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○文化財点描(2) 俣野の摩崖仏 (平成15年10月11日)
平成15年10月11日。そろそろ大山は紅葉の季節がやってくるはずだ。紅葉狩りの下調べを兼ねて蒜山へ向かった。
いつもなら江尾から国道482号線を登って蒜山に向かうのだが今日は以前から気になっていた俣野の摩崖仏を尋ねるため少し寄り道をすることにした。
日野川沿いに上り江尾を過ぎて武庫から県道113号線に入る。国道181号線から曲がると同時にJR伯備線の線路になっているため遮断機が降りていると待つ場所がないような踏切になっているので少し入りにくい。
国道からの分岐はわかりにくいがその後は片道一車線の良く整備された道が通じている。俣野川ダムを通り過ぎる。ダム建設で道の整備が進んだようだ。
途中小学校なども通り過ぎこの谷で一番奥の集落に案内板が立っている。小さな表示なので知らないと通り過ぎてしまう。
脇道へ入り民家の軒先を登ってゆく。道は狭くなり車のすれ違いは苦しくなる。集落を抜けるとさらに道は狭く山道の様相となり田圃しかなくなる。完全に一車線となった山道を少々不安になりながら進む。
不安を増強させる要因は実は他にもある。俣野の摩崖仏を紹介している本がないのだ。観光雑誌にはもちろん載ってないが文化財紹介の本にも載ってない。たまたまある地図に載っていただけなのだ。はたして近寄って見られるような場所なのかどうなのかも不明でかなり不安がある。しかし道に案内板が出ていたのだから大丈夫だろう。
とうとうどん詰まりで進むことが出来なくなった。正確には行き止まりではないがとても進めそうな道ではない。まだ上に田畑も見えるので耕運機なら行けるだろう。
ちょうど稲刈りをしている御夫婦がいたので尋ねてみた。
通り過ぎているとのこと。ここまでの途中に少し道が広くなっているところに看板があると教えられた。
少し戻ると雑木林に向かって確かに車の待避所のような場所があり説明版が立っている。何故見過ごしたかというと説明版は来るときには見にくい位置にありしかも裏側を向いているからだ。帰りのほうが見つけるのは簡単だ。
バイクを止めて案内板後ろの小道へ進む。草生していてその先は鬱蒼とした雑木林だ。この先は大丈夫なのだろうか。ここでも不安が頭をよぎる。
幸に踏み入れるとすぐに下草はなくなり林の中を山の斜面を登る遊歩道となる。道は思った以上にきちんと整備されている。しかし、落ち葉が地面を覆っていてしかも斜面となっているため滑って危ない。訪れる人はほとんどなさそうだ。
しばらく登ると巨大な岩が左手急斜面にいくつも出現してくる。人の背丈より大きい。中には遊歩道へ少しオーバーハングしたようなものも見られる。これらは磐座で間違いないだろう。この人里離れた山奥に摩崖仏作製の基礎となった信仰があったことをうかがわせる。ただ大きな社寺が近くにないので組織化された仏教の影響ではなさそうだ。
枯葉で滑りやすい最後の階段を注意して登りきると狭い平地に大きく覆いかぶさった巨岩が出現する。右には崖に張り出した展望台が作られている。そこへ行ってみるがどこにも摩崖仏が見えない。付近を捜してみるがやはりわからない。
一般に摩崖仏というのは崖になった大きな岩肌に仏像を彫ったものを指す。半肉彫りでいわゆるレリーフにしたものと平面に線で描いた線刻があり、前者の代表が臼杵熊野の摩崖仏で後者には室生大野の摩崖仏がある。
ここは半肉彫りの仏像が一列にあるとのことだ。風化が進み面相、衣文ともほとんど失われているとのことなのでそれ程立派な像は期待していたのではないが、それらしいものが見当たらないのは何か釈然としない。
覆いかぶさった崖の上を見上げると何となく凸凹した部分があるがあれだろうか。
結局仏像を確認することが出来なかった。一体どこにあるのだろう。
摩崖仏の下の平坦地に石で作られた香炉が供えられていると説明版にあった。岩が屋根のようになっているので雨や雪から守られているからだろうがそれ程古いものには見えなかった。他にお供え物もなく地面にポツリと置かれていて寂しすぎる。
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