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○終章
お遍路とは一体何なんだろう。
昔は生活苦や差別的な病苦から逃れることを願って廻る人が多かっただろう。そんな人たちにとっては、ただひたすら打ち終えれば自分を取り巻く環境が変わっていたり病気が治ったりすることを夢見た文字通り必死の祈願がお遍路だったはずだ。
現代のお遍路はどうだろう。何のためにお遍路をするのか。何か願い事を秘めて打ち終えてみてもその願いが叶うわけではない。生活も置かれた立場も何も変わりはしない。そんなことは良くわかっているはずだ。
でも廻ることで自分自身が少しは変われるだろうと思う。また、廻り終わった後で他人には分からなくても何かが違ったと自分で感じれば良いのだと思う。
たとえ何も違いを感じなくても、少なくとも廻っている間は誰でも妙にやさしくなれるはずだ。それだけでも良いんじゃないか。
もしも救いが必要なら少なくとも廻っている間は人は救われている気がする。
そんなことを考えながら無事に家に到着した。
積算距離658km。これが長いのか短いのか今の時点では判断できないが、大体バイク遍路がどのようなものか感じはつかんだ。さあ次はいつの日にか四国だ。
「ただいま。帰ってきたよ。」
「おかえり。あれ、何もないの?」
しまった。お土産を買うのを忘れてた。
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