From ROMA-KEN(古代ローマ史探求)

…歳を重ねただけでは人は老いない。理想を失うとき初めて老いる。(Samuel Ullman, 'Youth'(「青春」より。)

古代ローマについて

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古代ローマ時代に関する歴史や文化、生活、etc...について投稿を行います。
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古代ローマ関係の動画をYou TubeにUP!しておいたので、お知らせ。
今回はポンペイの農場型邸宅跡です。



Casa della Nave Europa(エウローパ船の家) - Pompeii

古代ローマ時代の遺跡ポンペイより発掘された住居跡。ポンペイ遺跡内のVia di Castricio沿いにあり、更に通りを東に向かって進んでいくと体育場や円形闘技場にたどり着く。
当時の居住者が不明だったため、家屋の北側の壁面に描かれた掻き絵「エウローパ船」より"Casa della Nave Europa"の名がつけられた。
この住居の特徴は、ポンペイでしばしば見受けられる公的な空間であるアトリウム(広間)と私的な空間であるペリステュリウム(列柱廊型広間)の並存型ではなく、玄関を入って直ぐ私的空間であるペリステュリウムが広がっていることである。また、玄関に対してペリステュリウムの後方(南側)には、ポンペイの町内では比較的規模の大きい菜園やブドウ農場が広がっている。このことから、この住居は「農場経営」型住居であったと思われる。
なお、この住居内からオリーブ油製造用碾き臼も見つかっており一部復元された形で併せて展示されている。

by トリマルキオ(kannriromaken)


【コメント】

ポンペイには様々なタイプの邸宅・住居跡が残っています。
邸宅・住居というテーマに絞って、
色々比較しながら遺跡内を散策するのも
タイムカプセルであるポンペイ遺跡ならではの楽しみ方かもしれません。


古代ローマ関係の動画をYou TubeにUP!しておいたので、お知らせ。
今回はフォロ・ロマーノの動画ですが、2部に分けています。


フォロ・ロマーノの内部:パート1

フォロ・ロマーノの内部の様子をタブラリウムからティトゥス凱旋門に向かって歩きながら撮影したもの。途中、ロストリ、ユリウスのバジリカ、クーリア等が見える。フォロ・ロマーノは政治・経済・宗教の中心地であった。 

by トリマルキオ(kannriromaken)


フォロ・ロマーノの内部:パート2

「フォロ・ロマーノの内部:パート1」より続く。今度は、エミリアのバジリカよりティトウス凱旋門に向かって撮影している。
途上には、左手に向かって、アントニヌスとファウスティナ神殿、ロムルスの神殿、マクセンティウスのバジリカを臨み、右手に向かって、ウェスタ神殿、歴代皇帝の居住地であったパラティヌスの丘を臨む。
フォロ・ロマーノを訪れることで、紀元前753年より始まり、帝政期、そして滅亡へと至る古代ローマの歴史を感じることができる。

by トリマルキオ(kannriromaken)

画像の鮮明度は決して高くはなく、
見辛いかと思われますが、
興味のある方は是非、ご覧下さい!


以上、お知らせ


【編集後記】

当日は、生憎の雨で撮影にも苦労した記憶があります。
とりわけ石畳になっているところを歩きながらだと、
時折、スリップして何度かこけてしまいそうにもなりました。
そのため、撮影もブレにブレまくって、
大変、視聴し辛くなってしまい申し訳なく思います。

ただ、小雨のフォロ・ロマーノは夕暮れ時の光景に勝るとも劣らない
郷愁を誘います。
今や廃墟と化したフォロ・ロマーノは、
我々に永遠に続く歴史はあり得ないのだと知らしてもくれます。

「永遠のローマ」
かつて古代ローマ人は自分達の歴史が永遠に続くものだと信じていました。
しかし、カルタゴを滅亡させた小スキピオが、浮かれるローマ人の中にあって、

ローマもまたいつの日か滅亡の運命をまぬがれないのだろうか...

と、一人溜息を漏らしたように、それは現実のものとなり、
あれほど趨勢を誇った古代ローマ帝国もやがては崩壊していきました。

フォロ・ロマーノは古代ローマ世界というかつて存在した超大国の
興隆と滅亡の歴史の縮図そのものなのでしょう...



久しぶりに古代ローマ関係の動画をYou TubeにUP!しておいたので、お知らせ


エルコラーノ遺跡における皇帝祭祀団の集会所跡

 古代ローマ時代の遺跡ポンペイと同じく、ウェスウィウス火山の噴火によって崩壊したエルコラーノ遺跡には多数の家屋や邸宅跡が残されている。その内の一つがこの「皇帝祭祀団の集会所」跡である。

 「皇帝祭祀団」(*Augustales)とは、帝政ローマにおける各都市において、皇帝を祀り儀礼を行う為に結成された祭祀団のことであるが、主に被解放自由人が中心メンバーとなっていた場合が多い。また、こうした祭祀団に参加するメンバーは都市の富裕者である場合も多く、彼らは単に儀礼のみを取り仕切ると言うよりは、寧ろ、各々の都市に自己の財産を供与しつつ、都市財政に大きく貢献する役割が求められていたと考えられる。

 さて、この「皇帝祭祀団の集会所」跡は、4本の柱と壁面アーチによって支えられた正方形型で、視覚的にも重厚な構造となっている。特に眼を引くのは、第IV様式のフレスコ画で囲まれた礼拝所であろう。このフレスコ画には、正面から見て左側にユピテル、ユノー、ミネルウァなどの神々とともにヘラクレスが描かれ、右側には、ヘラクレスとエトルリアの神との戦いの場面が描かれている。
 また、集会所跡には碑文も残されているが、これは、A. Lucius Proculus及びA. Lucius Iulianus両名(兄弟)が、アウグストゥス帝を讃える儀式の際に、エルコラーノの都市参事会員及び皇帝祭祀団に午餐を振舞ったことを記念したものである。 


by トリマルキオ(kannriromaken)


 皇帝祭祀団(Augustales)や被解放自由人(libertus)については、何れ「古代ローマについて」の所で、記事にしてみたいと思う。
 尚、地方都市における富裕者が果たしていた財政的な役割については、

 ↓ ↓ ↓


でも、若干触れているので、参考程度に...



以上、お知らせ



古代ローマ時代の遺跡エルコラーノからのレリーフを一つ紹介!


イメージ 1

治療場面のレリーフ

 このレリーフは、通称「テレフォスの浮き彫りの家」内にあったレリーフで、紀元前1世紀、約52x120cm程の大きさである。

 このレリーフに描かれている二つの題材は、何れもギリシア神話の英雄ヘラクレスの息子テレフォスにまつわるものである。この時、テレフォスはアキレウスから以前に負わされた大腿の傷が一向に治癒せず、長年に渡って苦しんでいた。
 左側が、巫女がアキレウスに対して、ギリシア軍はテレフォスによる案内なくトロヤに訪れることは出来ない、と言う神託を告げている場面。
 右側が、アキレウスの槍のサビのみがテレフォスを癒すことができると言う神託に従い、アキレウス自ら槍の先のサビを削り、テレフォスに治療を施す場面。


尚、右側のレリーフを拡大したのが以下、2点である。

イメージ 2

アキレウスによるテレフォスの治療場面

イメージ 3

槍の先のサビを削る光景を拡大


 重要なのは、こうしたギリシア神話の治療場面のレリーフが、エルコラーノ遺跡内の邸宅内でも親しまれていた点であろう。エルコラーノ遺跡はポンペイと同様に、紀元後79年、ウェスウィウス火山の噴火により崩壊した都市であるが、こうしたレリーフが残っていることから見ても、古代ローマ社会における「医学」あるいは「治療」の重要性および普及度をある程度推測することもできる。

 当時の医者、医療器具等に関しては、以前の投稿記事


にもあるので参考程度に...



以上、簡単な紹介!




(注:掲載画像は全てブログ管理者が現地・エルコラーノ遺跡にて撮影したものである。)

参考文献
・カタログ『世界遺産−ポンペイ展』(朝日新聞社、2001年)。
 以前の投稿、


でも、少し触れたが、イタリア南部の都市ナポリ近郊のオプロンティ(トッレ・アヌンツィアータ)に、ネロ帝の妃ポッパエアの別荘の遺跡が残っている。

 この「ポッパエア荘」の保存状態は非常に良く、紀元後1世紀中頃における古代ローマの貴族の別荘の外観や内観を知る上でも重要な遺跡である。この邸宅には、果樹園、巨大なプール(*もしくは魚の養殖槽。)、交易用もしくは自家消費用の為の貯蔵庫などと共に、色彩豊かなフレスコ画で取り囲まれた幾つもの部屋が、ほぼそのままの形で見つかっている。その内の一つに、今回紹介する「サロン」のフレスコ画も残されている。

 この「サロン」は、四方を壁面で塞いだ密室の空間と言うよりも、廊下や来客用の部屋に通じる小さな中庭を見渡せるように明け広げられていて、自然の光が日中に降り注ぐような開放感ある空間となっている。部屋の南側は海が見渡せるように大きな窓が設けられてもいた。実際には、ここは食事を取る為の部屋だったとも考えられている。

 この「サロン」の大きな特徴の一つは、やはり壁面を取り囲むフレスコ画であろう。


イメージ 1

「ポッパエア荘」の「サロン」の壁面フレスコ画の全体像

 この壁面フレスコ画は、第2様式のものである。第2様式の特徴は、「遠近法的建築様式」と呼ばれるもので、フレスコ画に「遠近法」を用いることで室内に開放感ある空間を演出しようとする試みである。また、このフレスコ画には、風景や、自然、静物、動物や神話などが色彩豊かに表現され、幻想的な雰囲気をも醸し出している。


イメージ 2

壁面フレスコ画の正面上方部

イメージ 3

第2様式の特徴である「遠近法的建築様式」

 この「サロン」の壁面フレスコ画の上方は、快晴の青空が広がっている(ように、描かれている。)が、無論、これも第2様式の特徴の一つである。こうした一種の「惑わし」の為、この「サロン」にいる人々は、狭い部屋と言う「現実的な世界」にいるのではなく、あたかも俗世から解放された「神話的で幻想的な空間」にいるような錯覚にも見舞われてしまう。


 尚、この壁面フレスコ画には、静物や動物なども見出すことが出来る。


イメージ 4

列柱廊に描かれた「孔雀」と「悲劇用の仮面」

イメージ 5

「孔雀」

イメージ 6

「悲劇用の仮面」

 「孔雀」や「悲劇用の仮面」などは、古代ローマ時代の芸術に非常に親しまれていたモティーフでもあり、ここ「ポッパエア荘」では、別の部屋でも「黄金色」に覆われたフレスコ画の中に「孔雀」が描かれている。

 「孔雀」や「悲劇用の仮面」は幻想的な空間を演出する上でも非常に役立っていたことであろう。特に「孔雀」は、本来、古代ローマ人には馴染みのなかった異国の動物であり、「自然への憧憬」や「異世界への憧れ」を掻き立てるのに大いに役立っていたと思われる。また、ペトロニウス作の諷刺小説『サテュリコン』における「トリマルキオの邸宅」で描かれた会食の一幕でも、「孔雀の卵」を食したり、高価な「孔雀」を観賞用や珍味用の為に飼っていると言う件もある。まさに、「孔雀」は貴族や富裕者の「豪奢」を誇示する為の必需品でもあった。

 一方の「悲劇用の仮面」については、古代ローマ社会における「演劇」の文化的特性との兼ね合いで考える必要もあるだろう。貴族や富裕者は、しばしば、お抱えの「劇団」を有し、邸宅内で彼等の劇を来客と共に観賞していた。また、彼等の間で「文芸サークル」を形成し、自ら劇を書き、それらをサークル内の仲間内で朗唱し合い、批評し合っていた。その意味では、「演劇」は、古代ローマ人の文学的素養を図る上でも重要な尺度の一つであったとも言える。こうした「演劇」の芸術・文学的な位置づけが、しばしば「悲劇用の仮面」を壁面フレスコ画に描く動機の一つともなっていたのではないか。
 また、一つの説として、こうした「悲劇用の仮面」は、「魔除け」の効果としても期待されていた、というのもある。何れにせよ、「悲劇用の仮面」がしばしば、フレスコ画やモザイク装飾、あるいはレリーフの中で描かれているのは、古代ローマ人の心性を理解していく上でも興味深いことであろう。


 さて、幾つかの写真を通じて、「ポッパエア荘」の「サロン」における壁面フレスコ画と第2様式について、簡単に見てきたが、最後に、ブログ管理者が現地で撮影した「サロン」の壁面フレスコ画の動画を紹介してみたい。


「ポッパエア邸」(Oplontis)におけるサロンの壁面フレスコ画(第2様式)

 古代ローマ帝国の皇帝ネロの妃であったポッパエアの別荘(オプロンティ、ナポリ近郊、イタリア。)の一室「サロン」には、第2様式の見事な壁面フレスコ画が残っている。
 第2様式の特徴は、「遠近法的建築様式」と呼ばれるもので、フレスコ画に「遠近法」を用いることで室内に開放感ある空間を演出しようとする試みである。また、このフレスコ画には、風景や、自然、静物、動物や神話などが色彩豊かに表現され、幻想的な雰囲気をも醸し出している。
 この動画のフレスコ画にも、孔雀や「悲劇用の仮面」、そしてそれらを取り囲む「遠近法」で描かれた列柱廊の連なる美しい光景を見出すことができるだろう。

by トリマルキオ(kannriromaken)


参考文献

・「ポッパエア荘」に関する現地配布のガイド(イタリア)。
・『世界美術体系−第6巻・ローマ美術』(1962年)。
・ペトロニウス(訳:国原吉之助)『サテュリコン』(岩波文庫、1991年。)

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