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あれから、7年が経過した。亨は65歳、利子は63歳になっている。
亨は週に一度は講演を頼まれ出かける。サラリーマンから雲水修行、アフガンでの学校創りの体験を話してくれとの依頼があった。最近、頼まれて60歳以上のラグビーチームの主将を務めている。月に一度の試合が楽しみであり、終わった後のビールが堪らなく旨い。 利子は通訳を60歳で辞め、今は親友のA子とE財団を兼ねたNPO龍志会の事務所に交代で出勤し、週に一度は2人でコンサート、歌舞伎、野球観戦をする。ワインで盛り上がることも忘れない。
ようやくアフガンにも平和が訪れた。国民は水を得た魚のように活動を開始している。NPO龍志会が建てた学校がカブール郊外の丘の上にある。貞と晋は現地採用のスタッフ20人とともに、生徒1000人を相手に奮闘の毎日を送る。2人には長男・渉(わたる)が1歳を迎えたばかりだ。
沈む夕陽がエーゲ海に浮かぶ島々を照り染める。サンセットクルージングに参加した日本人観光客の中に亨と利子のカップルがいた。2人はカブールの学校を訪ねたついでに、結婚35周年記念の旅行に来ていた。
亨は利子に感謝の気持ちを込めて、「良くここまで、我がままな僕について来てくれたね。本当に有り難う。」利子は答えた。「大変なことばかりだったわ。でも、楽しかった。こちらこそ、有り難うございます。」
「E社長が最後に『吾が人生に悔いは無し。』と言ったけど、僕もそんな気持ちでいるよ。」「亨君!まだまだ、貴方にはすることが残っているでしょ。!」「何だっけ」「女房孝行でしょう。苦労かけっ放しの女房にもっともっと孝行しなけりゃ、バチがあたるでしょ。」「その通りでした。失礼しました。」「解ればいいのよ、亨君。」2人は楽しそうに笑っていた。
すると夕陽に赤く染まった海の彼方、遠い空から声が聞こえた。「お父〜〜さ〜〜ん。」「お母〜〜さ〜〜ん。」2人には忘れることの出来ない龍の声である。
亨は(そうか、お前が付いていてくれたんだ。アフガンの学校もお前が導いてくれたのか。有り難う龍。)利子は(ずっと、私たちを見守ってくれたのね。これからは貞たちも守ってあげてね。有り難う龍。)2人はいつまでも空に手を合わせていた。ー完ー
******** 上卦は火。
*** *** 文明、文化を表す。
********
*** *** 下卦は水。
******** 困難、悩みを表す。
*** ***
「火水未済」の卦。未済(びせい)は前項・既済(きせい完成)の後に新たな変化を意味している。世代の交代を表すとも言える。
春夏秋冬と季節は廻る。易は絶え間ない変化を説いている。
私たちの人生もこれで終わりということは無いのである。
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「ある夫婦の物語」をお読み頂き、有り難うございました。
半年以上かかった初めての連続ドラマでしたが、どうにか最終まで漕ぎ着け安堵しております。
こんな拙文を読んで頂き、コメントまで書き込んで頂いた皆様の支えがあればこそでした。
深く感謝いたします。(猶興)
2010/6/22(火) 午前 11:58
お互いに「ありがとう」といえる関係とは羨ましい限りです。
「吾が人生に悔いは無し」といえる人生を歩みたいです。
そのためにも毎日を精一杯精進していきます。
長い期間と言われればそうなんですが、物語が面白くてあっと言う間に思えました。
猶興先生ありがとうございました。感謝しています。
2010/6/22(火) 午後 4:16 [ pin*ey*e*t ]
pinkeynext さん、有り難うございます。
「吾が人生に悔いは無し」こんな人生にしたいと思います。
このドラマのテーマでもありました。結局、一日一日を精一杯生きることなのでしょう。
また、次のテーマを決めて続けて行く心算でいます。
読んで頂けたら幸いです。有り難うございました。(猶興)
2010/6/22(火) 午後 5:52
いろいろ考えさせられる物語でした。人生、山あり谷あり。人生はまだまだ終わらない。
とても勉強になりました。ありがとうございました!お礼のポチ☆
2010/6/26(土) 午後 1:04
下町おやじさん、有り難うございます。
拙い物語を読んで頂き、恐縮します。
こんなドラマでも創作することは大変だということが良く解りました。又の機会に挑戦して見ます。有り難うございました。(猶興)
2010/6/26(土) 午後 5:44
とても興味深い試みをされたと思います。長編小説の筋立てと思いました。こんな形で作品作りに取り掛かることができますね。
それから最後のシーン。利子さんは夫の犠牲にはならなかったと思いますが。
2010/7/1(木) 午前 7:01
サブローさん、有り難うございます。
易の卦のはそれぞれ意味があります。今回は下経の34卦の意味を繋げながら、ドラマを作って見たのです。かなり無理に繋げたところもありますが、何とか格好がついて自分では成功と思っています。商社の経験もない身が勝手な想像で創作し笑われたかも知れません。またの機会にこんなドラマにも挑戦したいと思います。読んで頂き有り難うございました。(猶興)
2010/7/1(木) 午前 10:39