同行二輪

いつまでも若葉な中年ライダーの古社寺旧跡紀行

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大国主命の舞台 その6

伝宇牟加比売命御陵古墳(平成20年7月6日)

松江城の北、2km足らずの新興住宅地にある法起神社(ほっき)の主祭神である宇牟加比売命(うむがひめ)の名を持つ宇牟加比売命御陵と言う古墳へ向かう。神社の前の道をそのまま北の山側に向かって上って行くと、うぐいす台という住宅団地がある。この辺りは、法吉神社の由来書にあったように以前は鶯谷と呼ばれていたのだろう。鶯谷の少し高台にあるのでうぐいす台と言う名前になったと思われる。

うぐいす台の住宅地は斜面に造成されていて、道の勾配は少々きつい。大都会と違って周りが住宅で建て込んでいる訳でもない。もう少し平坦な場所を利用すればよかったのだろうが、当時の関係者に様々な思惑があったことが容易に想像できる。

団地の正面を通るメインストリートを真っ直ぐに山に向かって上ると御陵古墳があった。
見つけるのに少々苦労したが着いてみれば迷うような場所ではない。あらかじめ精確な場所が分かっていれば簡単なのだが、といつも思う。
閑静な住宅街の中を左右を探しながらバイクで走ると、どうにも音が騒々しい。マフラーの交換などはしないので、ごく普通の市販車の状態なのだが、バイクの音はどうして車よりこんなに大きいのだろう。
キョロキョロと左右を窺いながらゆっくりと住宅街の中を流す見知らぬバイク。不審者と思われても仕方がない。まさか古墳を探しているとはだれも思わないだろう。

宅地の一番上の山の斜面が法面で固められて、その上が公園風に整備されている。
階段を登ると確かに方墳になっている。頂上部は10m四方前後。中央に石槨の跡が石で表示してある。そして、何故か少々朽ちているベンチが二つ。妙に心寂しい。
他には特別見るべきものもない。下に説明板がなければ不便な場所にある妙に狭い公園としか思われないだろう。ベンチもなければ公園とも思われないかもしれない。

小高い場所にあるため眼下には住宅街の屋根が並び、眺めは悪くないが谷の横に位置するために展望は限られる。土地もかなり急な斜面だ。古墳を造成するには適しているとは思えないが、まさか、古代人も土地に困っていた訳ではないだろう。

駐車場などはないし、道も住宅街の中に生活道路なのでそれ程広くはない。車で来ると少し迷惑になってしまうだろう、などと考えながら降りるが、この古墳をわざわざ見学に来る人がいるとは思えない事に気づく。

古墳の見学をあっさり終えたのには理由がある。実はこの古墳の発見は新しく、宇牟加比売命(うむがひめ)の御陵と言う伝説も存在しない。団地造成が平成5年に行なわれた時に、その工事中に見つかった古墳なのだ。壊されずに保存されているだけでも評価に値すると言って過言ではない。
発見された後に、宇牟加比売命が法吉鳥になって飛んで来たので、この地を法吉と呼ぶ様になったと言う出雲国風土記の記述から古墳名が付けられたのだ。
伝宇牟加比売命御陵古墳、命名者のセンスはすばらしい。これから百年もすれば本当に宇牟加比売命の御陵と言う伝説が出来るかも知れない。

被葬者が誰かは全く分らない。もちろん宇牟加比売命の可能性だってある。誰にせよ、まさか1400年も後に周囲を住宅で囲まれるとは思いもしなかっただろう。

この近くには、本当に宇牟加比売命の伝説のある法起神社旧社地があるらしい。


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