「海運王」と呼ばれたギリシャの大富豪アリストテレス・オナシス。(1906〜1975)
難民生活から身を起こし、一代で世界の海を制覇し、巨万の富を手にした。
彼の座右の銘は。
「金は道徳よりも強し。」
「他人の金を使え、税金は払うな。」
「悪は常に最高の才能を持っている。」
彼は自分の結婚をもビジネスとして、ギリシャの老舗海運業者リバノス家の
令嬢ティナを「石油運送の権利譲渡書」とともに手に入れる。
文化と芸術に縁の無かった彼が次に目をつけたのは文化の象徴である
世界のプリマドンナ、マリア・カラスである。
彼は、毎日のように豪華な花束を贈り続け、ついにマリアの愛を手に入れた。
モナコ王国をも買い取り、巨大化するオナシス帝国に待ったをかけたのはアメリカであった。
CIAやFBIが乗り出し、制圧にかかったので、流石のオナシスも窮地に立った。
そこで目をつけたのがJFK暗殺後のジャックリーンであった。
莫大な金を使って、執拗にアタックし,とうとう彼女を手に入れ、
社会的対面を守り、アメリカにも一矢を報いたのである。
巨万の富を手に入れた状態は易学で表すと、「沢風大過」。すなわち、大なる物、陽なる物に過ぎていることである。一方、陰なる物(内面的、精神的)が極端に少ない意味にもとれ、バランスは悪い。
では、オナシスと彼の家族は幸福を手に入れることが出来たであろうか。
前妻のティナは酒に溺れ、オナシスの宿敵と再婚、息子アレクサンダーは25歳で
飛行機事故で死んだ。息子の死にオナシスは老け込み、ティナはアルコール中毒で死んだ。
娘のクリティーナは4回の離婚の末、薬物乱用で37歳で死んだ。
マリア・カラスは睡眠薬中毒。ジャクリーンは莫大な浪費を繰り返しただけで、
病床のオナシスには殆んど合いにも来なかった。
たった一人の孫、アシーナは3歳で1兆円と言われる遺産を相続したが、管財人たちに挟まれ、
34歳の今、こうため息をついていると言う。
「オナシスの名は忘れたい。いっそ、全てのお金を燃やしてしまいたい。」
晩年、重度の筋無力症で、オナシスは自分で開けられなくなった目蓋を絆創膏で張っていた。
その目に映っていた世界はどの様なものであったのだろうか。
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