を知らない人がいるのではないだろうか。もし、そうなら、ちょっと残念だ。

法吉の古称「ほほき」は「ほふき」とも読むらしく、ウグイスの鳴き声を表わしているとされる。今では誰でも「ホーホケキョ」を思い浮かべるが、これは仏教伝来以後に定着したものだ。「法、法華経」。

住宅地に開発された周囲にはウグイスの声は聞かれない。車の騒音だけだ。


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