同行二輪

いつまでも若葉な中年ライダーの古社寺旧跡紀行

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○出雲に賀茂を探して その1

三沢神社(出雲三成三沢神社) (平成19年9月8日)

出雲横田から国道314号線を斐伊川(ひいかわ)に沿って西に向かい出雲三成(みなり)を過ぎて2km程走ると左手に三沢城址の案内が出る。そこから南に1km足らず谷を入るとそこが三沢の町の中心地。

郵便局の隣が三沢神社だ。ちなみに「みさわ」ではなく「みざわ」と濁って読む。

周囲を山に囲まれた狭い山間の集落で、こんな所が神話の舞台となったのかと思うと少し不思議な気がする。そういえば須佐神社(すさ)の建つ場所も平地の少ない山間だった。古代の大集落は今では全くその賑わいを想像できない場所なことが多い。

参道横に小さな事代主社(ことしろぬし)がある。漁業の神、恵比寿神(えびす)としても知られる事代主神だが、ここは海と遠く離れて全く関係がない。三沢神社の主祭神と異母兄弟ということで祀られているのだろうか。

山を背後にした斜面の一部に神社は建てられている。石段を登ってゆくと隋神門の手前に三沢神社大杉と名付けられた巨木がある。見上げる高さは30m、目通り4.5mという大きさだ。大杉と名前もうなづける。社の古い歴史を感じさせるようで、少しワクワクしたのだが、樹齢は240年だという。杉というのは200年余りでこれ程の巨木になるのかと、妙に感心した半面、江戸時代後期のものと知って少し気持ちが醒めてしまった。

境内向かって左には荒神社や八幡宮をはじめ多くの末社がある。近隣からの合祀と思われるが、それはやはりここが由緒のある社だからだろう。

本殿は大社造。残念ながら拝殿とともに新しい再建のようだ。
本殿反対側には秋葉山大権現遥拝所がある。そこには四角い土段が作られている。そこで遥拝の神事を行うのか、それとも依代を置くのか。杉林があって見えないが向こうの山が秋葉山なのだろう。
その土段の後ろには低い石垣で雛壇のようになった場所が5段作られている。境内後ろの斜面に続いているが、単に土砂が崩れるのを防ぐような土押さえではなさそうだ。しかし、見たことがない構造物だ。一体何だろう。他には目に付くようなものはないし、説明もないので分からなかった。

拝殿に由来書が置いてあり、お持ち帰りください、とあるので有難く頂く。代わりにといっては変だが芳名帳に名前を記載しておく。
出雲国風土記に登場する神社なのだが、写本の多くは、地名も神社も三沢ではなく「三津」になっている。もちろん三沢となっているものもある。どちらかが誤写なのは間違いない。神社の由来書では三津説を採用し風土記でも三津神社であったとしている。しかし、個人的には、現在の地名が三沢なのでそのまま三沢神社でよしとする。

主祭神は阿遅鋤高日子根命(あじすきたかひこね)。記紀では天若日子(あめのわかひこ)の悲劇に出てくる。、いつものことながら日本書紀と古事記の内容に差異があり神名や人物相関にも混乱があり、その上かなり長い話なのだが、一般的な古事記を基に一言で済ますと次のようになる。
高天原(たかまがはら)からこの地上の世界である葦原瑞穂国(あしはらのみずほのくに)を渡すように、出雲に国譲りを迫る使者の二人目として天若日子が遣わされる。しかし、天若日子は出雲で下照姫命(したてるひめ)を娶ってそこに留まり復命しなかったため、高皇産霊尊(たかむすひ)の返し矢で命を落としてしまう。天若日子の死を悲しむ下照姫命の慟哭を聞いて殯が行われていることを知り、そこへ弔いに親友が来る。その親友はあまりに天若日子に似ていたため、両親が息子が生き返ったと勘違いしてしまう。死者と間違えられるのは忌むべき事だとして、激怒して帰っていったその天若日子の親友というのが阿遅鋤高日子根命だ。阿遅鋤高日子根命は大国主命(おおくにぬし)の息子で下照姫命の同母兄ということになっている。
下照姫命にしてみれば、実の兄とそっくりな天若日子に嫁いでいた訳だ。何となく許されざる兄妹間の恋の匂いがしてくるが、その方面へ話は止めておく。

ところで、出雲国風土記には全く別の話が記されている。風土記では名前が阿遅鋤高日子根命ではなく阿遅須枳高日子命(あじすきたかひこ)となっているが同一神として異論はない。
大己貴命の御子である阿遅須枳高日子命は髭が長く伸びるまでになっても、昼も夜も泣くばかりで言葉を発することが出来なかった。父神は御子を船に乗せて沢山の島々を連れまわったがやはり泣き止まなかった。大神は御子の泣いてばかりの訳を知りたく夢見を祈願、つまり夢判断を願ったところ、夢に御子が現れた。目覚めてから御子に問うと、「御沢」と言って喋るようになた。それはどこか尋ねると向かいの川岸に行き、ここだと言い、その時、沢の水が流れ出しそれで御子は身を清めた。そのため出雲国造が朝廷に神賀詞奏上に向かう時にそこで身を清めるようになった。
そのようなことから三沢というようになったと説明されている。風土記によくある地名説話だ。

この風土記の話は記紀の誉津別(ほむつわけ)の話と良く似ている。
書紀では、垂仁天皇の皇子、誉津別命は30になって長い顎鬚が胸元に届くようになるなっても泣いてばかりで言葉を喋ることができなかった。ある日、白鳥が空を飛んでいるのを見て「あれは何か」と喋ったので、天皇はあの鳥を捕らえて献上せよと命じ、ついに捕まえた。そして、誉津別命はその鳥と遊んでついに言葉が話せるようになった。因みに鳥をとらえた臣下は鳥取造(ととりのみやつこ)となったという。
古事記では本牟智和気(ほむちわけ)となっていて、話の内用はほぼ同じなのだが、鳥を捕らえただけでは喋ることができなかった。その理由を占わせると出雲大神の祟りであると出た。そこで、出雲での話が続く。
祟りを鎮めるための参拝を終えて大和に帰る際に、出雲の国造の祖が仮御殿を作って御饌を奉ろうとした時についに本牟智和気は言葉を喋るようになる。
その時、御子は肥長比売(ひながひめ)と一夜を共にする。ところが、その姫の姿をのぞき見ると正体は蛇であった。そこで恐れをなして大和に逃げ帰ったと続く。
これは肥長比売が斐伊川に住む女神で蛇体だったということだろう。

風土記では三沢の地名の元となった阿遅鋤高日子根命。その話は記紀の誉津別の逸話にそっくりで、そこには出雲での物語が附属する。阿遅鋤高日子根命はどうやら出雲と密接に関連しているらしいのだが、意外に出雲地方では人気はなく、主祭神として祀られる神社も多くない。

実のところ、阿遅鋤高日子根命は葛城(かつらぎ)の高鴨神社(たかかも)の主祭神としてのほうが断然名高い。その上、高鴨神社には下照姫命も配祀されている。
高鴨神社は大和葛城鴨氏が祀る社で、古代鴨氏は葛城に勢力を張っていた豪族だ。高鴨神社を上鴨社、葛木御歳神社(みとし)を中鴨社、鴨都波神社(かもつは)を下鴨社とも呼び、鴨氏の奉祭した重要な社が葛城山の麓には並んでいる。
つまり、阿遅鋤高日子根命は鴨氏の氏神といっても良い神なのだ。出雲の神というよりむしろ鴨氏の神が、何故かこの出雲の山深い地に祀られている。

鴨氏に関しても謎は多く、鴨氏の社といえば高鴨神社より京都の上鴨神社と下鴨神社のほうが知られているだろう。鳥越健三郎氏によれば葛城鴨氏の地が高天原で、後に山城(やましろ)へ移ったのだという(2006年、美保神社、境外末社六社参り3、糺社)。現在では葛城と山城の鴨氏は別系統とするのが有力なようだ。実際、葛城鴨氏と山城賀茂氏の神社の縁起などの説話には類似がないし、主祭神も違う。出雲と関連しているのは葛城鴨と思われる。何となく、山城賀茂は三輪氏との関連の方が強そうな感じだ。
京都の上下鴨神社は、現在、賀茂姓を用いているので、混乱を避けるため便宜上、葛城鴨と山城賀茂と「かも」の漢字を使い分けている。まあ、大した問題はないのだろうが。

ちなみに阿遅鋤高日子根命と誉津別の、大人になるまで喋れないというのは記紀の素戔嗚尊(すさのお)の話にも類似している。
記紀によれば、伊邪那岐命(いざなぎ)が黄泉国から帰還して左眼を洗った時に生まれたのが天照大神(あまてらす)で、右眼を洗いから月読尊(つくよみ)が生まれ、鼻を洗った時に素戔嗚尊が生まれた。
伊邪那岐命のはこの三子に、天照大神には高天原を、月読尊には書紀では海原の、古事記では夜之食国(よるのをすくに)の、また素戔嗚尊には天下(あめのした)の、古事記では海原の統治を委任する。しかし、素戔嗚尊は成長して長い髭が伸びて胸元に届くようになても泣きわめいているばかりだった。
その理由を伊邪那岐命が尋ねると、母の伊邪那美命(いざなみ)のいる根之堅州国(ねのかたすくに)に行きたいと言う。そこで伊邪那岐命は怒って素戔嗚尊を追放した。
ただ、こちらの話には喋れるようになる逸話はない。

何だか、話はとりとめもなくあちらこちらに飛んでしまい、収拾がつかなくなった。所詮、単なる思いつきなのでまとまった説を持っているわけではないので、こうなってしまう。それにしても脈絡がなさ過ぎるか。
しかし、出雲と鴨は何か因縁がありそうだ。大和朝廷と出雲勢力の関係を考えると色々と想像が膨らむのを止められそうにない。

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