From ROMA-KEN(古代ローマ史探求)

…歳を重ねただけでは人は老いない。理想を失うとき初めて老いる。(Samuel Ullman, 'Youth'(「青春」より。)

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ラ語壱日: Cerberus(4)

servus in atrio laborat.
奴隷は大広間で働く。

・laborat < laboro, are; (動)現,3単: 働く


【備考】
こうして見ると、やっぱり、イタ語やフラ語、スペ語...てのはラ語の子だねぇ...
久しぶりに、ROMA-KENからのお知らせ!


 今まで、「Yahoo!ビデオキャスト」を用いて、古代ローマ時代の遺跡・遺物に関する動画をUP!していましたが、思い切って、「Youtube」に切り替えることにしました。

以下が、そのリンクです。

 ↓ ↓ ↓



 尚、動画にしろ、画像にしろ、まだまだ山のようにあるのですが、なかなかUP!したり紹介するにまで及んでいません。ゆっくり長い時間を掛けて少しずつ解説と共にご紹介させて頂ければ、と思います。


 このブログ、一時は閉鎖も検討しましたが、結局、当面の間はこのまま続行することに致しました。今から、他ブログへ投稿記事を移し変えるのは、相当な負担が予想される、と言うのが主たる理由ですが...



 今後とも末永いご愛顧を謹んで宜しくお願い申し上げます。



ROMA-KENより。
 以前の投稿、


でも、少し触れたが、イタリア南部の都市ナポリ近郊のオプロンティ(トッレ・アヌンツィアータ)に、ネロ帝の妃ポッパエアの別荘の遺跡が残っている。

 この「ポッパエア荘」の保存状態は非常に良く、紀元後1世紀中頃における古代ローマの貴族の別荘の外観や内観を知る上でも重要な遺跡である。この邸宅には、果樹園、巨大なプール(*もしくは魚の養殖槽。)、交易用もしくは自家消費用の為の貯蔵庫などと共に、色彩豊かなフレスコ画で取り囲まれた幾つもの部屋が、ほぼそのままの形で見つかっている。その内の一つに、今回紹介する「サロン」のフレスコ画も残されている。

 この「サロン」は、四方を壁面で塞いだ密室の空間と言うよりも、廊下や来客用の部屋に通じる小さな中庭を見渡せるように明け広げられていて、自然の光が日中に降り注ぐような開放感ある空間となっている。部屋の南側は海が見渡せるように大きな窓が設けられてもいた。実際には、ここは食事を取る為の部屋だったとも考えられている。

 この「サロン」の大きな特徴の一つは、やはり壁面を取り囲むフレスコ画であろう。


イメージ 1

「ポッパエア荘」の「サロン」の壁面フレスコ画の全体像

 この壁面フレスコ画は、第2様式のものである。第2様式の特徴は、「遠近法的建築様式」と呼ばれるもので、フレスコ画に「遠近法」を用いることで室内に開放感ある空間を演出しようとする試みである。また、このフレスコ画には、風景や、自然、静物、動物や神話などが色彩豊かに表現され、幻想的な雰囲気をも醸し出している。


イメージ 2

壁面フレスコ画の正面上方部

イメージ 3

第2様式の特徴である「遠近法的建築様式」

 この「サロン」の壁面フレスコ画の上方は、快晴の青空が広がっている(ように、描かれている。)が、無論、これも第2様式の特徴の一つである。こうした一種の「惑わし」の為、この「サロン」にいる人々は、狭い部屋と言う「現実的な世界」にいるのではなく、あたかも俗世から解放された「神話的で幻想的な空間」にいるような錯覚にも見舞われてしまう。


 尚、この壁面フレスコ画には、静物や動物なども見出すことが出来る。


イメージ 4

列柱廊に描かれた「孔雀」と「悲劇用の仮面」

イメージ 5

「孔雀」

イメージ 6

「悲劇用の仮面」

 「孔雀」や「悲劇用の仮面」などは、古代ローマ時代の芸術に非常に親しまれていたモティーフでもあり、ここ「ポッパエア荘」では、別の部屋でも「黄金色」に覆われたフレスコ画の中に「孔雀」が描かれている。

 「孔雀」や「悲劇用の仮面」は幻想的な空間を演出する上でも非常に役立っていたことであろう。特に「孔雀」は、本来、古代ローマ人には馴染みのなかった異国の動物であり、「自然への憧憬」や「異世界への憧れ」を掻き立てるのに大いに役立っていたと思われる。また、ペトロニウス作の諷刺小説『サテュリコン』における「トリマルキオの邸宅」で描かれた会食の一幕でも、「孔雀の卵」を食したり、高価な「孔雀」を観賞用や珍味用の為に飼っていると言う件もある。まさに、「孔雀」は貴族や富裕者の「豪奢」を誇示する為の必需品でもあった。

 一方の「悲劇用の仮面」については、古代ローマ社会における「演劇」の文化的特性との兼ね合いで考える必要もあるだろう。貴族や富裕者は、しばしば、お抱えの「劇団」を有し、邸宅内で彼等の劇を来客と共に観賞していた。また、彼等の間で「文芸サークル」を形成し、自ら劇を書き、それらをサークル内の仲間内で朗唱し合い、批評し合っていた。その意味では、「演劇」は、古代ローマ人の文学的素養を図る上でも重要な尺度の一つであったとも言える。こうした「演劇」の芸術・文学的な位置づけが、しばしば「悲劇用の仮面」を壁面フレスコ画に描く動機の一つともなっていたのではないか。
 また、一つの説として、こうした「悲劇用の仮面」は、「魔除け」の効果としても期待されていた、というのもある。何れにせよ、「悲劇用の仮面」がしばしば、フレスコ画やモザイク装飾、あるいはレリーフの中で描かれているのは、古代ローマ人の心性を理解していく上でも興味深いことであろう。


 さて、幾つかの写真を通じて、「ポッパエア荘」の「サロン」における壁面フレスコ画と第2様式について、簡単に見てきたが、最後に、ブログ管理者が現地で撮影した「サロン」の壁面フレスコ画の動画を紹介してみたい。


「ポッパエア邸」(Oplontis)におけるサロンの壁面フレスコ画(第2様式)

 古代ローマ帝国の皇帝ネロの妃であったポッパエアの別荘(オプロンティ、ナポリ近郊、イタリア。)の一室「サロン」には、第2様式の見事な壁面フレスコ画が残っている。
 第2様式の特徴は、「遠近法的建築様式」と呼ばれるもので、フレスコ画に「遠近法」を用いることで室内に開放感ある空間を演出しようとする試みである。また、このフレスコ画には、風景や、自然、静物、動物や神話などが色彩豊かに表現され、幻想的な雰囲気をも醸し出している。
 この動画のフレスコ画にも、孔雀や「悲劇用の仮面」、そしてそれらを取り囲む「遠近法」で描かれた列柱廊の連なる美しい光景を見出すことができるだろう。

by トリマルキオ(kannriromaken)


参考文献

・「ポッパエア荘」に関する現地配布のガイド(イタリア)。
・『世界美術体系−第6巻・ローマ美術』(1962年)。
・ペトロニウス(訳:国原吉之助)『サテュリコン』(岩波文庫、1991年。)

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