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民俗学考 その1
甫登神社(逢坂甫登神社)(平成19年10月13日)
木ノ根神社から八幡さんの六角堂を過ぎると、草に覆われて手入れのあまりされてない広場があり、更に進むと甫登神社の鳥居が見えてくる。
鳥居の向こうは、巨石で形作られた構造物が待っていた。古墳の石室と思われる。新たに作ったのものではなさそうな感じだ。
人が悠々と入ることが出来、相当に大きい。中には「やきもち神」と書いてあり巨大な岩が据えてある。
やきもち神、これだけでは「やきもち」と言うのが何だか分からないが、木ノ根神社とこの先にあるはずの甫登神社の関係を考えれば、何となく理解で出来ないでもない。
石室を抜けたところが甫登神社だ。通路に蛛の巣が張っていて最近人が来ている様子がない。
こちらも石室の壁ようだが一部コンクリートで補強してある。奥と左右の三面のみが石組の壁で外にそのまま姿を現している。上は切妻の天井で覆ってあり、石組みを保護してある。正面は鉄格子で守られていて、石には触れることが出来ないようになっている。
一番奥の真ん中に注連縄の飾られた苔むした岩があり、それが甫登神社の御神体である「ほと」神様で間違いない。「甫登」は「ほと」と読む。
「ほと」というのは、女性器の古語だ。もちろん先に見てきた木ノ根神社と対を成す。
このような男女性器の形をした自然の造形を御神体として祀る神社は全国に数多い。その中には、単なる石でも結構リアルな形をしたものもあるのだが、ここの御神体には、それほど写実的な要素はない。木ノ根神社にいたっては、どこがその様な形になっているのかさえ、よく分からなかった。
御神体の前の左右に50cm程の石が置かれているが、それには明らかに人が彫った穴が開けてある。誰かが奉納したものだろう。
やきもち神、甫登神社、共に石室の一部のような気がしていたが、古墳の転用かというと自信がなくなった。壁の石がコンクリートで間を埋められているからというのではない。それは補強されてるだけかも知れないのだが、古墳の石室にしては内部空間が大きすぎる気がするのだ。もちろんこの程度の規模の石室はいくらでも存在するが、その場合、壁に使われる石はかなり巨大なもののことが多い。ここでは、屋敷の石垣のような大きさの石で組まれていて、小型の占める割合が多い。
しかし、これを新しく一から作ると言うのはもっと妙だ。石室にする必要がないのだ。御神体を安置したお堂を建てるだけでいいはずだからだ。
結論が出ないまま、神社を後にした。
木ノ根神社の駐車場まで帰る途中、草の生えた手入れの行き届かない広場を再び通るのだが、その隅に、上下のひっくり返った鳥居がある。「大山股のぞき」と書いてあるが、山の方向には木が生い茂っていて大山は全然見えない。
逆さになった鳥居の形が奇妙だ。鳥居は普通、島木と笠木が二本の柱の上に並行に置かれているのだが、この鳥居はクロスした形になっている。
股のぞきと言えば、日本三景の一つ天橋立が有名だ。確かに、天橋立はそのまま眺めれば天駆ける龍に、そして逆さに見ると天に向かって伸びる架け橋のように感じられる。他にも、股のぞきと称する場所はあるが、見方自体に特別な意味のあるものは多くない気がする。天地を逆にすると見え方が変るということだろう。
しかし、「大山股のぞき」はそう言う見方の違いとは全く異なるのではないだろうか。もちろん単に大山の遥拝という意味でもないはずだ。それどころか、遥拝するのは大山自体ではないような気さえする。
いずれ考察する機会もあるかも知れない。
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